デジタル広告の総予算はテレビをベースに考えれば簡単
25AUG

デジタル広告の総予算はテレビをベースに考えれば簡単

編集部 2017/8/25 10:00

株式会社ビデオリサーチ(東京都千代田区)では、マーケティングや広告コミュニケーションで発生する課題の解決を提案する「ビデオリサーチコミュニケーションセミナー」を実施している。

吉田正寛氏

2017年7月21日に開催されたセミナーでは、デジタル広告の予算、運用、検証について、同社ソリューション局 マーケティングソリューション部 第一グループの吉田正寛氏がプレゼンテーション。第一部、「デジタル時代の広告コミュニケーション管理」のセミナーをレポートする。

■優れた指標となるテレビの「GRP」

まずは、デジタル広告の総予算を組む際の、画期的な手法が提案された。
テレビをはじめ、インターネット、街、交通、雑誌、新聞、ラジオと、さまざまなデジタル広告媒体があるなか、広告主(スポンサー)は、どのように予算を配分すべきか頭を悩ませている。「実際のところ、感覚値で決めているというケースが多いのではないか」と吉田氏は語る。

そんなとき、裏付けとなるデータが無いわけではない。ビデオリサーチが提供する「6媒体広告統計」もその一つ。これは、テレビを含めた6つの媒体の出稿実績を統計化したものである。しかし、これらはそれぞれの媒体については検証できるものの、すべての媒体に共通となる指標がないため、フラットに比較するのが難しい。さらに、広告料金が実勢価格ではなく、正価ベース。すぐに応用できるものではないのだという。

一方、「テレビにはGRPという優れた指標がある」と吉田氏。「1GRP=視聴率1%の番組に、CM1本を流す」というおなじみの単位である。テレビCMは、GRPの高さと購入者数が比例することがわかっている。つまり、「売上=a×GRP+b」という単純な方程式が成り立つのである。そのため、目標達成に必要な、一般的なGRPが割り出せる。すると、関東地区の1GRPの相場から、必要な予算から導き出されるというわけだ。「GRPは、接点指標と予算指標を兼ねた概念」と吉田氏は高く評価している。

■各媒体で、「広告効果」の相対比を出す

GRPで、テレビ広告の予算は算出できる。そこで吉田氏は、「テレビと各媒体の広告効果を相対的に比較できれば、全体の予算も割り出せるのではないか?」と着目した。広告効果とは、「認知力×態度変容力」と吉田氏は定義する。「認知力」とは、広告に対する“認知率”のこと、「態度変容力」とは、例えば“購入意向率”などがあげられる。

仮に、テレビ広告の“認知率”が90%で、“購入意向率”が10%だった場合、市場への広告効果は9%となる。一方、インターネット広告は“認知率”が10%だったとしても、“購入意向率”が90%なら、市場への広告効果はやはり9%。とすれば、テレビの予算と、インターネットの予算は、同じ1:1の比率で掛けたほうが、広告効果を最大化できるということになる。この「認知力」と「態度変容力」に関しては、ビデオリサーチが提供する「ACR/ex(エーシーアールエクス)」というデータベースで、「認知力」=“接触リーチ”、「態度変容力」=“広告を見て行った行動”というパラメータで、容易に入手可能だという。

まとめると、デジタル広告の総予算は、

(1)テレビに関して、目標とする広告効果に必要なGRPを算出し、テレビ予算を推計する。
(2)テレビ以外のメディアで、必要な広告効果に応じ、出稿配分を作成する。
(3)テレビ予算と他メディアの出稿配分比から、必要な総出稿予算を算出する

という三段構えで求められるという。データに裏付けられた広告の予算配分が可能という点で、導入に一考の価値があるだろう。

■広告効果検証も、各媒体をフラットに捉えるべき

セミナーでは、広告を打ち出したあとの効果検証についても触れられた。「広告効果は一つではない。長期的に現れるものもあれば、短期的なものもある」と吉田氏。長期効果は、売上やPOSのデータで推測でき、短期効果に関しては、CMカルテ/クリエイティブカルテ、J-MONITOR/M-VLUE、インターネットログ(CTR)、VR-CUBICなどで求められるという。

※VR-CUBIC

ただ、テレビとネット以外のメディアはログでの測定が不可能なのが現状だ。吉田氏は「『ログ=接触実態』と、『アンケート=意識』を同時に調査すると、反応レベルが異なるため、解釈が非常に困難」と指摘する。今のところ、6媒体の短期効果をフラットに調査する方法としては、アンケートを吉田氏は推奨している。

吉田氏は、なぜフラットな調査にこだわるのか。それは、ジャッジメントに必要な情報となるからだ。「そのためにも、極力シンプルな管理でなければならない」と吉田氏は提言する。今回の手法は、捉えどころが難しかったデジタル広告の予算配分や効果検証について、一つの道筋をつけるものとなるだろう。

次回は、セミナーの第二部「『刺さる』広告を届ける!デジタル広告の効果的活用」についてお届けする。昨今のターゲティングのアプローチとは異なる、生活者視点ベースのデジタル広告の活用について、吉田氏の新たな提案を紹介しよう。

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