「放送」の今後を考える重要課題とは?【Inter BEE 2018】
編集部
音と映像と通信のプロフェッショナル展、Inter BEEが今年も幕張メッセにて開催される。コンテンツビジネスにかかわる最新のイノベーションが国内外から一堂に会する国際展示会で、1965年の初開催(当時の名称は放送機器展)から、今年で54回目を数える歴史あるイベントだ。
そのなかでも、2014年に特設コーナーとして始まり、放送と通信の融合を展示とプレゼンテーションで提案する「INTER BEE CONNECTED」は、初開催から5回目の今回も、3日間にわたる充実のセッションが予定されている。そんな本年度のINTER BEE CONNECTED の情報が、公式サイト「Inter BEEマガジン」で掲載。以下、その内容を紹介する。
■オウンドメディア、海外展開、Society5.0など最新トレンドについて
本年度は、キー局の動画配信、視聴データ・視聴ログなど、これまでにも注目を集めていたセッションに加えて、Society5.0、放送局のオウンドメディア、ショート動画、コンテンツの海外展開といった新しいテーマも取り上げられる。
Society 5.0とは、サイバー空間と実世界の高度な連携によって、経済の発展や社会の課題解決を測ろうとするもの。今回のCONNECTED では、サイバー空間と実世界の両方に密接に結びつく放送がどのようにSociety 5.0として機能しているかの実例が紹介され、さらに、近未来の放送の役割についての話が予定されている。
ショート動画に関するセッションでは、放送局がスマホやネット動画などSNS向けに短尺のオリジナルコンテンツを発信している最新状況を紹介。過去の資産や放送局ならではの高度な制作能力を用いて発信するねらいやそのビジネスモデルなど、放送局として今後どのような可能性があるかを探る。
放送局の新しいメディアの動きの一つとして強い関心が向けられているオウンドメディア。放送局がネットで展開する映像や読みものによる情報発信など、多彩なコンテンツ展開をセッションにて紹介する。
また、コンテンツの海外展開についてのセッションでは、番組フォーマット販売などを含め、放送局におけるコンテンツの海外ビジネスの最前線で活躍する担当者が登壇する。
■ドリンク片手に参加者と意見交換する新企画「after hours」
今年度から新企画として、一般の展示スケジュール後、ドリンクを提供しながら「テレビの未来」について語り合う「after hours」という催しも予定されている。テレビの将来をどのように考えるか、会場を巻き込んでの意見交換が期待される。
■主幹・塚本 幹夫氏のコメント
毎年、最新の話題をピックアップして議論を進めるINTER BEE CONNECTEDを支えているのが、アドバイザリーボードと呼ばれる委員会のメンバーの情報力とネットワークだ。年初から活発な討議が繰り返され、テーマや課題、登壇者の候補への直接交渉などを経て、11月の開催に至るとのこと。
ボードメンバーとして5年間もの間、メンバーを牽引してきたのが、ボードメンバー主幹の塚本氏だ。塚本氏は、CONNECTEDの意義や今後のデジタルメディアの方向性などについて以下のように話している。
――CONNECTEDのねらいとはどのようなものでしょうか。
いわゆる放送機器展として、主に技術系の放送局社員やプロダクションスタッフに注目されてきたInter BEEに、“放送と通信の融合”を念頭に置いたサービスやビジネスにフォーカスすることで、新たな客層を開拓するとともに、放送や配信に紐づいたIT業界の展示を拡充させたいと考えました。
――これまでの5年の成果についてどのように感じられていますか。
米NAB SHOWがそうであるように、Inter BEE自体が放送機器展から“コンテンツビジネス&サービス展”に変貌してきました。表現方法や通信手段、デバイスも変化を遂げるなか、放送局を中心としたコンテンツ産業の実績やトライアルを紹介することで、新たなジャンルを確立できたのではないかと自負しています。
――現在のデジタルメディアの状況のなかで放送局は何が重要でしょうか。
日本においては、放送局が最大のスタジオであり、コンテンツ産業の基幹となっています。放送業界のパワーを維持しながら、新たなテクノロジーにチャレンジすることで、日本のコンテンツ産業全体を牽引することが放送に求められていると思います。
なお、本年度のINTER BEE CONNECTEDのテーマ、日程、登壇者(一部未発表)などの全容はこちらから確認できる。
また、今年からオープンスペースの特別イベントにおいても、セッションはすべて事前申し込みが必要となる。事前登録の申し込みはすでに開始している。
https://www.inter-bee.com/ja/magazine/special/detail.php?magazine_id=3830