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CBCテレビ『偽りのアサリ~追跡1000日 産地偽装の闇~』が第59回ギャラクシー賞報道活動部門で大賞を受賞

編集部 2022/6/6 09:00

優れたテレビ番組やラジオ番組などに贈られる第59回(2021年度)ギャラクシー賞(放送批評懇談会主催)の贈賞式が、6月1日に都内で行なわれ、CBCテレビの3年に及ぶ調査報道で明らかになった“熊本産”アサリの産地偽装の実態を報道した『偽りのアサリ~追跡1000日 産地偽装の闇~』(制作:松本年弘、 吉田駿平、 吉田翔)が、 報道活動部門で大賞を受賞した。

<松本年弘プロデューサーコメント>
愛知のアサリ漁師の言葉が忘れられません。「“熊本産”の産地偽装についてとやかく言うつもりはない。でも、 自分たちのアサリの美味しさには絶対の自信がある。 」プライドを持って真面目にアサリと向き合う人たちが、 “安いニセ国産アサリ”のせいで長年、 割を食ってきました…この理不尽な状況を何とかしたいという思いから、 今回の報道活動は始まっています。 引き続き、 多面的な取材を続けていきたいと思います。

【概要】『偽りのアサリ~追跡1000日 産地偽装の闇~』

2022年3月放送 国内では、 アサリ漁獲量全国トップは愛知県。 2位は北海道。しかし、 スーパーを回ってみると、 漁獲量が極めて少ないはずの“熊本産”アサリが安く、 大量に流通していた。 関係者への取材を重ねる中で、 輸入アサリを日本の干潟に放つ「畜養」と呼ばれる行為が産地偽装に深く関係していることを知った。 有明海で張り込みを続け、 2019年にその一部始終をカメラに収めることができた。 食品表示ルールでは、 2か所以上で育てた場合、 成育期間が最も長い場所が産地となる。 業者たちは輸入元より長く熊本で畜養したと主張していたが、 その実態は干潟に撒いて1週間程度で回収する「仮置き」だと判明した。 当初は取材に難色を示していたが、 長年続いてきた偽装を断ち切りたいとの思いから実名・顔出しでの告発を決心してくれた。2022年1月の「JNN報道特集」で「“熊本産”アサリ産地偽装の実態」を伝えると、 各所で波紋が広がった。 熊本県は2月8日から2か月間、 熊本産アサリを出荷停止するという、 異例の措置を取った。農水省は「熊本県産アサリの97%に外国産が混入している可能性が高い」と発表した。その結果、 全国のスーパーから“熊本産”アサリが消えた……だけでなく、 アサリそのものを扱わなくなったスーパーが続出した。 パックの中身はこれまでと全く同じアサリにもかかわらず、 “熊本産”の表記を”中国産”に変えると、 急にアサリが売れなくなった。 取材班は産地偽装していたアサリ業者の言葉を思い出す。 「産地偽装をしないと売れないから…」この番組は「偽りのアサリ」を追い続けた1000日の記録。 そこから見えてきたのは、 行政、 業者、 スーパー、 消費者が複雑に絡み合ったニッポンの食の闇だった。

<出演>
スタジオ出演:大石 邦彦(CBCアナウンサー) ナレーション:石井 亮次

<制作>
CBCテレビ・報道部 プロデューサー:松本 年弘 取材:吉田 駿平、吉田 翔

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