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HBC『ネアンデルタール人は核の夢を見るか~“核のごみ”と科学と民主主義~』が科学ジャーナリスト賞・優秀賞を受賞

編集部 2022/4/28 09:00

HBC北海道放送が制作したテレビドキュメンタリー番組『ネアンデルタール人は核の夢を見るか~“核のごみ”と科学と民主主義~』(2021年11月21日放送)が、科学技術に関する優れた報道や啓発活動などを顕彰する科学ジャーナリスト賞の優秀賞を受賞した。

科学ジャーナリスト賞とは、日本化学技術ジャーナリスト会議が科学技術に関する報道や出版、映像などで優れた成果をあげた人を表彰する賞で、社会的なインパクトが重視され選考される。『ネアンデルタール人は核の夢を見るか~“核のごみ”と科学と民主主義~』は、高レベル放射性廃棄物の最終処分場誘致に名乗りをあげた北海道寿都町の葛藤を、地元テレビ局にしかできない現場密着のドキュメンタリーとして描いた点が高く評価された。HBCとして同賞の受賞は初。民間放送では、3度目の受賞となる。

■『ネアンデルタール人は核の夢を見るか~“核のごみ”と科学と民主主義~』内容

ディレクター:澤出梨江
プロデューサー:山﨑裕侍

2020年8月、北海道の寿都町と神恵内村で、原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」の最終処分場選定の応募に向けた動きが明るみとなった。住民説明会では反対意見が続出。賛成派の住民も少なくなく、マチは二分されていく。寿都町長は住民投票を求める声があるにもかかわらず、「肌感覚では賛成派が多い」として2か月で応募に踏み切ると、神恵内村も同じタイミングで応募を表明する。

核のごみは地下300メートルより深い場所に埋める地層処分。人体に影響がない放射線量になるのは10万年後とされている。いまから10万年前はネアンデルタール人がいた時代だ。

衆院選では核のごみが大きな争点とならないまま、10月には寿都町長選挙が行われ現職が勝利した。反対派の候補が4割以上も得票するなど、マチの分断はより深まることに。

私たちは10万年後まで責任をもって核のごみを処分できるのか。処分地の決め方はどうあるべきか。先送りできない課題が突きつけられている。“核のごみ”がつきつけた科学と民主主義のありようについて考える。

■『ネアンデルタール人は核の夢を見るか~“核のごみ”と科学と民主主義~』その他の受賞
2021年12月 第76回文化庁芸術祭優秀賞
2021年 メディア・アンビシャス映像部門北海道賞