31 AUG

OHK、トヨタ・モビリティ基金アイデアコンテストで「手話実況アカデミー」研修プログラムを提供

編集部 2023/8/31 19:00

岡山放送株式会社(岡山市北区下石井二丁目10-12、以下OHK)は昨夏、一般財団法人トヨタ・モビリティ基金(東京都文京区、理事⾧ 豊田章男)が企画した2022年アイデアコンテスト「Make a Move PROJECT」に応募、一次審査で採択されたアイデアの実証実験を行った。

この実績をもとに今年度新たに「OHK手話実況アカデミー」を立ち上げ、同基金の協力を得ながら約3ヶ月にわたって研修を実施、昨日フジテレビにて最終プログラムとなる東京研修会を行った。

2022年実証実験OHKは昨年10月、30年培ってきた手話放送のノウハウを生かし、誰もが当たり前にスポーツ観戦を楽しめる環境の創出を目指して「情報から誰一人取り残されないモータースポーツ観戦を目指すプロジェクト」を実証実験として実施。このプロジェクトのうち特に反響が高かったのが、リアルタイム手話実況をつけた「ユニバーサル実況」だ。これまで映像を眺めるだけだった聴覚障がい者が、初めて実況解説という存在を知り、手話実況を通じてルールや選手の様子など多くの情報を受け取ることができた。健常者と同じタイミングで観戦を楽しむことができたこの取り組みに対し、実験に参加した障がい者、審査員から大変高い評価があった一方で、実況側の体力面から1時間の手話実況が限界という課題が浮かんだ。

■2023年の新たな取り組み
昨年の実績と、課題解決のための新しいアイデア「モータースポーツ手話実況者の育成」が評価され今年1月、2022年アイデアコンテストのファイナリストに選出され、日本初となる「OHK手話実況アカデミー」を立ち上げた。

■手話実況アカデミー研修内容
第一期生は、昨年実際に手話実況を行った自転車競技デフアスリート早瀬憲太郎と他10名で、スポーツ競技や手話漫才など経験豊富なろう者や手話通訳者だ。研修会は今年6月から約3ヶ月にわたり、岡山やオンラインなどで複数回にわたって開催された。先月OHKで行われた岡山研修会では、早瀬憲太郎と手話通訳者の体験談やレース映像の分析などの“学び”と、映像音声に合わせた実況体験やOHKアナウンサーによる実況指導などの“実践”に関するプログラムを学習した。東京研修会では、フジテレビアナウンス室の協力を得て、モータースポーツや球技スポーツに関する専門的で高度な実況技術を学習、それぞれの知識向上や実践力強化などレベルアップに努め、約3ヶ月間の研修過程をすべて終了した。

今後は2025年に日本で初めて開催されるろう者のオリンピック「デフリンピック」に向け、様々な競技実況に対応できる人材育成を目指し、学びと実践を重ねていく予定だ。