3月19日(金)にゴールデンタイムで放送される『QUIZ GO ROUND 流れきる前に選びとれ!』(よる7時~関西ローカル)

19 MAR

ゴールデンで放送する国際コンペ入賞クイズ番組『QUIZ GO ROUND』開発の裏側~カンテレの海外コンビジ戦略の現状と展望/前編

編集部 2021/3/19 08:00

関西テレビがフォーマットビジネスの海外展開強化に乗り出す。その目玉となる番組が3月19日(金)にゴールデン帯で放送する『QUIZ GO ROUND 流れきる前に選びとれ!』である。アジア最大級のシンガポール・コンテンツ見本市ATF(Asia TV Forum and Market)で評価された実績をひっさげ、世界市場に挑む。なぜ今、関西テレビはバラエティ番組の展開を海外にも広げていくのだろうか。コンテンツデザイン本部コンテンツビジネス局長・岡田美穂氏とクリエイティブ本部制作局長・小寺健太氏、コンテンツビジネス局東京コンテンツ事業部次長(海外)・佐藤一弘氏、同部・前田秀二氏にその理由を聞いた。

【後編】ペーパーフォーマットから欧州と共同開発に進む『QUIZ GO ROUND』~カンテレの海外コンビジ戦略の現状と展望

岡田美穂氏
小寺健太氏
佐藤一弘氏
前田秀二氏

■国際コンペの社内応募に72本の企画が集まる

関西テレビのクイズ番組『QUIZ GO ROUND 流れきる前に選びとれ!』(以下、『QUIZ GO ROUND』)は昨年12月にシンガポールからオンラインで開催されたアジア最大級のコンテンツ見本市ATF(Asia TV Forum and Market)のコンペティションで入賞した実績を持つ。放送・制作前段階の番組企画を対象に、世界各国から有力な「ペーパーフォーマット」が集まるなか、ファイナリストのひとつに選ばれた。そもそも、関西テレビにとって、国際企画コンペの参加はこれが初。どのように計画を進めたのだろうか。

アンタッチャブル・柴田英嗣のMCで、四千頭身、みちょぱ、ちぴたん、JOY、わたなべ麻衣がクイズ番組『QUIZ GO ROUND 流れきる前に選びとれ!』に挑戦する。

佐藤氏:自社制作ドラマの海外展開に続き、バラエティ番組の海外フォーマットビジネスも関西テレビの海外ビジネスの柱にしていく必要があると考えていました。往年の名番組『パンチDEデート』のベトナム版が現地でヒットした実績があり、さらに北米や欧州にも当社フォーマットを広げていきたいと思ったのです。その第1弾としてコンテンツビジネス局内で開発したのが『パーフェクトマッチ~運命の人探し出せたら100万円』というデートショーでした。制作した日本版を昨年6月からの日本のNetflixで配信開始し、オンライン開催となった各国のコンテンツ見本市で商談を重ねたのですが、コロナ禍の中で苦戦しました。密を避けられないデートショーは成立しにくいジャンルだったからです。そこで、新たにペーパーフォーマットを開発しようと、シンガポールATFの国際企画コンペ用に社内で企画募集をかけました。

社内で募集をかけると、72本の企画が集まった。その中のひとつが、世界でも人気の「回転寿司」をモチーフにした巨大セットでクイズを繰り広げる『QUIZ GO ROUND』の企画案だった。土曜朝の番組『土曜はナニする!?』や関西地区の人気バラエティ番組『ちゃちゃ入れマンデー』を担当する関西テレビ入社7年目と8年目のディレクターから提案されたもので、これを国際企画コンペで勝負する1本として選んだ。何が決め手になったのだろうか。

前田氏:セットの見た目にインパクトがあることが決め手になりました。さらに、ペーパーフォーマットをプレゼンする場合、いかに短い時間で伝えるかが勝負になります。そういう意味でもわかりやすい内容のものでした。また日本の食文化のアイコンでもある回転寿司をフックにしていることで、日本のテレビ局から提案する企画として意味のあるものだとも思いました。世界が日本の番組フォーマットに期待するのはファニーなゲームショーです。その点もクリアできるものでした。

MCのアンタッチャブル・柴田英嗣
出演者のみちょぱ(池田美優)
出演者の四千頭身・後藤拓実

■バラエティ番組が海外でも“売り物になる”ことを社内に周知

前述の通り『QUIZ GO ROUND』はファイナリストに選出される。コンペの審査員には欧州の大手制作会社幹部など世界エンターテインメント業界の専門家たちが顔を並べ、「世界ヒットに繋がるポテンシャル」と「独自性」が主な審査基準になるなか、「回転寿司のベルトを模したセットは視覚的にインパクトがある。構成もよくユニークな企画」と評価を得た。ほか、ファイナリスト作品にはインドネシア、フィリピン、シンガポールの企画も選ばれ、最優秀賞はインドネシアが獲得した。カンテレは惜しくも受賞を逃したが、この結果をどのように受け止めているのか。

セットは「回転寿司」がモチーフ

佐藤氏:この機会に、バラエティ番組が海外でも“売り物になる”ということを社内に周知させていくことも目的のひとつにありました。それによって、現場にも海外展開への意識が浸透していくのでないかと思ったからです。ファイナリストに残ったことで、その役割を十分に果たせることができました。

岡田氏:社内で企画募集をかける際は通常、既に予算が組まれ、放送されることを前提としています。それに対して、今回は放送未定の話からのスタートでした。それにもかかわらず、72本もの企画が社内から集まったことの意味は大きいです。遅ればせながら、海外セールスチームの地道な活動が社内で認識され始め、海外に向けたコンテンツ発信に対する関心が高まっていることを実感しました。

小寺氏:マネタイズ・イコール海外展開ではありませんが、ひとつの手法として海外展開があることを制作現場に認知させる機会になったと思います。企画募集をかけた時は現在の制作局に異動する前のコンテンツビジネス局にいたこともあり、72本もの企画が社内から集まったことに正直驚きました。国際企画コンペの企画にこれほどの数の企画が集まるとは予想外。その背景にはNetflixといったグローバル配信プラットフォームの勢いによって海外展開を身近に感じるようになったことも大きいように思います。そして、社内で昨年9月に大幅な組織改編が行われ、海外にもコンテンツを流通させるコンテンツメーカーを目指していくことが掲げられました、制作局の社員にその意識が浸透し始めた表れのひとつかもしれません。番組企画を海外にも積極的に出していく流れを作るきっかけになっていければと思います。

『QUIZ GO ROUND 』は3月19日(金)19時から(関西ローカル)放送!

国際コンペで結果を出したことによって、『QUIZ GO ROUND 』は3月19日(金)にいよいよゴールデン帯(19時~/関西ローカル)での放送を控える。勢いに乗って、関西テレビのフォーマットビジネスのモデルケースになっていくのか。その答えは後編へと続く。

『QUIZ GO ROUND 流れきる前に選びとれ!』公式サイト

【後編】ペーパーフォーマットから欧州と共同開発に進む『QUIZ GO ROUND』~カンテレの海外コンビジ戦略の現状と展望