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日本テレビが映像編集の自動モザイク入れAIソフトウェア「BlurOn」をリリース

編集部 2022/7/5 18:20

日本テレビ放送網株式会社(本社:東京都港区、以下「日本テレビ」)は株式会社NTTデータ(本社:東京都江東区、以下「NTTデータ」)の協力のもと映像編集の自動モザイク入れAIソフトウェア「BlurOn(読み:ブラーオン)」をリリースした。バラエティー番組や報道番組などのモザイク入れ作業で最大90%程度の効率化を実現できる。

BlurOnは従来、映像編集者が1フレームずつ行っていた人物の顔やナンバープレートなどへのモザイク入れを自動化できるソフトウェア※1だった。モザイク入れは非常に手間のかかる作業で、例えば1分の映像素材へのモザイク入れはベテランの映像編集者でも1時間程度かかることもあり、現場の課題となっていた※2。さらに近年では、個人情報保護の重要性の高まりから、番組映像についても一層の慎重な取り扱いが必要となり、作業負荷が増大している。

日本テレビやグループ会社におけるBlurOnを使った実験では、作業時間を最大90%程度効率化できる結果が得られた。BlurOnは全ての映像編集者のモザイク入れ作業を効率化し、現場の働き方改革を目指していく。

図:手作業とBlurOn利用時のモザイク掛け作業時間比較イメージ

※1:AdobeAfterEffectsのプラグインとして利用可能。
※2:修正箇所や映像の内容により修正時間は前後する。

使い方

開発の背景

近年、AI技術も進歩し「社会課題解決へのAI活用」が求められる時代になり、画像認識AIの精度も格段に向上し、実用化レベルまできた。この技術による課題解決の可能性を感じ、日本テレビとNTTデータが手を組んでBlurOnの共同開発プロジェクトが立ち上がった。

映像制作のプロである日本テレビが持つ映像編集ノウハウと、日本のAI開発を牽引してきたNTTデータの高い技術力を組み合わせて、クリエイター目線で「カンタンで使いやすい」「質の高いアウトプットが可能」な製品の実現を目指し、試行錯誤を繰り返してきた。
働き方改革が謳われる今、モザイク入れという単純作業からクリエイターを解放し、テレビ業界だけでなくコンテンツ制作業界全体の働き方改革を実現するというのが目標だそうだ。

実際にユーザーからBlurOnを利用して「よりクリエイティブなことにより時間を使えるようになった」との声も。モザイク入れの自動化プラグイン「BlurOn」で、“クリエイティブな仕事”に集中できる時間を創出できるだろう。

利用者の声

■株式会社日テレ・テクニカル・リソーシズ(NiTRo)

警察に密着するような番組の場合、背景にモザイクをかける事が多く、それこそ人海戦術でしたが、BlurOnを使えばかなり時間は削減できると思います。手作業に比べて処理速度が非常に早く、検出精度も高かったです。例えば、人と人が前後に被っている群衆の映像などでも、個々の人に独立したマスクがかかっていました。また、自動検出できる部位が顔や頭部だけでなく、身体全体も検出できる点は良いと思います。

■株式会社イカロス

BlurOnではどんなに大人数でも一気にマスクレイヤーを作成できてモザイクがかかるのでかなり作業が速くなりました。例えば、モザイク入れの多い番組で約96時間(4日間)程度かかっていたモザイク入れ作業が50%程度の約48時間に削減されました。BlurOnが無いと最初から全部自分でやらないといけないので精神的にはかなり救われました。また、事前にモザイク処理の設定(モザイクの濃さ、フェードイン/アウトなど)が細かく指定できるので便利です。

AIモザイク入れソフトウェア「BlurOn」、今後の展開

BlurOnで、映像編集の効率化により編集現場の働き方改革、業務効率化および生産性が向上する事を目的としている。煩雑で時間のかかる非クリエイティブな単純作業から映像編集者を解放する事で本来重要なクリエイティブな時間を作り出す。現在の自動検出対象は限られているが、今後顧客の声を参考にしながら対象を増やすとともに、Adobe After Effects以外の映像編集ソフトウェアへの対応も検討している。また、海外の映像編集者にも同様の課題があると考えられることから、海外にも広げていきたいと考えているそうだ。

BlurOn公式サイト