「CES2017レポート」ここまで来たか!海外の最新動画“レコメンド機能”に注目
編集部
様々な動画配信サービスが充実しているアメリカ。非常に多くの動画が配信されていることは、ユーザーにとっては幅広い選択肢の中からコンテンツを楽むことができるわけだが、その一方で「何を見たらよいか迷ってしまう」という悩みも生じる。このような環境において、動画配信サービスのさらなる進化に欠かせないのが、ユーザーに動画視聴の方向性を指し示す「レコメンド機能」だ。米国のラスベガスで開幕(現地時間5日~8日)したCES2017のプライベート展示で、この動画配信のレコメンドという領域に力を入れる2社の取り組みから、動画配信大国アメリカのレコメンドの動向を探る。
TIVOのプライベートブースを視察
DVR機能を持ちながら、動画ストリーミングサービスをまとめ、それら動画のレコメンド機能も実装しているTIVO BOLTなどをラインナップとして揃えているTIVO。同社は「Search & Recommendation」として、他の生活者も含めた「一般的な視聴傾向」から分析された“ポピュラリティ”と、ユーザー個人の録画や、VODのストリーミングサービスも含めた視聴履歴、何時にその動画を見たかなどの視聴動態などから“パーソナライズ”されたデータをアルゴリズムで解析し、「ユーザーが次に見るべき動画」をレコメンドしている。
このレコメンドにあたっては、なぜ、あなたにその動画がレコメンドがされたかがわかる、becauseの動画群もユーザーに表示することで、納得度を高めている。さらにユーザーは、そのレコメンドが自分にとって適切な動画であったら「サムアップ」ボタンを押し、適切ではなかったら「サムダウン」ボタンをリモコンで押すことで段階的な評価が可能となっており、この評価によってレコメンドの確かさをより整えていく。
Gracenoteプライベートブース
2016年12月20日にNielsenがTribune Mediaから2017年第1四半期中に完了する見込みの買収を発表したGracenoteは、膨大なメタデータとフィンガープリントの技術によって動画にまつわるデータソリューションも提供している。同社の持つフインガープリントの技術を活用して、ユーザーの視聴動向を分析し、それを同社が持つ動画に関する膨大なメタデータを紐付けてパーソナライゼーションを行っている。個人の動向、嗜好性と、個人×個人の動向、嗜好性をアナライズし、大量に存在する動画から、より個人に寄り添ったレコメンドを目指す。
また、より多くのメタを収集し、そのメタをどのようにまとめていくかも演出。このメタの演出は決められたものではなく、常にひとところに留まるものでもない。つねに、ユーザーファーストで、ユーザーが使いやすいように魅せていくことを目指している。例えば、同社は「人」のまとめ方に関して、俳優、女優というまとめ方からセレブリティというまとめ方に変化させ、今年は、このまとめ方の精度を高めることにより力を入れていくという。より大きな捉え方をしていくことで動画の多様性に対応していく。
大量の動画が存在することが、それがユーザーの豊かな視聴体験の約束に直接つながるわけではない。観たい動画が決まらないままそこに訪れたユーザーにとっては、余りの大量の動画は、動画が氾濫しているようにも映り、そこから離れてしまう可能性も孕んでいる。大量の動画が存在していることに、ユーザーがより確かな恩恵を感じるためには、確実に観たいものに辿り着けるという約束が不可欠である。この約束を果たすために、コンテンツの大量かつ正確なカタログデータの収集と、それを魅力的なまとめていく(番組の適切なジャンル分け、出演者のIDの充実など)一方で、一般的な人気と個人の嗜好性を確実にアナライズし、それらの正確な紐付けに基づいたレコメンドが非常に重要になってくるのだ。
動画が非常に充実している米国においては、レコメンドの整備がユーザとしては待たれるわけだが、日本のユーザーが豊かな動画体験を享受するためには適切なレコメンドのためのデータアナライズの下地を整える一方で、動画の充実というそもそもの根幹の整備が期待される。