視聴者の反応をリアルタイムに活かし番組を最適化!情報番組のTwitter活用例<テレビ朝日×Twitter対談(前編)>
編集部
2017年の平均視聴率において、株式会社テレビ朝日(以下、テレビ朝日)の情報番組『羽鳥慎一モーニングショー』(毎週月~金、8:00~)が時間帯の民放トップを記録。メインキャスターの魅力もさることながら、Twitterを積極的に活用するなどネットを意識した番組づくりも高視聴率の原因の1つと考えられる。
そこで今回は、同番組のチーフプロデューサー小寺敦氏(写真:右)と、Twitter Japan株式会社のTwitter Client Solutions メディア&エンターテインメント業界担当の高橋習治氏(写真:左)を迎え、テレビとネットの関係性や視聴者への影響について語っていただいた。この対談の内容を、前後編に分けて紹介する。
■番組制作にTwitterをどう活用しているのか?
――『モーニングショー』では、番組公式アカウントの他に、「月曜班@モーニングショー」など曜日別でTwitterアカウントを運用し、視聴者から情報を募っている。この他、どのような使い方をしているのだろうか?
小寺氏:私たちは、Twitterの活用を既に3通りの方法でやっています。勝手に、ですけど(笑)
テレビ朝日の全体的な取り組みとしては、報道局がAIを利用したニュース性の高い情報の収集を行っています。例えば災害や火事などが起こった時に、たくさんの人がツイートしたものを自動的に検知して、情報を取るんです。そして取材に行った方がいいのかどうかの判断材料の1つにしています。
また、スタッフが情報収集のために常にTwitterを活用しています。『羽鳥慎一モーニングショー』のスタッフは、全員がTwitterクライアントの使い方を勉強しており、何かが起こった時にはTwitterを始めとするSNSを活用する時代に対応しています。
そして、これは私自身の使い方ですけど、放送中にリアルタイムで何がツイートされているのか検索して、ずーっと見ています。その反応を見ながら、間違いの指摘があった時にはすぐに調べて訂正したり、反応がいい時にはスタジオトークを延ばしたりと、その場の判断のヒントにしています。
高橋氏: 緻密に時間管理をされている番組進行の中で、リアルタイムに視聴者の反応を見ながら内容を調整されているというのはすごいですね!
小寺氏:視聴者のみなさんは、集中して画面を見ているというよりも、見ながら何かをつぶやきたいんだと思うんです。昔はテレビを見ながら家族で会話していたんでしょうけど、今はその相手がSNSになっていると思うので、Twitter上での反応が大きいか小さいかは、非常に重要なんです。
■『羽鳥慎一モーニングショー』Twitterアカウントを複数持つ理由
小寺氏:Twitterアカウントは、メインのアカウント@morningshow_tvに加えて、曜日ごとのアカウントがあります。情報収集をするためにはひとつでは混乱してしまいますので、月曜日から金曜日までの各班がそれぞれ個別のアカウントを持って、責任の所在を明らかにしたうえで運用しています。
高橋氏:Twitterで何がツイートされているのかを調べて、ツイートしている方にアプローチをして、取材をしていくことは、開かれた情報をうまく利用されていると思います。私たちにとっても、すごくありがたいです。
小寺氏:Twitterでの情報収集で一番難しいのが、真偽性の判断ですね。我々は先方と連絡を取り合って、映像や写真を使ってもいいか許可をもらいます。同時に、社会部や系列局に問い合わせして、警察の裏付けも含めて、本当にそういう事案が起きているのか、信ぴょう性があるかどうかの確認をきっちりしています。これはずっとついて回る問題なのかと……。
Twitter広報:当社としても向き合っていかなくてはいけない領域だと思っています。実は、会社全体で、情報の品質の向上に努めていて、安全、安心に関わる領域は最重要課題として認識しています。ご利用いただいている全ての皆さんに「Twitterは有用だ」と感じていただけるようにさまざまな取り組みを透明性をもって実施していきます。
■ハッシュタグでつながるTwitter利用者の現状
――Twitterは、2013年3月21日にサービスイン。右肩上がりに利用者数が増え、2017年10月26日には、月間利用者数が4500万人に達したことを発表しているが、現在の利用者には、どんな特徴があるのだろうか?
高橋:日本ではTwitterの月間アクティブユーザー数が4,500万人に達していますが、この数字は、いろんな興味や関心を持った方々の集まりなんです。実は僕らはTwitterをソーシャルグラフで繋がることを差すSNSではなくて、利用者が興味・関心で繋がった「インタレストグラフ」のプラットフォームでだと考えています。今ではハッシュタグ(#)やキーワード検索など、多くの手段で、同じ興味と関心を持った利用者がつながるようになっているんです。例えば、#◯◯さんと繋がりたい、などハッシュタグを活用したコミュニティが形成されています。これはTwitterの大きな特徴だと思っています。
小寺:ハッシュタグの運用まではまだやっていないですね。ただ、Twitterなどのサービスの運用を意識しているので、番組タイトルのロゴはスクエアじゃなくてはダメだと言っています。でないとアイコン化した時にカッコよくないので(笑)
高橋:ぜひ積極的にハッシュタグを使っていただければと思います。ハッシュタグは、“つながり”を作る要素のひとつです。例えばスポーツに興味がある方は、そのスポーツのハッシュタグを日々使ったり検索したりしていますので、放送中の話題や感想をこのハッシュタグで広げてね、というのは有効だと思いますよ。
――日本では、ハッシュタグも含め使用できる1ツイートの文字数は140文字。どんなことを意識して考えればよいのだろうか?
高橋氏:例えばドラマだと略称で作られることがありますが、別に無理して略する必要はないと思います。それはTwitter利用者が決めることなので、長いタイトルでもそのまま使われるケースもあると思いますし、自然発生的に利用者が作ったハッシュタグが広がって使われることもあります。押し付けた方があまり機能しない印象があります。なお、1つのツイートでは文字数が足りないことってありますよね。そのような場合、「スレッド機能」を使うと、複数のツイートをスレッドにまとめることで、文脈をはっきりさせたり、新しい情報を追加したり、話題を展開させたりできるので、使ってみるのもよいかもしれません。
小寺氏:テレビ番組におけるハッシュタグの使用はこれから出てくるかもしれませんが、今日の対談の中で何か良いアイデアが出ると嬉しいですね! スレッドも興味ありますね。
前編では、それぞれの立場から現状や利用方法についてのやりとりを紹介しましたが、後編では、テレビとネット(Twitter)は共存するのか? といった核心にまで話が及んだ対談の続きを紹介する。