26 FEB

電通、「2020年(令和2年)日本の広告費」を発表

編集部 2021/2/26 11:30

株式会社電通(本社:東京都港区)は、日本の総広告費と、媒体別・業種別広告費を推定した「2020年(令和2年)日本の広告費」を発表した。ここでは、その一部を抜粋して内容を紹介する。

■2020年 日本の広告費の概況

2020年(1~12月)日本の総広告費は、世界的な新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)拡大の影響による各種イベントや広告販促キャンペーンの延期・中止により、4-6月期を中心に大幅に減少した。7月以降は徐々に回復の兆しを見せ、10-12月期には前年並みに回復しつつあったものの、通年で6兆1,594億円(前年比88.8%)となり、東日本大震災のあった2011年以来、9年ぶりのマイナス成長。リーマン・ショックの影響を受けた2009年(同88.5%)に次ぐ下げ幅となった。

■媒体別広告費の概要(一部抜粋)

2020年の総広告費は、通年で6兆1,594億円(前年比88.8%)となった。新型コロナの影響により、飲食業界や交通・レジャー業界などを中心に大きなダメージを受け、広告業界もその余波を受けた。7月以降は徐々に回復の兆しを見せ始め10-12月には前年並みに戻りつつあったが結果として、通年では前年を大きく下回った。

媒体別広告費<2018年~2020年>

●テレビメディア広告費(地上波テレビ+衛星メディア関連):1兆6,559億円(前年比89.0%)

【地上波テレビ:1兆5,386億円(同88.7%)】

・新型コロナ拡大に伴う広告費削減などの影響により、地上波テレビ広告費は1兆5,386億円(前年比88.7%)となった。

・番組(タイム)広告費は、「東京2020オリンピック・パラリンピック」「FIFAワールドカップカタール2022・アジア二次予選」などの開催延期、プロ野球開幕延期、プロゴルフトーナメント中止・無観客での開催など、大型スポーツイベントの延期・中止と、広告主の業績不調による固定費削減の影響もあり出稿減となった。地域別では、通年で基幹8地区すべてが前年を下回った。 

・スポット広告費は微減からのスタートとなったが、4-6月期は、緊急事態宣言の影響もあり「官公庁・団体」を除くほぼすべての業種で大幅減。7-9月期も回復の兆しが見えつつも低調。10-12月期は経済活動の再開傾向が見られ「情報・通信」「自動車・関連品」が増加した。地域別では、通年で基幹8地区すべてが前年を下回った。

【衛星メディア関連:1,173億円(同92.6%)】

・2020年3月にBS無料放送局1局が閉局、単純減となった。

・新型コロナによる巣ごもり需要の高まりにより通販市況は堅調だったものの、通販以外の広告出稿は減少傾向だった。

●ラジオ広告費:1,066億円(前年比84.6%)  

・新型コロナの影響で、各種イベント告知、「交通・レジャー」「流通・小売業」などの出稿が減少し、通年で大幅に減少した。一方、巣ごもり需要により「家電・AV機器」などの出稿が増加した。

●インターネット広告媒体費:1兆7,567億円(前年比105.6%)

・新型コロナによる消費の低迷および広告出稿減少の影響を受けたが、他メディアよりも早く回復基調となり、前年比105.6%となった。

・インターネット広告媒体費のうち運用型広告費は1兆4,558億円(同109.7%)。巣ごもり需要によってSNSやEC、動画配信サービスへの接触機会も増え、大手プラットフォーマーを中心とした運用型広告の需要が高まった。また、マスコミ四媒体由来のデジタル広告における運用型広告の活用がさらに進んだ。

【マスコミ四媒体由来のデジタル広告費:803億円(インターネット広告媒体費の一部、同112.3%)】

マスコミ四媒体由来のデジタル広告費は、前年に引き続き二桁成長となった。

●新聞デジタル:173億円(同118.5%)

堅調な成長トレンドが続いた。4-6月期は予約型広告出稿が減少したものの、新聞本紙を基盤とするコンテンツ(記事)の信頼性によりサイトPV数が増加した結果、運用型広告による売り上げも増加した。7月以降は予約型広告も回復した。業種別では、リモートワーク関連のIT業種などによる出稿増が目立った。また、ウェビナーやタイアップ広告など理解促進を図る施策が好調で、新聞社サイトの信頼性がその要因となった。

●雑誌デジタル:446億円 (同110.1%)

4-6月期から、出版各社主要ウェブメディアのPV数が大きく増加。特に電子雑誌は、コミック誌を中心に大幅な伸長を見せた。ウェビナー企画やオンラインイベント、広告主サイトのコンテンツ制作、SNS活用、動画制作、配信企画などが広告モデルとして引き続き拡張している。

●ラジオデジタル:11億円(同110.0%)

外出自粛やリモートワークの普及によりradikoの聴取率が伸びたことでラジオデジタルの運用型広告への注目が集まった。また、従来型のイベントが減った一方で、ラジオとオンラインイベント、ラジオとSNSを掛け合わせた施策が増え、それに伴う出稿が増える結果となった。

●テレビメディアデジタル:173億円(同112.3%)

テレビメディアデジタルのうち、「テレビメディア関連動画広告」は170億円(前年比113.3%)と、前年に続いて伸長。中でも「TVer(ティーバー)」は地上波テレビ放送由来のコンテンツ力を背景に、ユーザー数を大きく伸ばしており、テレビ受像機での利用も伸びてきたことが成長に寄与した。

【インターネット広告制作費:3,402億円(前年比101.4%)】

・コロナ禍によるインターネット利用の変化、企業活動のデジタルシフトへの動きが、インターネット広告の制作需要増につながった。一方、予算の制約に加え、素材の撮影ができないなど、制作業務自体への制約が発生したケースも多いと見られ、制作費全体では微増にとどまった。

■業種別広告費(衛星メディア関連を除くマスコミ四媒体のみ)について

新型コロナ対策など各種関連広告が増加した「官公庁・団体」(前年比106.8%)の1業種のみ増加となった。

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