映像メディアの価値を映す Screens

株式会社ビデオリサーチは、「VR FORUM 2018」を3月1日に東京ミッドタウンにて開催。3回目となる今回は、「TV×Digital NEXT Stage」を大テーマとして、第1部・第2部に分けて行われたが、第1部のセッション「デジタル時代のテレビメディア」の中で行われた「ビデオリサーチ『これからの視聴率計画』案」について、同社 テレビ事業局長橋本和彦氏の発表を紹介する。

■視聴環境と生活者の視聴変化に伴う新視聴率計画

ビデオリサーチの「新視聴率計画案」のコンセプトは、テレビ番組のあらゆるReachを測定することで、多様化する生活者を捉える視聴率調査を拡充していくことにある。2016年10月に開始された関東地区のタイム視聴対応に続き、“放送局由来のIP動画の視聴測定”を実施。視聴率のあり方を再定義して分散化するテレビ視聴を集約、また、さまざまな視聴者セグメントに対応できるようにサンプルの拡大も検討し、テレビ視聴の価値と視聴者の価値をより表現できるような視聴率調査を目指す。

1．テレビ番組の あらゆるReach を測定する
その具体的な方法としては、“タイムシフト新指標による価値再考”と、“テレビ×デジタルでの到達を可視化させる（視聴率調査の測定領域の拡張）”を挙げた。タイムシフト新指標による価値再考では、タイムシフト視聴の価値を数値化し、正しい総合視聴率の取得を目標とする。

また、テレビ×デジタルでの到達を可視化する具体案として、全ての視聴形態に測定を対応させ、放送局由来のコンテンツ視聴を把握。分散化されたあらゆる視聴を表現し、Total Reachでテレビメディアの価値を示すことを目的とした取組みとした。

2．多様化する生活者を表現できる視聴率へ
次に、多様化する生活者をあらわす視聴率を取得する方法として、マーケティングデータの強化を挙げた。

これが実現すれば、セグメントされたターゲットをより正確に把握することが可能となる。

3．新視聴率計画のポイント
まずはタイムシフトを測定する視聴率調査を2018年4月より関西地区で開始、同7月より名古屋地区で開始するほか、北部九州地区では2019年4月より400世帯でのPM（※）調査を開始予定としているが、将来的には全地区での実施を目指していく。また、アカウンタビリティの強化として視聴率の52週提供化に加え、主要地区でのサンプル拡大も2020年までには見据えるとした。

※ピープルメータの略で、世帯視聴率と個人視聴率を同時に調査するシステム

最後に、オンエア・オンライン統合時代の調査データに向けてという報告では、視聴環境および視聴方法が多様化しているからこそ、テレビにどういう価値があるのかを正しく捉えることと、各種データを統合する中で、テレビの価値を正しく描くために、視聴率調査をベースにした“実数データ”の活用が必要になるとした。その具体案をまとめたものが、下記になる。

以上、同社では、今回の計画案をベースに、議論と検討を重ねながら、テレビ番組のあらゆるReachの測定と、多様化する生活者を捉える視聴率調査の拡充に努めていく。

テレビ環境を取り巻く環境変化と課題に伴う各放送局の取組み【VR FORUM 2018】