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テレビ機器への接触時間は増加傾向に!インテージ「コロナ禍におけるテレビ利用の分析レポート」を発表

編集部 2020/6/26 08:00

市場調査大手のインテージは、独自調査による「コロナ禍におけるテレビ利用の分析レポート」を公開。同社のテレビ接触計測サービス「Meida Gauge(メディアゲージ)」を通じて、全国の約199万台のスマートテレビ(ネット結線されたテレビ機器)と約78万台の録画機器から集計されたログデータ、そしてWEB調査によるアンケート回答をベースに、コロナ禍とアフターコロナにおけるテレビ利用の実態を明らかにした。

テレビ接触計測サービス「Media Gauge」概要(提供:インテージ)
WEB調査の実施概要(提供:インテージ)

感染防止のための外出自粛によって生活者の在宅率が高まり、スマートフォンやタブレットなどの端末の発達によってメディア接触の形態も多様化した。そんななか、テレビ受像機を通じて生活者はどのようにメディアへ接触したのか。動画配信やゲームなど、「テレビ機器を通じて見るコンテンツ」も多様化しているなかで、地上波への接触はどう変化したのか。その輪郭が明らかとなる。

■テレビ機器への接触時間は増加傾向

まず、テレビ機器を通じたメディア接触そのものの時間について、2020年1月から5月にかけて週単位で計測した結果を見る。

テレビ機器における週単位の接触時間(全体積み上げデータ)(提供:インテージ)

自治体による外出自粛要請が出始めた2020年2月より全体的な接触時間は増加傾向。うち地上波の割合は過半数を占めている。

テレビ機器における週単位の接触時間(地上波)(提供:インテージ)

地上波に絞って変化を見ると、接触時間は2020年4月6日週(第1週目)に増加のピーク。その後はゆるやかに減少に転じているが、その一方で「HDMI・アプリ(動画配信サービス、ゲームなどテレビ機器への外部接続機器を経由したメディア接触)」については、下記のグラフの通り、安定して増加傾向を保っていることがわかった。

テレビ機器における週単位の接触時間(HDMI・アプリ)(提供:インテージ)

■テレビ機器による動画配信・共有サービス利用の内訳

外部機器を経由したメディア接触が増加傾向にあるなか、テレビ機器での動画配信サービスの利用率はどのような内訳となっているのか。WEB調査回答者のうち「テレビ機器を通じて動画配信・共有サービスを利用している」と答えた29.6%の内訳を見ていく。

自宅のテレビ機器による動画配信・共有サービスの利用率(同居家族の利用含む)(提供:インテージ)

利用率で見ると「YouTube」(20.3%)、「Amazonプライム・ビデオ」(14.5%)、Netflix(4.5%)などが上位にあるが、地上波民放テレビ局系動画サービスの数値の変化にも注目したい。

日本テレビ系の「Hulu」が3.2%、民放共同キャッチアップの「TVer」が3.0%。続いてフジテレビの「FOD」が0.9%、民放共同定額動画配信サービス「Paravi」が0.7%、テレビ朝日の「TELASA」が0.3%だが、コロナ禍以前(2020年1月以前)と比べたサービス利用の増加率に変化が生じている。

■テレビ局系動画配信サービスはコロナをきっかけに利用増

コロナ禍以前(2020年1月以前)と比べた動画配信・共有サービス利用の変化(同居家族の利用含む)(提供:インテージ)

地上波民放テレビ局系のサービスで増加率が最も高かったのが「Hulu」の66.9%。次いで「Paravi」が61.6%、「FOD」が57.3%を記録。「TVer」は45.5%となっている。

動画配信・共有サービス利用開始時期(提供:インテージ)

動画配信・共有サービスの利用開始時期に関する集計を見ると、自治体からの外出自粛要請が出た2020年2月〜5月にかけ、自宅時間の過ごし方を求めて新しくサービスの利用を開始したケースが多い。

コロナ禍による自粛緩和・解除後の動画配信・共有サービス利用継続意向(提供:インテージ)

今回のコロナ禍を機に利用を開始した動画配信サービスについては、今後も引き続き利用を継続したいという傾向が高いことも同時にわかった。

■利用動画サービスと接続方法(複数回答可)

※本設問はMA(複数回答可)で複数の接続方法が選択される場合あり
動画配信サービスへの接続方法集計(提供:インテージ)

続いて、利用動画サービスと接続方法で見てみると、YouTube、Amazonプライムビデオの数字の高さから、この2つのサービスを利用しつつ、他のサービスを並行して利用していることが伺える。テレビ局系動画サービスも広く利用されているが、興味深かったのは、TVerの接続方法。TVerは現在(2020年6月時点)は、Apple TVやゲーム機器にアプリを提供していないが、ミラーリング機能などを使って(Chromecastも同様に)視聴されていることが見てとれる。

■地上波テレビは若い女性層を中心に「再評価」

また、今回のコロナ禍において、有効な情報源として地上波テレビは高く評価されているという結果も。

コロナ禍におけるテレビ(地デジ)についての気持ち(とてもあてはまる/すこしあてはまる計)(提供:インテージ)

「コロナの現状や対策を知る上で、(地上波テレビが)有効な情報源になった」という回答は、全体の64.5%と高い水準。世代別では男性60〜69歳(70%)のほか、女性15〜19歳(69.5%)、同20〜29歳(66.3%)など、若い女性層においても高い評価が目立った。

「自宅にいなければいけない中で、地上波テレビが楽しみのひとつになった」という回答においてはさらにその傾向が強く、女性20〜29歳が57.9%、ついで同30〜39歳が53.8%、同15〜19歳が53.4%と、女性層で高評価が集中。全体水準でもほぼ半数近くが地上波テレビを再評価したことがわかった。

コロナ禍におけるテレビ(地デジ)についての気持ち(とてもあてはまる/すこしあてはまる計)(提供:インテージ)

「テレビを見る機会が増えて、テレビ番組の面白さを再認識した」という回答においても、女性15〜19歳の42.2%がもっとも高く、続いて女性20〜29歳の40.0%と若い女性層の評価が上がっていたことが印象的だ。

未曾有の事態において、日々のレギュラー放送を維持するための取り組みがさまざまに行われてきたものの、「再放送や総集編などが増えて、テレビ番組の魅力が低下した」という回答から、再放送の増加をコンテンツ力の低下と受け止めているという現実も浮かび上がった。

メディアとしてのテレビは、コロナ禍を受けて再び注目され、その番組作りについてはアフターコロナを踏まえた抜本的な転換が求められているかもしれない。その一方で、テレビ局系動画配信サービスはコロナ禍を機に新たな視聴者層を取り込んだともいえる。新たに生まれた「売り場」にあわせ、これまでの慣例にとらわれない「テレビの楽しみ方」を作り出すチャンスなのかもしれない。