AI・VR関連の新たな施策を主要ブースにて公開【Inter BEE 2017レポート(後編)】
編集部
放送・メディアの技術革新を紹介し、国内外に新たなメディアの可能性を示す情報発信力を持つ国際展示会『Inter BEE 2017』が、千葉・幕張メッセで開催(2017年11月15日~17日)。Screensでは過去最大規模での開催となった同展に足を運び、主要ブースにて今年の目玉を取材してきた。
前編では、「放送・配信関連の新たな施策を主要ブースにて公開」をお伝えしたが、後編となる今回は、AIとVR関連の最新動向をレポートしたい。
■最新3D360度VRで、同時に2人の女性とのデートを疑似体験!
昨年の同展では、『360°まる見え!VRアイドル水泳大会』がブースで体験できるとあり、その斬新な企画と目新しさに大いに盛り上がりを見せた株式会社フジテレビジョンブースだったが、今年はさらに趣向を凝らし、内容も映像もバージョンアップし登場。時間帯によっては列をなす大盛況ぶりだった。

今回、同社が制作したマルチエンディングVRコンテンツ『ドッチエ・LOVE?VR』は、気になる2人の女性と同時に遊園地デートをし、終盤にどちらか1人の女性を選ぶという、疑似デート体験が楽しめる作品となっている。
担当者に昨年度との違いを尋ねると、「3D 360°VRカメラ“OZO”を新たに採用し、より没入感が味わえる作品になりました」とコメント。3D360度VRカメラ“OZO”は、解像度2Kのカメラ が8個 、マイク が 8個も搭載されている700万円超えのプロ仕様とされる代物だ。
筆者も実際に体験してみたところ、映像も音声も360度サラウンドで、リアルデートを体感。デートスポットは遊園地という設定なため、いくつかのアトラクションを女の子と一緒に楽しむわけだが、従来のVRにありがちな“(VR)酔い”が乗り物に乗る設定でも感じられないのには正直驚いた。

第1話は2人の女性とデートをし、最後にどちらの女性を選ぶか選択を迫られる形で終わるが、続編では、体験者自ら選んだ女性とのラブホテルデートへ進展する。『ドッチエ・LOVE?VR』の楽しみ方を尋ねると、「より臨場感を味わいたいなら、足が地面に届かない高めのイスに座り体験するのがおすすめ」。その理由が気になる人は、いますぐスマホアプリ『FODVR』をダウンロードしてお楽しみいただければと思う。
■自律型アンドロイド「ERICA」が会場の様子をニューススタイルで紹介

日本テレビ放送網株式会社が出展した自律型アンドロイド「ERICA」。同局は「マツコとマツコ」で活躍したマツコ・デラックスのアンドロイド「マツコロイド」などを生み出した大阪大学の石黒教授はじめ、京都大学、株式会社国際電気通信基礎技術研究所との共同研究を進める。
同展では、「アンドロイドERICAの部屋」と題した展示ブースで、来場者とのかけあいを楽しんだり、Inter BEE2017の一日のできごとをニューススタイルで紹介する「デイリーレポート」が催され、通りすがりの来場者も、美しすぎるアンドロイドERICAの饒舌さに足を止めて見入る姿が。
筆者も初めてERICAと対面したが、一見ではアンドロイドと判断しづらいほど自然な顔立ちをしており、声を出す時の唇や頭の動きといった仕草にも違和感がない。何よりも、人間が問いかけた言葉に対し、きちんと聞き側に回り、まるで感情があるかのような返答をすることに、ロボット技術の進化を感じた。
■リアルさが増したAIアナウンサー「荒木ゆい」β版がお披露目
当サイトでも紹介した「会話も可能なAIアナウンサー!?「荒木 ゆい」のβ版リリース」でもおなじみの株式会社Specteeのブースでは、リリースされたばかりのAIアナウンサー荒木ゆいβ版が登場。耳を傾けると、疑いようもないくらい、人間のアナウンサーそのもの。息つぎの仕方やイントネーションといった細かな部分からも、リアルさが増していることが感じられた。

担当者に今後の展望を尋ねると、「男性アナウンサーや高齢者向けの新キャラの設定、アニメの声優といった分野にも挑戦していきたい」と語られた。
以上、前編・後編に分けて会場の様子をレポートしたが、音と映像と通信のプロフェッショナル展「Inter BEE 2017」は、開催スローガンの「WHAT WILL YOU DO NEXT?-新たなメディアの可能性を世界に伝えよう。」の通り、各分野で最新・最前線の動向が展示・報告された。3日間で登録来場者数が過去最多の38,083人に到達した同イベントは、今年も大盛況で幕を閉じた。