18 MAY

文化庁、経産省、内閣府がコンテンツブロックチェーン団体「JCBI」の著作権流通部会に参加 小学館、長登屋からライセンス業務をヒアリング

編集部 2021/5/18 11:30

日本のコンテンツ企業連合で運営するブロックチェーンコンソーシアム「Japan Contents Blockchain Initiative」(ジャパン・コンテンツ・ブロックチェーン・イニシアティブ。略称「JCBI」)が、著作権流通部会において、22の企業及び官公庁の参加のもとで、株式会社小学館及び株式会社長登屋からライセンス実務のヒアリングが行われたことを報告した。
 

著作権流通部会とは、ブロックチェーン技術をライセンス業務(コンテンツの管理・許諾)に用いることで、ライセンサー・ライセンシー両者にとって、利便性が高く汎用性のある著作権流通の枠組みを構築することを目的に発足した、システム及び法律に関する検討部会。

主なヒアリング項目は、
①対象となるコンテンツ・利用方法
②契約実務・条件の実態
③ライセンス業務に関する課題等

であり、その要旨は以下の通り。後日、詳細をまとめた報告書が作成される予定。

株式会社小学館:取扱いコンテンツは、文芸、雑誌(記事・写真)、漫画など多岐に渡り、利用許諾を行う二次利用も映像化・アニメ化、舞台化、ノベライズ、商品化など多岐に渡る。特に文芸や漫画の二次利用に際しては、作家の意向を個別に確認することが多い。二次利用の希望者側から企画提案を受けることが多く、利用条件としては、許諾料などのほか、作品の世界観を維持するため、クリエイティブ・コントロール(二次利用の態様等の個別確認)を重視している。契約書は、紙・電子の両媒体があり、ほぼ自社作成のドラフトを利用している。不正利用対策は、他社と協力して行っており、海外向けは、現地の翻訳出版社、代理店等を通じて展開を図っている。

株式会社長登屋:利用許諾を受けるコンテンツは、漫画・アニメ、ゆるキャラなどのキャラクター、スポーツ関連等が多く、二次利用の態様は、商品化(土産菓子)が中心である。土産菓子は、スーパーやコンビニエンスストアで販売される菓子とは、販路や価格帯が異なるなど競合し難いと考えている。当社から権利者に対して企画提案を行うことが多く、商品化に際しては、各キャラクターの利用態様等において、権利者の意向を尊重している。契約書は、紙・電子の両媒体があり、権利者の雛型を利用することも少なくない。第三者による不正利用を認識した場合には、権利者に報告等しており、また、海外コンテンツの利用もあるが、商品の販売先は国内が中心である。


<参加企業(あいうえお順)>
株式会社朝日新聞社、株式会社エイトリンクス、エイベックス・テクノロジーズ株式会社、株式会社ケンタウロスワークス、原本株式会社、株式会社C-POT、株式会社 小学館、SingulaNet株式会社、株式会社電通、株式会社電通国際情報サービス、株式会社 長登屋、株式会社博報堂、株式会社Hashpalette、ピクスタ株式会社、株式会社PocketRD、三井住友海上火災保険株式会社、Ridgelinez株式会社

<参加官公庁(あいうえお順)>
経済産業省コンテンツ産業課、内閣府知的財産戦略推進事務局、文化庁著作権課

<部会運営>
部会長 骨董通り法律事務所 岡本健太郎(弁護士)
副部会長 早稲田リーガルコモンズ法律事務所 稲村宥人(弁護士)

<実施日時>
2021年4月21日 株式会社小学館(総合出版社。ライセンサー側)
2021年4月28日 株式会社長登屋(土産菓子の企画・製造・販売。ライセンシー側)