テレビ朝日技術局の先端技術の使い方【テレ朝技術展ゴーテックレポート】
10FEB

テレビ朝日技術局の先端技術の使い方【テレ朝技術展ゴーテックレポート】

編集部 2017/2/10 07:00

今回の「ゴーテック2017」では、「4K/8K」「VR/AR」「放送技術」「放送技術と通信技術の融合」「先端技術」の5つのテーマに沿って、テレビ放送の視点に立った視聴者向けサービスや放送の裏側を支えるソリューション、更には若手技術局員による未来予想図なども展示された。Screensではその中から、いくつかのソリューションについてレポートする。

■Microsoft社製「HoloLens」を使ってみた!

今回、数多く展示されたソリューションの中でも、まずはテレビ朝日次世代テレビ研究プロジェクトによる「HoloLensを活用したARテレビ視聴」を紹介したい。

次世代テレビ研究プロジェクトは、テレビ朝日の社内横断チームで、日々のテレビ業務の傍ら、次世代のテクノロジーを研究しているとのことだ。

一方、マイクロソフト社製「HoloLens」は、先月(2017年1月)日本で発売されたばかりのヘッドマウントディスプレイ。高度なセンサーと大量のデータ処理で、AR技術による視聴者とのインタラクションが可能だ。

今回のブースでは、サッカーの試合映像と連動した視聴連動ホログラムを体験。早速、HoloLensを装着してみた。

HoloLensを装着

思ったより軽く、鼻の頭でピッタリ固定される感覚だった。
続いて、ヘッドマウントの透過レンズ越しにスクリーンに映し出されたサッカーの映像を見る。

サッカーの映像が再生開始されてすぐ、ゴールシーンを迎える。すると透過レンズ上に、ゴールした選手のデータを示すテロップが現れた。さらに、しばらくすると、CGで加工されたゴールシーンの再現3D画像(リプレイホログラム)がスクリーンの手前の空間に浮き上がった。

今回は3D画像を手作りしたということだったが、スタジアムにトラッキング用のカメラを設置し選手の動きのデータが取得できるようになれば、この3D画像も自動で生成できるようになるだろう。サッカーに限らず、野球でもバレーボールでもテニスでも、選手やボールの動きが一層視覚化され、スポーツ中継の視聴体験はまた一つ上のステップに駆け上がるはずだ。

視聴連動ホログラムと呼ばれるこの技術では、テロップを手でつまんで表示/非表示することや、リプレイホログラムの周囲を歩いて自由なアングルから眺めることが可能とのこと。情報の補助が欲しい人はヘッドマウントを装着して様々なデータやテロップを楽しみ、シンプルに試合だけを見たい人は本放送だけを見る、というようなそれぞれの視聴スタイルに合わせた体験が今後は期待できそうだ。

ARの技術とヘッドマウントを用いてバーチャルなオブジェクトと現実のオブジェクトを表示するこの体験は、「MR(Mixed Reality)」と呼ばれている。

驚くべきは、テレビ朝日ではこのコンテンツをHoloLensが日本で先月に発売されてからわずか1ヶ月足らずの間に研究し、制作したということだ。

■テレビ局ならではの体験+共有型アトラクション

サッカー中継と同じスポーツという文脈では、他にも興味深いソリューションが数多く展示されていた。

視聴補助という側面で、「IoTを活用した駅伝中継のデータアナリティクス」をご紹介しよう。GPSで駅伝のランナーを捕捉し、マップ上に現在位置を表示するというサービスだ。GPSでの選手位置表示は日本テレビ系列でも長らく箱根駅伝の公式サイトで展開しているが、今回の展示は少し違うアプローチで情報を取得しているとのことだった。

面白いのは、タスキに内包したセンサーが揺れ方を感知してストライド走法かピッチ走法か、或いはペースが落ちてバテているのではないか、というような情報も取れること。市民マラソンなどに導入すれば、自分が何キロ地点から歩いてしまったかもわかることになる。

ただ、競技大会レベルで選手のタスキに実装するには、センサーがやや大きめであることなどが課題になる。

同じくスポーツ文脈として、体験型+共有型の技術を応用とした「VR Baseball(S+)」もご紹介する。こちらではヘッドマウントを装着し、専用のセンサーをバットとして振ることによって、165キロのストレートや110キロ台のカーブを体験できた。

バッターとして165キロに当てることには成功したが、キャッチャーの位置でこの速度を体験すると恐怖の一言。また、草野球をやっている人には今更何をと言われるかもしれないが、110キロ台のカーブも十分速くて当てるのは難しい。プロ野球という世界のすごさを改めて体で感じさせてくれる。

さらに、この一連のプレーをクロマキー合成によってモニターに映し出すことも可能で、周囲で見ているギャラリーのみならずSNSなどでもVR体験を共有できると言う。テレビ局が持つ技術とノウハウの活用により、ヘッドマウントという「一人で楽しむコンテンツ」を、共有から拡散までセットにした「マス向けコンテンツ」に発展させた、まさにテレビ局ならではのコンテンツと言えるだろう。

今後は、同社主催のリアルイベントなどでの展開も検討しているそうなので、その際にはぜひ体験してみていただきたい。

■若手技術局員による2021年未来予想図!

最後に、テレビ朝日技術局の若手社員による未来予想図を紹介する。

東京オリンピックに向けて様々な技術革新が起きることが想定されるなか、その翌年の2021年に世の中はどうなっているのか。それを「先端技術がどのように生活に溶け込むか」という放送局らしい視点で想像したものが、デジタル絵本で紹介されていた。紙面にセンサーが組み込まれており、ページをめくるたびに動画が投影され、BGMが流れる仕組みになっていた。

スケジュール管理や健康状態を管理し、24時間適切なアドバイスをしてくれる「AIコンシェルジュ」が、ARによるホログラムで表現される。

スポーツ観戦では、AIによる自動運転で渋滞知らずの移動が実現され、いざ会場では場内通信網による飲食の注文やオリジナルコンテンツの視聴が可能な「スマートスタジアム」が展開される。ヘッドマウントをつければ、会場内でも選手情報や選手のスピードなどのデータをテレビ視聴のように容易に取得できるようになる。

こういった、今注目されている新しい技術たちが実際に生活や娯楽に溶け込んだ様子を想像力豊かに鮮やかに描かれていた。

■日々の業務に追われつつも、アンテナは常に高感度に!

今回のゴーテック2017ではご紹介したブースの他にも、「センシング映像×立体音響」による水中体験コンテンツやデジタルハリウッド大学院との産学協同開発VRコンテンツ「Joyfulower」など体験型ブースや、IP4K伝送のデモなど技術基盤の紹介までテレビ朝日技術局の多彩な取り組みが紹介されていた。

テレビ朝日技術局では日々の業務をこなしながらも、新しいテクノロジーやプロダクトがリリースされては、自分たちだったらどのように使うか、またどのように視聴者に楽しんでもらうかを常に追究しているという。

これからも、新テクノロジーとテレビ朝日とのシナジーに注目していきたい。

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