「見えなかったものが映る!」BS朝日『土井善晴の美食探訪』Pが語る4K放送の取組みと制作の裏側
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「見えなかったものが映る!」BS朝日『土井善晴の美食探訪』Pが語る4K放送の取組みと制作の裏側

編集部 2018/12/3 08:45

    BS朝日は、12月1日よりBS朝日4Kチャンネルの放送を開始。それに先駆け、11月26日に、料理研究家・土井善晴氏がゲストと共に街の名店を巡るグルメ番組『土井善晴の美食探訪』(BS朝日、毎週月曜19:00~)の2K・4K映像鑑賞会を六本木のBS朝日社屋にて開催した。会場には土井氏も駆けつけ、4K映像を鑑賞。番組の見どころや4K撮影の様子について語られた鑑賞会の様子と共に、番組プロデューサーを務める編成制作局 編成制作部 マネージャー 山下龍蔵氏に、4K放送の取組みについて話を聞いた。

    ■『土井善晴の美食探訪』2K・4K映像鑑賞会を実施

    同番組は、地元の人の口コミで紹介された和・洋・中の街の名店を、土井氏がゲストと共に巡るグルメ番組。選ばれた名店の究極の一品を、美しい映像で紹介することから、目でも楽しめる美食番組として人気を博す。

    冒頭、山下氏から、鑑賞会開催にあたり、2017年10月の放送開始以来、全編を高精細画質4Kカメラで撮影してきた経緯が語られた。山下氏は2Kとの違いを、「4K HDRは実際に自分の目の前で見たものが映像で表現できる精密なリアルさ」と表し、「土井氏が常々口にする“料理は目で見て食べるもの”という言葉の通り、その言わんとするところが映像としても表現できるようになった」と述べた。そして、当日の朝、上がってきたばかりだという12月3日放送の同番組、東京・吉祥寺編の映像を、2Kと4Kの液晶を横並びにする形で鑑賞会が開始された。

    4K映像(左)と2K映像(右)

    ■4K撮影と編集へのこだわり

    土井善晴氏

    鑑賞会終了後、土井氏は、「自分では見えないものが4Kには映っている。チーズの溶け具合とか、自分の目では広範囲の視界で捉えているので、4Kでは食材そのものを集中して見せてくれている。食材の動きなど、肉眼と同じでとてもリアルに伝えてくれるものがある」と感想を口にした。また、撮影について2Kとの違いを尋ねられると、「全然違う。4Kは時間がかかるんです。光の条件とか、準備があるのでとても手間がかかります。技術的なことはわかりませんが、スタッフも普段とは違う条件と心構えがあるのでは。それでも、1年経ってだんだんと扱う方も慣れてきているようで、撮影もスムーズになってきている。人間の方が機械の進歩に合わせているようです」と表現し笑顔を見せた。

    山下氏も撮影の大変さをこう語る。「4K HDRでは、2Kで表現できていた明るさの100倍表現できるため、光をいくら当てても色飛びしません。そのため、まずは光をいっぱい当てるという作業を準備段階でしなければならない。ただ、光の当て方を間違えると色が変わってしまうため、その調整にも時間がかかり、最初のうちは土井先生の待ち時間も長くなってしまいました」。また、物撮りに関しては別日を設け、作っている段階から撮影するため、1軒につき3時間は確保している。「フォーカスを合わせるのが難しいので、引きの画、寄りの画と、その都度レンズを交換して撮影します」と技術面での苦労点が明かされた。

    放送開始から1年弱、4K放送開始に向けて、ずっと編集も4Kの完パケ(収録した映像を完全に編集し、放送できる状態)で行ってきた。「4Kカメラで撮影して、編集の段階でまず2Kに落とします。理由は、4Kではレンダリングで時間を取られてしまうこと、最初にディレクターがPCで編集作業を行うためです。2Kで編集が出来上がったら、4Kの素材データを元に、1カットずつ色味を調整しながら貼り付けていきます。その際、テロップも4Kのものに張り替えて行うため、その編集からチェックまで1週間かかります」と2Kの何倍もかかる編集工程が山下氏より語られた。しかも、もしも最終チェック段階で修正が見つかると、大元となるデータから修正することになるため、作業工程を逆戻りする形でゆうに8時間ほどの作業が必要になる。「出来上がったものに対してそこだけ直すソフトも海外では開発されていますが、不具合が起こるなど信用性に欠けるため、うちでは今のところこういった工程を踏んでいる。とはいえ、作業効率を上げる方法を考えていくことがこれからの課題点」と続けた。

    ■4K放送で発見する喜びを!

    山下氏は、4K放送開始にあたり、「手塩にかけて育てた、丁寧に作った番組です。お正月も昨年に引き続き5本分まとめて放送する予定なので、BS朝日で4K放送をたくさんの方にお楽しみいただきたい」とメッセージを送った。

    土井氏は、「4Kでは今まで見えなかったものが映る。同番組でも、番組の端っこに映る女将さんや料理人といった立役者が映ることがある。そんな周囲も含めた新しいものを、視聴者の方にも見つけてほしい。情報を受け身で捉えがちな今の世の中、液晶の中で、自分で発見する喜びを、4K放送をきっかけに思い出してもらえたらなと思う」と話す。また、インスタ映えという言葉に対し、「体裁を整えた視覚的な刺激は与えられるが、同番組では、映像の綺麗さだけではなく、きめの細かさ、触覚までも表現している。飾り付けた美味しさではなく、触覚的視覚を楽しみ、五感で感じ取れる作りになっているので、そういう深いところをぜひご覧いただきたい」と、他番組とは違う視点を持ち、真摯に制作に取り組むスタッフの心意気や、自身も同じ姿勢で視聴者に伝えられるよう努力していることが語られた。

    <年始の一挙放送の時間と内容>
    1月1日(火)

    07:00~09:00 「土井善晴の美食探訪 #23東京・神楽坂」※2018/9/10
    09:00~10:55 「土井善晴の美食探訪 #24東京・日本橋人形町」※2018/10/1
    11:00~12:55 「土井善晴の美食探訪 #25東京・浅草」※2018/10/15
    13:00~15:00 「土井善晴の美食探訪 #26東京・月島」※2018/11/5
    15:00~16:54 「土井善晴の美食探訪 #27東京・麻布十番」※2018/11/12

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