26 MAR

TVISION INSIGHTS、「人体認識技術を搭載したセンサー」で通信キャリア大手5社の「学割キャンペーン」テレビCMを分析

編集部 2021/3/26 12:00

TVISION INSIGHTS株式会社(東京都千代田区大手町、以下TVISION)は、2020年11月から2021年2月に放映された、通信キャリア業界大手5社のテレビCM「学割キャンペーン」について、調査パネルの家庭にあるテレビに設置している人体認識技術を搭載したセンサーを活用し、同キャンペーンのターゲットとなる「小学生~高校生の子供をもつ親に本当に見られているのか」を、さまざまな角度から分析した。

■分析結果サマリー
・小学生~高校生の子供をもつ親が最も多く触れたブランドは、「ワイモバ学割」
・ソフトバンク学割の累積A-URは、TBSで千鳥がMCを務める『クイズ THE 違和感』で急速に積み上がった
・横浜流星と芦田愛菜が出演しているワイモバ学割「親子 de いいのだ」篇 15秒は、小学生~高校生の親からアテンションされるパワーが最も強かった

■分析対象
・対象ブランド:au、docomo、Softbank、UQモバイル、Y!mobile
・対象期間:2020年11月1日~2021年2月28日
・ターゲット属性:小学生~高校生の子供をもつ親

<期間中最も多く、視聴者に触れられていた「ワイモバ学割」。データで各ブランドの出稿戦略が明らかに>

分析対象期間の、各ブランドの延べ個人注視率(A-TRP)の推移を見てみると、学割CMが最も多く放送されたのは2020年12月で「auの学割」を除く4ブランドが出稿していた。11月~2月の合算では「ワイモバ学割」が最も多く、小~高校生の親の延べ個人注視率は498%だった。同じソフトバンクグループの「SoftBank学割」と合わせると、延べ個人注視率は980%だった。

※グラフは様々なテレビデータを「注視率」で見られるBIツール「Telescope」より一部引用

データを週毎に分解してみると、各ブランドの出稿戦略がより鮮明見えてくる。KDDIグループはUQモバイルとauで出稿時期をずらしており、業界内のシェアを奪い合わないようする意図が見える。ドコモは年始から2月下旬まで学割CMをストップしていた。この時期は新料金プランである「ahamo」のキャンペーンを実施しており、ahamoのインパクトを最大化するため学割CMはストップしたと考えられる。ソフトバンクとY!mobileは定常的に出稿していて、1月下旬以降、学割CMにおいては他キャリアより多くのシェアを取っていた。

※グラフは様々なテレビデータを「注視率」で見られるBIツール「Telescope」より一部引用

<ユニーク・リーチがある番組をきっかけに大きく伸びたのはソフトバンク>

次に、どのブランドが視聴者に広くリーチできているのか、キャンペーン中に獲得したユニーク・リーチ(累積A-UR)を分析。これを見ると、750GRPあたりでソフトバンクのA-URが一気にトップに躍り出ていることが見て取れる。この区間での放送状況を見てみると、12月7日に放送されたTBSの特番『クイズ!THE違和感スペシャル』で特に大きくA-URを獲得していたことが分かった。同番組はティーン層(13~19歳)にも人気のお笑いコンビである千鳥がMCを務めており、家族でテレビを見る人が多かったことで、ターゲット属性である子供をもつ親への接触が増えたのではないかと考えられる。

<クリエイティブパワーでよく見られていたのは、ワイモバ学割「親子 de いいのだ」 反対に、よく見られていなかったCMは?>

今度はクリエイティブそのもののパワーが分かる「Cスコア」で、見られたCMと反対に見られていなかったCMを見てみる。Cスコアの注視獲得パワーが、この枠の平均より強ければ100以上、弱ければ100以下のスコアになる。この分析では条件を揃えるため、量が増えるほど注視されなくなりスコアが下がりやすくなることを踏まえ、1,000GRP時点のスコアで比較する。(1,000GRP未満のCMは足切り)

その結果、ターゲットの親世代に最もよく見られたのは、Cスコアが105だったワイモバ学割「親子 de いいのだ」篇 15秒、逆に見られなかったのはCスコア93のSoftBank学割「学割HERO’S 親孝行」篇 15秒ということが分かった。この2つのCMのデータをさらに毎秒で、どのように見られたかを分析する。

※GRPはTVISION推定

<クリエイティブパワーで1位!ワイモバ学割「親子 de いいのだ」篇を毎秒で分析して分かったこと>

まず1秒目のスコアが108で、冒頭からスコアの水準が高いことが分かる。これはCM出演者が横浜流星と芦田愛菜であったため、小~高校生の親に刺さった結果だと解釈できる。その後も『天才バカボン』をベースとした展開が続き、高いスコアをキープしている。

一方で、10~12秒目の学割内容の説明シーンで注視が下がっており、視聴者の関心が一時離れた様子が伺える。しかし「うれシェ―!!」のキメポーズで再び注目され、総合すると学割CMの中でアテンションを集めるパワーが最も強いCMとなった。

7位だったSoftBank学割「学割HERO’S 親孝行」篇を毎秒で分析

こちらのCMの1秒目のスコアは95だった。上のY!mobileのCMと比較すると低く、その後も低い水準で推移していることから、CM出演者である松本人志と寺田心が、ターゲットの世代に刺さりにくかった可能性がある。しかしコント調のやり取りが始まると注目を集めはじめ、肩たたきのシーンでピークを迎えた。ただ、Y!mobileのCMと同様、学割内容の説明シーンで注視が下がっており、キャンペーンの説明シーンでは視聴者の関心が離れやすいことが分かる。ラストの肩たたきで再び注目されたが、総合すると学割CMの中では小~高校生の親に対するパワーは最も弱い結果となった。

【分析に使っている指標について】

●個人注視率

調査機器を設置した調査パネルの中で「CM15秒のうち3秒以上テレビに目線を向けていた」人数は全体の何パーセントいるのかを表す。

●A-TRP (Attention TRP) (=延べ個人注視率)

A-TRPは、特定のターゲット層の個人注視率を積み上げたもの。

例えば、CMが3回放送されて、各回のM1層の個人注視率が3%だった場合、M1層のA-TRPは9になる。競合と獲得できている注視の量を単純比較できる。

●累積A-UR(Attention unique reach) (=ユニーク・リーチ)

A-URは、テレビに目線を向けていた視聴者の、重複を排除したCMの到達率を表す。これを出稿期間中の累積で見ていくことで、ちゃんと視聴者の被りがなくCMを見てもらっているかがわかる。

●Cスコア(クリエイティブパワーの評価)

テレビCMのメディアの要素を除いてクリエイティブの良し悪し、すなわちクリエイティブパワーを評価できるのが「Cスコア」。毎秒での分析によって、どの瞬間が見られたかも明らかにできる。(https://telescope.tvisioninsights.co.jp/

【TVISION INSIGHTS株式会社について】

TVISION INSIGHTS株式会社は人体認識技術によってテレビ番組・CMの視聴態勢データを取得し、BtoB向け視聴分析サービスを提供している。ご家庭のテレビに、TVISIONが独自に開発した人体認識技術を搭載した調査機器を設置し、調査参加者の視聴態勢を毎秒で自動的に取得。「誰がテレビの前にいて、ちゃんと見ているか」というTVISION独自のアテンションデータを広告主・広告会社・放送局など国内累計100社以上のクライアントが活用している。

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