メディアライフスタイルを30種まで細かく類型化!電通×VR調査
編集部
電通のシンクタンク「電通メディアイノベーションラボ」は18日、ビデオリサーチ(以下、「VR社」)との共同で、時間帯ごとの接触メディア・接触場所・行動状況など生活者のメディア視・聴・読習慣を可視化し、30のメディアライフスタイル(=メディア接触習慣)に分類した調査レポートを発表した。
本調査は、VR社が提供する生活・メディア行動調査データ(東京50キロ圏に住む12~69歳の男女4,971名が対象)を「ソーシャル・シークエンス分析」と呼ばれる統計解析手法で行ったもの。
■生活者のメディア視・聴・読習慣を30の「メディアライフスタイル」に類型化
自宅内・外での各種メディア・機器接触行動を672時点(7曜日×24時間×15分刻み)で分析したところ、メディアへの「平均接触時間」や「頻度」で表す従来の手法を超え、「生活時間の流れ」の中でそれらを把握することができた。それらのサンプルを可視化するため、まず7つの「族」に分類したのが以下の表だ。
この7つの「族」をさらに統計分類し、30に及ぶ「メディアライフスタイル」を抽出した。
7つの「族」は、生活自体のリズムの違いにより、日中の在宅率が高いグループ(①・②)、日中の外出率が高いグループ(③・④・⑤)、生活が不規則なグループ(⑥・⑦)の3大グループに分かれる。①~⑤の5つの「族」(全体の89.9%)は規則的な生活を送っているが、基本的な在宅率や平日と土日の外出率の高低などにより、メディア接触のタイミングは大きく異なっていることがわかった。また、メディア接触のタイミングが同じでも、テレビ中心の接触なのか、それともPCやモバイルやその他のメディアなのかなどにより、スタイルは異なる。
30スタイルのうち最も構成比が大きかったのは③の「月~金外出族」に含まれる「夜中心テレビ視聴型」で、その構成比は12.7%だった。
■メディア視・聴・読の生活時間におけるパターンを可視化
上図は、生活者が月曜の朝5時から24時間、15分おきに、自宅内・外のどちらで何をしているのかを把握し、積み上げて100%で表したもので、30スタイルのうち最も構成比が大きい「夜中心テレビ視聴型」のメディアライフスタイルに該当する生活者の例だ。
朝の起床後、すぐにテレビをオンにして、メディア接触以外の作業を行っている。また、昼12時頃には宅外でのモバイル利用行動を、夜19時頃からは、宅内での"テレビの専念視聴"や"ながら視聴"をしていることがわかった。
同じく、1週間(月曜~日曜)の行動では、月曜から金曜までは規則的なメディア視・聴・読の行動を繰り返している。また、土日は日中の在宅率が高まり、宅内で1日を通じてテレビを視聴していることがわかった。
少数派の例として、「③月~金外出族」の「月~金の外出時ラジオ聴取型」スタイル(構成比0.7%)が挙げられる。宅外の黄色で示されたメディア行動のほとんどは、ラジオの"ながら聴取"だ。また、図表2では見えなかった緑色の領域は、"ラジオの専念聴取"。30スタイルまで細分化することによって、少数ながら際立った特徴を持つスタイルも把握することができるようになった。
「⑤深夜メディア族」の「土日在宅・23時以降ピーク型」スタイル(構成比4.3% n=216)の該当者は、月曜~金曜にかけて日中はほとんど外出しているため、宅外でのモバイル利用が盛んだ。さらに、帰宅が遅いこともありメディア接触のピークが夜の23時にまで及んでいる。その反動からか、土日の在宅率が高く、特に多くの人がテレビのタイムシフト視聴(赤)での「まとめ見」やモバイルの利用を行っている。この結果から、彼らは多忙な仕事生活を送るテレビ好きのタイプであることがうかがえる。
■多様な生活スタイルとパズルのように絡み合うメディア利用
近年、メディアの多様化に伴いメディア接触行動も複雑化する中、人々のメディア接触習慣の全体像を把握することは、基本課題でありながら困難とされてきた。そんななか、本調査では、メディアライフスタイルを30に細かく分類。それぞれが自身のライフスタイルに合わせて、器用にメディアを組み合わせていることが分かった。
本リリースで紹介した例では、調査対象の「性別」「年齢」「居住地」「職業」など基本属性情報を省略しているが、マーケティングへの活用にあたっては、これらを掛け合わせることも可能だ。また、「あるメディアとあるメディアを組み合わせて使っている層はここだ」といったふうに、メディア側から逆算してチェックすることもできそうだ。今後に向けて幅広い活用が期待される調査結果だといえる。