視聴率を予測し広告効果を高めるだけじゃない!「SHAREST(β版)」の無限の可能性
04SEP

視聴率を予測し広告効果を高めるだけじゃない!「SHAREST(β版)」の無限の可能性

編集部 2017/9/4 10:00

ディープラーニングを用いたAIによる、テレビ視聴率予測システム「SHAREST(β版)」(シェアレスト・ベータ版)は、今後テレビCMにどう影響を及ぼし、活用されていくのか。前回の『驚きの予測精度!AIでテレビ視聴率を予測する「SHAREST(β版)」』に引き続き、株式会社電通 ラジオテレビ局 スポット業務部兼ビジネス戦略部 岸本渉氏とデータアーティスト株式会社 代表取締役 山本覚氏にインタビューしてきた。

■SHAREST(β版)導入で期待される広告価値の向上と業務効率化

前回の繰り返しになるが、複数ターゲットのテレビCMの素材割り付け時等における従来の視聴率予測は、過去一定期間の視聴率データの平均などを元に行われていた。しかし、その複数素材が多岐にわたるクライアントだった場合、それぞれのターゲットに合わせて計算をするだけでも膨大な作業量になってしまう。ましてや加味する情報が増えればなおのこと、予測に大きなズレが生じることもあった。そうした悩みを解消し、より高精度な視聴率予測を実現すべく開発されたのがSHAREST(β版)だ。

SHAREST(β版)の導入により期待できることを岸本氏はこう語る。

「人が何時間かけて調べても追いきれないものを、AIは自動で学習し予測してくれます。ですから、必要なデータを整備し、さらに予測精度を高めれば、クライアントが求めるレベルの広告効果も期待できます」。SHAREST(β版)を利用することで、かねてから切望していた、複数の商材を扱うクライアントに対し、ターゲットの異なる商材の広告を最適なCM枠に割り付けることが可能に。「もしそれが実用化されれば、広告価値の向上はもちろん、業務の効率化も大きく図れるだろう。」とした。

■SHAREST(β版)の活用と展望

岸本渉氏

では、SHAREST(β版)の実用化に向け、どのような導入を目指しているのか、現状の課題点や展望について岸本氏に伺った。

「前回もお話した通り、SHAREST(β版)開発の目的の一つには、クライアントさんの広告効果を高めることにあります。ですから、現状の課題点としてはより予測精度を高めることにあり、投入できる変数はどんどん整備しAIに学習させていきたいですね」。また、今後の展望については、「SHAREST(β版)を導入し広告効果が高まれば、クライアントさんの商品もどんどん売れるようになると思います。結果、会社の業績が伸び、社員の給与にも反映されれば、購買層も増えるでしょう。広告活動の中でもテレビCMが与える影響は広範囲でとても大きいですから、我々が視聴率の予測精度を上げることが、結果的にテレビCMの価値を高めることになり、最終的には日本の豊かさにもつながることになると思います。」とした。

広告効果を高めることはクライアントの利益のみならず、社会の豊かさにも直結する課題とし、岸本氏はSHAREST(β版)開発に携わってきたという。では、一方の山本氏は、今回のSHAREST(β版)のリリース発表において、どのようなことを感じていたのだろうか。

■視聴率予測にとどまらないSHAREST(β版)が示す可能性

山本覚氏

2017年6月、山本氏がSHAREST(β版)のプレスリリース発表直後のTwitterの反響を調査してみたところ、そこにはAIに対するセンセーショナルなツイートが多数寄せられていたという。中には”AI”やテレビの”視聴率”という部分に対するネガティブな投稿もあり、そういった投稿に残念な気持ちを受けながらも、「テレビの持つ力はとても大きい」と山本氏。

「SHAREST(β版)は単純に視聴率を当てるためのシステムではなく、直近の購買意欲を促すのはもちろん、テレビで良質なコンテンツを送り続けることで、未来の行動パターンはこう変わっていく……といった、より長期的な範囲での予測をしていけるようなシステムとして構築をしていきたいです。」と、SHAREST(β版)の無限の可能性と展望が語られた。

また、その展望の一つとして山本氏は「制作」を挙げた。「ディープラーニングの一番の強みはデータの特徴を自動で掴むことです。逆に言えば、掴んだ特徴からデータを復元することも可能になります。例えば、様々な画像から「目の周りが黒くて黄色のクチバシの白い鳥」という特徴を掴んだ場合、それを基にスラスラと絵を描くことができる、ということです。この技術を用いて、ちょっとしたキャッチコピーやバナーなどを作成する取り組みは、既にある程度実用化が進んでいます。また、視聴率予測で用いた技術を組み合わせれば、より効果的な広告クリエイティブを自動で作成することもできるため、こういった領域においてもAIの活用が期待できます。」

※データアーティストのバナー生成エンジンに活用している研究技術が自動生成した画像

事実、山本氏が代表を務めるデータアーティストでは、デジタル広告素材やウェブサイトのコンサルティングなど、クリエイティブ領域でもAIを駆使した取組みが行われており、 パソコン上で必要な情報を入力すれば、AIがピクセル単位でラフ画や絵コンテを作成するレベルまで、その技術は到達しているという。

SHAREST(β版)のリリースにより、各方面から問合せが殺到しているとのことだが、今後はCM広告価値向上という役目を超えた領域でのAI(SHAREST(β版))の取り組みにも注目していきたい。

[前編]驚きの予測精度!AIでテレビ視聴率を予測する「SHAREST(β版)」

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