『Advanced TVの世界 ~データ分析を活かしたテレビ広告の買い方に向き合う~』【VR FORUM 2019】
27MAY

『Advanced TVの世界 ~データ分析を活かしたテレビ広告の買い方に向き合う~』【VR FORUM 2019】

編集部 2019/5/27 09:30

株式会社ビデオリサーチ(以下、ビデオリサーチ社)は、2月13日・14日に東京ミッドタウンにて「VR FORUM 2019」を開催。2日目にあたる14日は、さまざまなパネリストによるセッションが行われた。そのなかから今回は『Advanced TVの世界~データ分析を活かしたテレビ広告の買い方に向き合う~』をレポートする。

パネリストは、CNN International CommercialのGregory Beitchman 氏、日本テレビ放送網株式会社の巽 直啓氏。モデレーターは、ビデオリサーチの木塚 了敬氏。海外のテレビ業界で行われているテレビ広告の販売ソリューション『AdvancedTV』を軸に、盛り上がりつつある「データ分析を元にしたテレビ広告販売」の実態について議論が交わされた。

■グループ親会社の持つ顧客データをCM出稿に活用─CNNの事例

『AdvancedTV』とは、消費者行動や購買データなどをもとにした“新しい軸の視聴率データ”に放送局ごとの広告枠在庫を連動させ、プランニングや出稿案の自動作成までをサポートする仕組み。テレビ広告出稿が「特定の視聴者層をカバーする」という概念が強いアメリカやイギリスのテレビネットワークを中心に展開が広がっている。

セッションでは最初に、この仕組みを積極的に導入しているメディアとしてCNNのBeitchman氏が現状を語った。

1985年、創業者のテッド・ターナー氏がアトランタのテレビ局を買収してニュース専門チャンネルを立ち上げ、誕生したCNN。Beitchman氏は、「CNNはテレビから生まれてきたブランド」とテレビに対する思い入れは並々ならぬものがあるという。しかし、デジタルメディアの発達につれ「視聴者のカスタマージャーニー(認知から視聴にいたるまでの経路)が変わってきている」とも語った。CNNでもテレビメディアを中心に、WEBからメッセージングサービス、IoT(情報家電)にいたるまで、展開チャネルを増やしている。

Beitchman氏は「視聴先はテレビだけではなくなっている」とし、「視聴者がいる“場所”に向けて情報を届けるスタンスになっている」とし、ターゲットとする視聴者のリーチを念頭に、視聴環境の拡充やコンテンツの高価値化を志向していると語った。

続いてBeitchman氏は、もうひとつのテレビ広告取引ソリューション『Adressable TV』についても言及した。『AddressableTV』とは、ケーブルテレビのセットトップボックスから取得した属性データをもとに“世帯ごとにCMの差し替え”を実施する仕組みのこと。同一の番組でも、視聴者ごとに最適なクリエイティブを指定できる点が大きな特長だ。

CNNでは、自身がワーナーメディアグループに所属する利点を活かし、グループの親会社にあたるAT&Tが保持する1億7,000万人分のD to C(直接的に保持する顧客)データの利用を視野に入れながら、CMのカスタマイズを検討しているという。

■ターゲット視聴時代を見据え、CM枠の「日付・時間指定セールス」に踏み切った日テレ

日本テレビの巽氏は、海外と日本それぞれのテレビCMセールスの変化を比較しながら、業界をリードしていく立場としての日本テレビの姿勢を表明した。

海外においての事例を詳細に調査したという巽氏は「だいぶ前から視聴データがカレンシー(貨幣的な価値基準)を持つようになっている」と指摘。すでにデータドリブンのマーケティングがテレビメディアにおいても進んでいると述べた。一方、日本のテレビメディアについては依然として世帯視聴率に基づくGRPベースの取引が続いているとし、その一因として、「日本では、テレビCM出稿の作案(プランニング)のイニシアチブがテレビ局サイドにあるからではないか」と考察した。

また、「業界として変わっていくためには、まずテレビ局単位で新しい取り組みを」という思いから、日本テレビでは従前のGRPベースのセールスに加え、スポットCMを放映日付・時間を指定して1本単位で販売する『Advanced Spot Sales』という形態をスタートさせた。これまでもトライアル販売を行っていたが、2019年2月より正式販売に踏み切ったという。

巽氏は「『Advanced Spot Sales』の開始にともない、CM販売は放映する番組の質が大きく反映されるようになる」とし、より厳密な価値判断が行えるよう、日本テレビでは判断基準となる視聴率を世帯視聴率から個人視聴率へと変更していると明らかにした。

あわせて巽氏は、「今後もビデオリサーチをはじめとするさまざまな会社と連携を図り、視聴データを組み合わせることで広告主のニーズに沿ったセールスを行っていきたい」と述べ、ターゲット視聴時代を見据えた取り組みを積極的に推し進めていく姿勢を表明した。

海外ではすでに主流となりつつあるなか、日本でもいよいよ本格的に動き出した様子が見える、データドリブンのテレビCM販売。業界的な構造とも向き合いながら、「全体の足並みが揃うより前に、個々の放送局単位で対応を推し進めていく」とした日本テレビの姿勢に大きな期待を感じるセッションとなった。

PAGE TOP