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TVISION、話題の2021年秋ドラマの初回放送をデータ分析

編集部 2021/11/15 16:00

人体認識技術を用いて、テレビの視聴態勢「アテンションデータ」の取得・提供を行うTVISION INSIGHTS株式会社(以下TVISION)は、独自に計測した「注目度(※)」を指標に、2021年秋ドラマの初回放送を分析、その結果を発表した。

主演・田中圭×主題歌・BTS『らせんの迷宮』が1位

分析したのは、TVISIONのドラマ好き社員。まずは、秋ドラマ初回放送の「個人全体」の注目度について。10月期は1位『らせんの迷宮』、2位『ラジエーションハウスⅡ』、3位『<土ドラ>顔だけ先生』がランクイン。中でも『らせんの迷宮』と『<土ドラ>顔だけ先生』は、視聴率はそれほど高くないが、視聴者の注目度が高いという結果となった。

田中圭、安田顕主演の刑事ドラマ『らせんの迷宮』は、もともと2020年4月期に放映が予定されていたが、新型コロナの影響で放送が延期された作品。幅広い年齢層に人気の田中圭は、『ナイト・ドクター』に続き2クール連続出演で、全体ランキングだけでなく、女性のランキングでも1位に入っている。

もともとテレビ東京系列、金曜夜8時台はF2(35~49歳女性)、F3(50歳以上女性)層に人気の放送枠で、以前から小泉孝太郎主演の『警視庁ゼロ係』や、北大路欣也主演の『3匹のおっさん』など、中高年層に人気の俳優をキャスティングした、シリーズものの刑事ドラマが多く放送。また、主題歌がBTSだった点や、初回放送時は裏番組の『ミュージックステーション4時間スペシャル』がひと段落した時間帯だったことなどが注目度に影響したのではないかと予想している。

また、3位の『<土ドラ>顔だけ先生』も深夜帯で視聴率もそう高くなかったが注目度は高かった作品。同ドラマはM2(35~49歳男性)、M3(50歳以上男性)など男性人気が高く、F2(35~49歳女性)でも1位を記録。若年層に人気のWebバラエティー『オオカミくんには騙されない』のMCを務めていた神尾楓珠が主演していること、また『めざましテレビ』の歴代最長で、ORICON NEWSの「好きなお天気キャスター/天気予報士ランキング」で2年連続1位となったお天気キャスター・阿部華也子が主要キャストに入っていたことなどが、女性、男性の両方から支持を集めた要因ではないかと分析。時間帯・視聴者層にマッチしたキャスティングが、番組の注目度に影響することがわかる結果になったという。

人気キャストで仕事と医療、恋愛を描く『ラジエーションハウスⅡ』

視聴率と注目度のバランスが良かったのは、窪田正孝、本田翼主演の医療ドラマ『ラジエーションハウスⅡ』と『日本沈没─希望のひと─』。月9枠は、7月クールでも2位に入り、若年層に人気のキャストがそろっていたことが、視聴率と注目度のバランスの良さに繋がったようだ。

特に『ラジエーションハウスⅡ』は、全属性で上位にランクイン。キャスティング面では、女性人気の高い窪田正孝、劇団EXILEの鈴木伸之、そして男性人気の高い本田翼、広瀬アリスの影響が大きかったことが予想される。また、パート2の放送開始に合わせて、パート1を再放送したことも注目度を高める効果があったようだ。

同じく視聴率と注目度のバランスが良かった日曜劇場『日本沈没─希望のひと─』は、重厚な原作にキャストも豪華で、男性人気が高いという結果に。男性の全体ランキングは1位で、原作ファンやかつての映画ファンの注目度も高かったが、同じ日曜劇場の『半沢直樹』『陸王』『ドラゴン桜』などに比べて、地質学などに関する専門用語が多く、女性にはなじみの薄いテーマだったことが、相対的な男性支持に繋がったのではと分析した。

女性人気は杉咲花主演の『恋です!』

次にTVISIONが注目したのがF1層(20~34歳女性)のランキング結果。1位になった『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』をはじめ、トップ10に『ラジエーションハウスⅡ』『婚姻届に判を押しただけですが』『最愛』と恋愛要素の入ったドラマ4作がランクインした。

特に杉咲花と杉野遥亮が主演し、弱視の盲学校生と、不良少年の恋愛を描いた『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』は、ドラマ全体として障がいのある方の日常を「普通に街で暮らしている生活者として普通に描く」というトーンで取り上げられ、ドラマの理解が深まる構成に着目。例えば、ドラマ内で日常生活ではなかなか細やかに想像しにくい弱視の方の暮らしを、自身も視覚障害を持つお笑いタレント・濱田祐太郎が当事者目線で解説するなど、視覚障がいについて初めて知ることが多かったという。

また、10月のParavi再生数人気ランキングでも1位を獲得した『最愛』は、『Nのために』『夜行観覧車』など過去のTBS金曜10時枠を制作したスタッフによる、完全オリジナルドラマ。次の展開を予測できない、サスペンスならではの面白さと、主人公同士の関係性がどう変わるかわからないハラハラさにハマる視聴者が続出しているという。

■※今回分析に使った指標「注目度」について

注目度とは、「テレビの前にいる人がちゃんとテレビを見ている割合を測る指標」のこと。注目度50%は仮に100人がテレビの前にいたら、50人がちゃんとテレビを見ていたということを表す。
(今回は、初回放送のみ計測)

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