多様化した生活者にマスメディアは“届いている”か?
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多様化した生活者にマスメディアは“届いている”か?

編集部 2017/11/10 10:00

2017年10月3日、株式会社ビデオリサーチにて、広告業界関係者向けのコミュニケーションセミナーが開催された。

今回のテーマは「デジタル展開を想定したマスメディア広告出稿の最適化」。

プレゼンテーターは、同社のソリューション局 マーケティングソリューション部 吉田正寛氏と、ひと研究所 研究員 石倉裕大氏が務めた。今回は、本セミナーの内容を全2回に分けてレポートする。

第1回はマスメディアの問題点について。リーチメディアとして非常に重要な役割を担ってきたテレビ。しかし、生活者の多様化や、これからの時代のメディアミックスを考えたとき、いくつかの課題が浮かび上がってきた。

■一昔前、40代は「大学生の親世代」とくくれた

生活者の多様化がもたらす問題の一つとして、ひと研究所の石倉氏は、「共通メッセージ」が届きづらくなってきていることを挙げた。

ビデオリサーチによる1995年と2017年の比較調査によると、40代男女の第一子年齢は、1995年では「18歳~21歳」という大学生がピークになっている。しかし、2017年における第一子年齢は、小学校高学年から高校生まで平均的に分布している。一方で、「子どもなし・独立」もほぼ同率。明確なピークがなくなってきているのだ。

つまり、一昔前の40代は「大学生の親世代」と一括りにすることができたが、現在は小学生の子どもを抱えている人もいれば、自己実現のみを追求している人もいる。あまりにも振れ幅が大きいので、これまでと同じ内容や伝え方ではどうしても全体に届かないのだ。

■利用されるメディアは、全体的に分散傾向

また、年代ごとに利用するメディアにバラツキが出てきたことも悩ましい。同社の2016年4~6月の調査によると、年代別のテレビ接触時間は、50歳~69歳と比較して、20歳~34歳は男女とも半分以下となっている。「オールターゲットに広告を打とうとしても取りこぼしが出てしまう」と石倉氏は指摘した。

さらに、メディア利用は全体的に分散する傾向にある。ビデオリサーチの吉田氏は「メディア全体での接触時間はほぼ変わらないのに、内容が変わってきているのが大きい」と示唆する。特に近年、著しい伸びを見せたのが、やはりスマートデバイスだ。2000年と2016年で比較すると、テレビの接触分数は25分減なのに対し、スマートデバイスは23分増。F1層に絞ると、テレビは43分減なのに対して、スマートデバイスは49分増となっている。テレビ単体でのリーチの難しさは、今後さらに高まっていくことが予想される。

■デジタルとのマッチワークにも、“溝”がある

このような生活者の変容を受け、リーチを補完する方法として、スマートデバイスなどのデジタル広告を利用する流れがある。しかし、この流れにも課題はある。吉田氏は「テレビを始めとしたマスメディア広告と、デジタル広告はその役割や扱いが根本的に違う」と指摘する。

というのも、マスメディア広告は、「広告宣伝」の領域だが、デジタル広告は特定のターゲットに狙いを絞った「販促」の領域。このため、扱う部署も異なる場合がほとんどだ。一方で、情報を享受する側の生活者は、すべてがシームレスである。目的も部署も異なる発信側がうまく連携するには、両者の歩み寄りが必要。だが、未だ決まった枠組み、共通の認識がないのが現状である。「マスメディアとデジタルがうまくバトンタッチできなければ、効果の最大化は望めなくなってしまう」と吉田氏は危惧する。

■ターゲットへの意識と、デジタルへの歩み寄りが重要

これまで、テレビを含むマスメディアは、限りなく広いリーチを持っていたことがメリットとされてきた。

しかし、生活スタイルは多様化。今後はさらにその傾向は継続すると予想される。そのため、「リーチを取りつつも、ターゲットにアプローチする施策が重要」と石倉氏は語る。

さらに、吉田氏が指摘するように、テレビ以外のメディアでリーチを確保することも大切になっている。そのためにはメディア間で歩み寄り、超越的な連携が必要となる。今後の課題として意識するべき問題といえるだろう。

次回はセミナー後半。洗い出された問題点をどのようにクリアしていくか? マスメディアとデジタルのシームレスな連携に必要なものは何か? それらに対する解決のヒントが提示されていく。

[後編]「意識ベース」で最適化したターゲットがマスとデジタルをつなぐ“バトン”になる

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