TBSホールディングス、文部科学省委託事業の実証研究に株式会社Spark+が参画
編集部 2025/10/3 13:00
株式会社TBSホールディングス(以下、TBS)は、文部科学省委託事業「学びの充実など教育課題の解決に向けた教育分野特化の生成AIの実証研究事業」に採択され、実証パートナーとして“AIで産業課題解決に挑む”株式会社SparkPlus(以下、Spark+)が参画した。
「教育分野特化のAIエージェント」で主体的・対話的で深い学びを実現
■背景・課題
「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けては、学びと児童生徒の個々の興味関心を結びつけることが難しく、社会に開かれた教育課程の実現や学びに向かう力の育成には余地があると考えられる。また、個別最適な学びを実現するためには、教員の準備や対応時間の負担が大きいことも課題である。
こうした課題を踏まえ、本事業ではニュース記事や教科書データを活用し、教育分野に特化した生成AIの活用を通じて、「実社会に紐づく学びによる学習意欲の向上や主体的・対話的で深い学びの実現」の可能性を検証する。
■Spark+の技術的貢献
Spark+は製造業を中心とした産業DXの現場でAIエージェントを実装してきた知見を基盤に、教育分野向けにTBSと以下の技術開発を担う予定。
・ニュース×学習内容のマッチングAI
ニュース記事と教科書データ(目次・学習指導要領等)を関連付けるマルチエージェントシステムを開発し、児童生徒の関心に応じた学習リソースを動的に提示。
・マルチエージェント設計
ニュース検索・学習支援・安全性検知等のそれぞれの役割を持つエージェントを並列動作させ、非同期処理で安定した学習体験を提供。
・安全性と教育的表現の最適化
児童向けに不適切な内容をフィルタリングする仕組みを実装し、教育現場に即したガイドライン準拠の対話を保証。
これらの技術要素は、Spark+が保有するエージェント基盤ORIONのRAG(Retrieval-Augmented Generation)技術や、複数のLLMをつなぎ合わせるオーケストレーション技術を応用した基盤の上に構築され、授業現場に即した柔軟な拡張を可能とする。
■実証論点
・既存のニュース情報と教科書DB等をどのように整理・組み合わせることが、教育分野に特化した生成AIの開発に向けて有効か?
・実社会に紐づく学びを、発達段階・興味関心に最適化して提供するために、どのような技術的工夫が効果的か?(マルチエージェント等)
・発達段階・興味関心に応じた実社会に紐づく学びにより、児童生徒の学習意欲向上や主体的・対話的な学びにどの程度つながるか?また、教員の負担軽減にどの程度資するか?
■実証内容・スキーム
・児童生徒の興味関心に即したニュース検索・利活用のためのエージェント開発
・ニュースと学習内容を有機的に連携させるシステム・サービスの開発
・ニュース×学習項目を活用した探究学習(総合学習)・教科学習の新たなモデルの提案
実証は2025年9月から2026年2月末まで実施予定であり、埼玉県行田市・千葉県印西市・東京都渋谷区・高知県須崎市・鹿児島県肝付町・兵庫県芦屋市などの教育現場での実証を予定。
■株式会社Spark+ 代表取締役社長 本田純平氏のコメント
この度、TBS様をはじめとする教育関連企業の皆様と共に文部科学省委託事業に参画でき、大変光栄に思います。Spark+はこれまで製造業を中心にAIの社会実装を推進してまいり、その技術力が教育分野にも応用可能であると評価をいただきました。今回のプロジェクトは、当社の高い実装力を持つAIエージェント技術を教育分野へ応用する新たな取り組みです。私たちは生成AIを活用した探究学習支援を通じ、児童生徒一人ひとりの「深い学び」を実現し、教育分野の革新に挑戦します。未来を担う子どもたちの成長を支え、社会全体のより良い発展に貢献してまいります。