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HTB『アイヌの誇り胸に~受け継がれし エカシの言葉~』ドイツ・ワールドメディアフェスティバル銀賞を受賞

編集部 2022/6/28 17:40

HTB北海道テレビが2020年2月2日に制作・放送したHTBノンフィクション『アイヌの誇り胸に~受け継がれし エカシの言葉~』(英語字幕版)が、ドイツ・ハンブルクで開かれたテレビ番組および産業映像作品の国際コンクール「ワールドメディアフェスティバル2022」でドキュメンタリー部門の銀賞を受賞した。

ワールドメディアフェスティバルは、2000年にドイツの映画配給会社が設立した国際映像コンクールで、テレビ番組をはじめ、広告や企業広報などの産業映像作品、ウェブサイトなどさまざまなジャンルのコンテンツが17の部門で作品性の高さを競うヨーロッパ最大規模の映像コンペティションとして、国際的にも高い評価を受けてきた。今回の「ワールドメディアフェスティバル2022」には、40か国から832作品がエントリーした。

HTBのワールドメディアフェスティバルの受賞は、開局40周年記念スペシャルドラマとして制作した『歓喜の歌』(2008年9月7日全国放送)のエンターテインメント部門金賞受賞(2010年)、旧本社(札幌市豊平区)からの放送終了時に放送した特別版コールサイン『南平岸最後の放送~50年間の感謝と別れの想いをこめて…』(2018年9月16日北海道ローカル放送)のニュース部門(ステーション/ネットワークID)の銀賞受賞(2019年)、また、乳がん健診の啓発活動やピンクリボン活動を支援していたディレクター自身が乳がんに罹患し、手術やリハビリ、復職までの葛藤を通してがん患者にとっての社会のあり方を問うたHTBノンフィクション『おっぱい2つとってみた~46歳両側乳がん~』(2020年5月9日北海道ローカル放送)のドキュメンタリー部門銀賞(2021年)に次いで2年連続4度目となる。

■制作にあたった沼田博光プロデューサーのコメント

番組を制作した2018年は「北海道命名150年」の節目の年でした。独自の文化を持つ少数民族アイヌの人々にとって、北海道開拓の150年は、住んでいた土地や言語を奪われ、国の同化政策による偏見や差別に苦しむ150年でもありました。番組は長老として仲間から慕われた祖父、差別や貧困でアイヌ語を学べなかった父、大学でアイヌ文化の“学びなおし”をする息子の3代にわたるアイヌ民族の家族を取材しました。文化とは暮らしの中から生まれ育まれるものですが、国はアイヌ文化を切り離し、観光の目玉にする政策をとっています。4日間にわたって父とともに使者を送る儀式を執り行った主人公の若者は「アイヌ文化は博物館いあるものじゃない。実際に自分たちでやるものだ」と訴えます。海外で、今を生きるアイヌの人々を紹介する作品はわずかしかありません。受賞をきっかけに海外の多くの人がアイヌ民族について知る機会になればよいと願っています。

受賞作:HTBノンフィクション『アイヌの誇り胸に~受け継がれし エカシの言葉~』
(英語字幕版)

(英題:NOTEBOOKS OF HERITAGE: RECLAIMING TRADITIONS OF THE AINU PEOPLE)

第57回(2019年度)ギャラクシー賞テレビ部門奨励賞

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