テレビ宮崎 編成業務局長 原口博己氏(右)、経営戦略局コンテンツ開発部兼報道制作局制作部 村上辰之助氏(左)

08 JUN

コロナ防止対策スポットCMに込める想いとは?~NHK・MRT・UMK、宮崎3局合同キャンペ「みやざきとともに」の展開(前編)~

編集部 2020/6/8 09:00

新型コロナウイルス感染拡大防止に向けて地域の放送局がタッグを組んだ取組みが全国でみられる。NHK宮崎放送局とMRT宮崎放送、UMKテレビ宮崎の3局も4月29日から合同キャンペーン「みやざきとともに」を本格的に開始し、啓蒙スポットCMを発信し続けている。3局が揃った今回の展開にはどのような想いが込められているのか?テレビ宮崎の編成業務局長原口博己氏と経営戦略局コンテンツ開発部兼報道制作局制作部の村上辰之助氏に話を聞いた。(本文以下、敬称略)

3局合同キャンペーン みやざきとともに 30秒 Ver.

■「宮崎も何かやろう」の会話をきっかけに9年ぶりに3局がタッグ組む

NHK 宮崎放送局、MRT 宮崎放送、UMK テレビ宮崎の 3 局が感染拡大防止に向けた合同キャンペーンを企画したのは緊急事態宣言が全国に発令される直前の3月末の頃だった。どのような経緯で「みやざきとともに」の企画が実現されていったのだろうか。

原口氏:宮崎市内で開催された3月末の定期会合で、3局それぞれの上層部が顔を合わせた時のことです。「(新型コロナウィルスの影響で)宮崎も停滞しているから、何かやりましょう」という会話が生まれたのがそもそものきっかけです。すぐにそれぞれの局が話を社内に持ち帰り、現場に落とし込んでいきました。アイデアを持ち寄り、4月6日に開催した3局合同の会議で方向性が決まり、動き出したという経緯になります。

全国各地でも新型コロナウィルス対策として、地域のテレビ局による合同の取組みの動きがみられる。自発的に広がっていったようだ。

原口氏:我々と同じく、急遽、立ち上がったケースがほとんど。蓋を開けてみると、他のエリアで既にいろいろ取り組まれていることがわかり、考えていることは皆一緒だなあと思いました。「みやざきとともに」を本格的に開始したのは4月29日と、緊急事態宣言が全国に発令されてから少し時間が経過していた頃のことでしたが、系列を越えて宮崎のテレビ局が全て揃ったかたちで実現できたことでより訴求力が高まったと思います。

宮崎のテレビ局全3局が合同で取り組むキャンペーンとしては2011年の「地上デジタル放送移行」以来、9年ぶり。スポットCMとして展開されることになった。

村上氏:3局の話し合いのもと、スポットCMで展開する方向でまとまったわけですが、「みやざきとともに」は「感染拡大防止と、皆で支え合い共に乗り越えよう」というメッセージを伝えるものになります。3局が共通のスポット素材を使って発信することで周知徹底の効果も大きい。というのも、宮崎は民放が2局のみです。視聴者の皆さんから「表と裏」と言われがちの2局が交わることは滅多にありません。その2局が共に取り組み、NHKも一緒に揃うことで、目に止めてもらう機会も多いのかと思います。

■NHK、MRT、UMKの夕方帯ニュースの顔が並ぶスポットCM

現在放送されているスポットCMにはNHK宮崎香子キャスター、MRT加藤沙知アナウンサー、UMK永井友梨アナウンサーの3人が出演している。それぞれ夕方帯のローカルニュースで活躍する顔ぶれが揃い、反響も高いという。

3局合同キャンペーン みやざきとともに 15秒UMK Ver.

原口氏:展開開始した前日の4月28日に各局夕方のニュース番組で告知し、それ以降、1日5本を目安にそれぞれの局で放送しています。私自身もそれぞれのチャンネルで3局のアナウンサーが揃った3ショットを初めて観たときは流石に感慨深いものがありました。

村上氏:このCMは当初、ソーシャルディスタンスを取りながら、屋外で撮影することも考えられていましたが、検討を重ねた結果、同じ場所で集まって撮影することを避け、各局のスタジオで収録したものをひとつに編集しました。30秒バージョンの素材は各局共通で、15秒バージョンは放送する局によって、アナウンサーが登場する順番も変えています。

放送以外にも各局のHPやSNS等を利用しながら、発信の展開を広げている。新型コロナウィルスの感染拡大の状況をみながら、スポットCMについても当初予定していた期間を延長するなど、臨機応変に対応しているところだ。

村上氏:WEBの展開は各社それぞれの判断で行っています。最も周知徹底しやすいスポットCMについてはアフターコロナまでどのように展開できるのか、検討を進めているところです。合同キャンペーン「みやざきとともに」は、テレビ局の姿勢を見せる機会にもなります。こうした狙いも含めた3局合同キャンペーンとして、温めながら検討を重ねていきたいという思いがあります。

原口氏:スポットCMでは「密を避けよう」という啓発と共に、医療従事者への感謝の気持ちや自分たちでできることを行動にしていくことを呼び掛けています。この合同キャンペーンは地元に貢献しようという思いが大前提にあります。普段はお互い切磋琢磨しながら競争するライバル局もこうしたタイミングにタッグを組むことでその想いが県民にも伝わりやすいと思います。宮崎ではテレビに対する信頼度が高く、3局が集まって1つの企画に取り組むことのインパクトも大きい。緊急事態宣言が全国で解除されましたが、第2波に備えて啓蒙していく必要もあるなか、できる限り続けていきます。

3局合同スポットCMの放送期間は6月14日まで。UMKでは、今回の合同キャンペーンを活かした独自の展開も試みているところである。後編ではそのUMKの取組みを中心にお伝えする。