高まる“ブランド”としての期待「テレビ東京ビジネスオンデマンド」は、いかに生まれ、何を目指す?(後編)
11JUN

高まる“ブランド”としての期待「テレビ東京ビジネスオンデマンド」は、いかに生まれ、何を目指す?(後編)

編集部 2018/6/11 09:00

経済報道コンテンツに特化した会員制動画配信サービスで、会員数を伸ばし続ける「テレビ東京ビジネスオンデマンド」(以下、ビジネスオンデマンド)。前編では、サービスのローンチまでに起こった社内外の波紋や、サービスの向上を目指して挑戦した生放送番組のライブ配信など、サービスが成長してきた理由を紐解いた。後編では、前編に引き続きコンテンツビジネス局ビジネス開発部長の久保井恵一氏にお話を伺いつつ、ビジネスオンデマンドのさらなる可能性に迫っていく。

■ただ、ユーザー目線の小さな改善を積み重ねた

ビジネスオンデマンドは、大きな広告を使うようなプロモーションに取り組んで来たわけではない。しかし、確実に会員数は伸びている。その理由について、「コンテンツそのものの魅力が最大の要因」としつつ、「ユーザー目線による改善の積み重ねが評価されたのではないか」と久保井氏は分析する。

たとえば、最近の動向として、2017年の2月から、アプリ内課金をスタート。2018年1月には、WEBサイトの構成をリニューアル。見たい番組を見つけやすいようにするなど大幅な改善を実施した。3月にはアプリをアップグレードしカスタマイズ機能をつけるなど、よりユーザーのニーズに沿うようにしている。このほか、Webサイトの入会導線を分かりやすく整理する、倍速視聴などの機能を加える、ABテストを繰り返すといった「当たり前だが大事」である細かな調整が、着実に会員数の伸びにつながっているという。

今後も小さなトライ・アンド・エラーを繰り返し、「当たり前だが大事」な機能改善を積み重ねていくという。「アジャイルのような開発手法によって、協力会社とは完全な委託関係ではなく、チームを組んで一緒に開発するスタンスをとっている」と久保井氏は言う。

※注「アジャイル型開発法」
発注する顧客とエンジニアが少数の共同開発チームを作り、2週間程度の短期間内に要求決定・実装・テスト・修正・リリースを行う開発手法。残った範囲から次に着手する優先順位を決め、開発を繰り返す。サービス運営側が機能を確認しながら開発できるので、要求漏れ等のリスクを最小化できる。

■時代が求める高画質。大画面に耐えうる配信を目指す

そのようなバージョンアップのなかで、今後、力を入れたいのが「高画質デバイス対策」だという。ビジネスオンデマンドの動画のラインナップは、大きく分けてニュースとドキュメンタリーの2つである。端末は、スマートフォン、タブレット、PC、セットトップボックスなどマルチに対応している。

ここで注目したいのが、視聴時間だ。ニュースなどは短時間で視聴可能だが、ドキュメンタリーは約40分。「平日はスマホを使って通勤電車で経済ニュースを見て、ドキュメンタリーは週末にFire TVやChromecastなどを使って大画面で見るというニーズがあると感じた」と久保井氏は語る。そこで、大画面に耐えうる更なる高画質での配信を目指している。

iPhone Xに代表されるように、スマートフォンでも高画質のディスプレーが魅力になっている。「高画質は今や当たり前の時代と言える。画質はユーザーの眼をごまかせない。資本力のあるサービスに遅れを取らぬよう、アップデートを繰り返していきたい」と久保井氏は語る。

■やがては、テレビ東京経済報道ブランドの「核」になれば

将来的には、ビジネスオンデマンドを今のままの「経済報道コンテンツのショールーム」というだけではなくて、テレビ東京の経済報道ブランドをまとめる「核」になれば、と考えているという。ビジネスオンデマンドには、過去5年間の番組がアーカイブされている。例えば「ブラック労働」の問題をテーマにした番組が放送され、配信されると、以前、同じテーマを取り上げた過去のコンテンツの再生数が伸びることがある。また、複数の番組が、同じテーマやニュースを取り上げた場合、それぞれの番組で視点が異なることがある。「働き方改革」を例にすると、『カンブリア宮殿』は経営者視点、『ガイアの夜明け』は従業員側の視点からテーマに迫っている。

このように、ユーザーはビジネスオンデマンドを通じてテレビ東京が報道する情報を、立体的に享受できるようになっている。「制作現場は、一つ一つの番組をそれぞれ必死に制作している。その番組をビジネスオンデマンドが、縦や横につなげられる」と久保井氏は話す。単体だった番組コンテンツが互いにリンクすることで、その魅力と深みを2倍3倍と拡大させることが期待されるのだ。

■ビジネスオンデマンドに可能性を見出し、変化する現場

当初は動画配信を“競合”と捉えていた制作現場も、会員数の伸びやテレビ番組の視聴スタイルの変化とともに、より積極的な協力を得られるようになっている。テレビ東京は、系列局も含めて全国の約7割の人口をカバーしているが、経済報道番組は残りの3割の空白地帯にもビジネスオンデマンドでリーチできるようになった。

さらに、前述したように自局の経済報道コンテンツを相互に繋ぎブランド化して、情報の深みを増すことも期待できる。ビジネスオンデマンドのサイト上では、話題となった番組と同じテーマや題材を扱った、過去のコンテンツを一つにまとめて「特集ページ」として設置している。こうすることで過去のコンテンツが再び日の目をみる導線になる。

「ここ1、2年で変わったのは、制作現場の配信に対する見方だと思う。ビジネスオンデマンドは、現場スタッフたちがつくったものを、より多くの人に伝えるチャンスがある。そこに制作現場の期待も高まっている」と久保井氏は語る。動画配信に新たな価値を見出した、テレビ東京の挑戦は続く。

会員数6万人突破「テレビ東京ビジネスオンデマンド」はいかに生まれ、何を目指す?(前編)

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