同社執行役員 企画推進局長 池田宜秀氏

26 OCT

現状の課題ふくめ、メディアの“現在進行系”を知る機会に。「VR FORUM 2020」〜主催者インタビュー【後編】

編集部 2020/10/26 09:00

株式会社ビデオリサーチは2020年11月17日(火)、「VR FORUM 2020 メディアの新しい価値を見逃すな。」をオンライン開催する。

後編となる今回は、このセミナーのサブタイトルにも設定された「メディアの新しい価値」というテーマを軸に、今後のメディア環境においてビデオリサーチが目指す“役割”について、同社執行役員 企画推進局長の池田宜秀氏に聞く。
 

■遠い未来ではなく、現在進行系のメディア価値を具現化する

──「メディアの新しい価値を見逃すな。」というサブタイトルに込めた思いを教えて下さい。

池田氏:今回のコロナ禍は、それ以前から始まってきていたメディアのデジタル化、デジタルトランスフォーメーションという流れを加速化させたり、新たな流れを産んだりしていると考えます。それぞれの媒体がいままで持っていた価値、変化の中でまだ語られていない価値に関する新たな議論を生み出す、という思いを込めました。メディアの目指す方向性やそれで理解を得たい評価など、セッションを通じて引き出していけたらと考えています。

今回セミナーにご参加いただくみなさまの間でも、「なるほど、こういうふうにメディア側が考えているのだったら、自分たちのビジネスはこういう立ち位置になるのかな」と考えていただいたり、広告主のみなさまにも「こういうメディアの使い方があるな」と考えていただいたり、そういった“きっかけ”を作れればと思っています。

──「新しい価値」とは、遠い未来ではなく、まさにいま変化しつつある、現在進行系のいまを指す言葉なのですね。

池田氏:その通りです。テレビやターゲティングメディアのありかたはもちろん、さらに具体的なものでいえばDMP(Data Management Platform:ログデータをはじめとするビッグデータを一元管理し、広告制御を行うプラットフォーム)の使い方にいたるまで、「こういうことが起きてくるのだな、メディアや広告会社はこのように取り組もうとしているのだな」という、リアルな現状を知っていただき、それを踏まえて「メディアの使い方」「ビジネスの改定や創造」といったアクションにつなげていただきたい。そういった思いを、「新しい価値を見逃すな。」という言葉で表現しました。

■「まだできていない、これからやるべきこと」も明らかに

──現在進行系のトピックとなると、「いまはまだできていないが、これから実現していく」といった話も出てきそうですね。

池田氏:セッションではまさに、「こういうことを始めました」という話や、「こういうことを実験している」といった話が上がっていくと思います。それに対して、ビデオリサーチとしてもこうしたところまで到達しなければならない、という議論が生まれるでしょう。

いまはまだビデオリサーチとしてはそうしたことができていない、そうしたデータまでは測定できていない、といった課題も浮かび上がってくると思います。それも踏まえたうえで、メディアに関わるみなさまのお手伝いをする会社としては、「この課題について100点の解決が求められているとして、いまはまだ70点しか解決できていない」ということを明らかにし、残りの30点分の課題をどう解決していくのかを、具体的なメッセージとして発していかなければならないと思っています。

──現状の「未解決点」をあえて明らかにすることによって、ミッションがより明確になるという効果も期待できそうですね。

池田氏:ビデオリサーチの役割は、広告主やメディアのみなさんが求めるものを提供していくということと考えています。いわばメディアの黒子役として、メディアそのものや、メディアビジネスの進化をどう支援していくのか、という明確なメッセージを、セッションを通じて紡いでいかなければならないと考えています。

■メディア・広告会社・広告主それぞれの「いまの考え」を知る場に

──テレビを始め、メディアのデジタル化について、池田さんはどのように考えていますか。

池田氏:テレビに関して言えば、デジタルとの距離が非常に近づいてきていると感じています。これを端的に表すエピソードのひとつに、「視聴率の表現方法の変化」があります。これまで視聴率というものはパーセンテージで表現されてきましたが、去年ごろからは「全国推定視聴者数」という形で、具体的に何人の方が番組を視聴したかという数字を発表するようになりました。

かたやインターネットではもともと実数測定が基本であり、何万回、何千万回、何億回再生された、という形で効果が示されてきました。メディアの効果測定において「2つの表現」が入り乱れているといういまの状況は、とても象徴的であるように思います。もっとも、どちらが優れているか、ではなく、どちらの指標で見たほうがわかりやすいか、という価値基準になっていくのではないでしょうか。

テレビもそれ以外のメディアも、デジタル化が着実に進んできています。地上波で見逃した番組をTVerやその他、動画配信サービスで見るというスタイルは一般的になってきましたし、雑誌や書籍に関しても、これまで紙でしか読めなかったものが、続々とデジタルで読めるようになっています。極端な話、これまで「買いに行かなければ見られなかったもの」が、いますぐこの場で見られるという世界観になってきている。メディアとしては、チャンスが広がっている状況だと思います。

──世界的なコロナ禍、生活様式の大転換の真っ只中に行われるという点でも、今回は象徴的な回となりそうですね。

池田氏:かねてよりデジタル化が進んでいたところにコロナ禍が発生し、思いがけないほどにそのスピードが加速しました。こうした時代の空気を捉えるという意味でも、セミナーを開催しなければという使命のようなものを感じました。メディアは「今後変わっていかなければいけない」のではなく、「まさにいま、変わっている」のです。

そんないまだからこそ、メディアや広告会社、広告主のみなさんはどう思っているのか、ということをお伝えしていかなければならないと思っています。それぞれ、お互いの考えや取り組みを知りたいということもあるでしょう。これまではカンファレンスの会場などが情報交換の機会となっていましたが、コロナ禍のいま、今回の「VR FORUM 2020」が、そうした役割を果たす場になれたらと思います。

【前編】ビデオリサーチ「VR FORUM 2020」オンライン開催の内容は?〜主催者インタビュー

株式会社ビデオリサーチ