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2025年のショートドラマ市場総括と、2026年以降のトレンド予測

編集部 2025/12/19 16:00

クリエイターとの共創を通じて企業のマーケティング課題を解決する株式会社CREAVE(以下 CREAVE)は、『2025年のショートドラマ市場総括と、2026年以降のトレンド予測』を公開した。
※詳細は以下ページを参照
https://creave.co.jp/column/2026shortdrama_trend/

■ショートドラマ市場を理解する2025年ニュース

■ ショートドラマの市場規模の拡大 
2025年のショートドラマ市場は、中国発の課金型アプリに続き、韓国・米国にも進出する「BUMP」や、ごっこ倶楽部が運営する「POPCORN」が代表的存在となった。また、TikTokやYouTubeショート、Instagramを中心に「本日も絶体絶命。」や「マジ明日」などの大規模IPが登場し、圧倒的なリーチを獲得している 。これに伴い、企業による活用事例も増加傾向にある。

【2025年の主な動向】
市場予測: 市場調査会社YHリサーチによれば、日本国内のショートドラマ市場は2026年に約1,530億円に達すると予測されている(※1)。これは日本の映画興行収入(年間2,000〜2,500億円)に匹敵する規模となる。
課金型アプリ: 「BUMP」が2025年9月時点で累計250万DL(※2)を突破した。また、電子書籍・コミックサービス(Renta!(※3)、めちゃコミ(※4)など)の既存IPを持つ企業も進んでいる。
大規模IP: 『ごっこ倶楽部』が累計100億回再生(※5)、『本日も絶体絶命。』が累計18億回再生(※6)、『本気出すのは明日から。”マジ明日”』開始が8ヶ月で累計5億回再生突破するなど、SNS発の“億再生IP”が続々登場。SNSで完結するIPが広告価値を持ち、シリーズ化が進んでいる。
企業タイアップ: サッポロビール・楽天カード・みずほ銀行など、企業とのタイアップ事例は引き続き増加しており(※7)、サイバーエージェント 縦型アワード(英語:CyberAgent Vertical Award)では、ネスレ日本株式会社、株式会社OASIZが運営する『きっと青春の1ページ』キットカットショートドラマシリーズがファイナリストにノミネートされた(※8)。
クリエイター: 「マイナビショードラアワード2025」大賞には「地上波TVドラマ制作権」を付与・出演者賞には地上波TVドラマ出演権を付与など、様々なクリエイターのキャリアパスになり、質の底上げが進んでいる。(※9)

※1 https://www.yhresearch.co.jp/quote/101
※2 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000092.000039336.html
※3 https://papy.co.jp/news/sc/index/article/2025/20250501.html
※4 https://www.amutus.co.jp/news/press/2025/p250722000000.html
※5 https://gokkoclub.jp/news/1731/
※6 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000033.000118235.html
※7 https://gaiax-socialmedialab.jp/short-dramavideo-20240607/
※8 https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=32011
※9 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000014.000016381.html

■ 国内外のショートドラマプラットフォーム・ショートドラマ制作事例増加
市場拡大に伴い、制作手法は以下の2つに二極化が進んでいる。

・「世界観構築型(シリーズ運用・VSD)」 :
大量制作や高速編集、アルゴリズムに適した脚本構築を得意とする「ショートドラマ特化型」。連続型ショートドラマ制作を強みとし、商品訴求よりもキャラクターや世界観を通じた長期的な“ファンづくり””ブランド認知”を目的とする企業に適した手法。
・「商品訴求型(PR・広告運用)」 :
企業のマーケティング目的に合わせて商品訴求を明確に行う「広告・PR特化型」。ショートドラマ形式で商品理解を促したり、広告運用と組み合わせて購買行動へつなげるなど、短期的な成果を重視する手法が中心となる。

このように、ショートドラマ市場は 「世界観構築型(シリーズ運用・VSD)」と「商品訴求型(PR・広告運用)」 の二つに明確に分岐し始めており、企業の目的に応じて選択すべきアプローチが大きく異なる。世界観構築型は長期のブランド認知形成に優れる一方、商品訴求はほとんど行わないため、短期的成果を求める施策には適さない。反対に、商品訴求型のショートドラマは明確なプロモーション効果が期待できるが、シリーズ運用によるIP形成とは異なる目的構造を持つ。
プラットフォームの拡大と制作会社の専門化により、企業がショートドラマを活用する際には「どの手法が目的に合致するか」を見極めることがより重要になっていく。

 

■ショートドラマ市場拡大の背景

①ユーザの広告への抵抗感の増加
コンテンツ量の増加に伴い、ユーザーの広告への抵抗感が増加し、従来の広告手法の効果が減少傾向にあると言われている。
一方で、ショートドラマにおけるプロダクトプレイスメントは、ストーリーの一部として自然に製品やサービスが登場するため、消費者が広告だと感じにくく、抵抗感なく受け入れられる傾向にある。
この自然な組み込みにより、ブランドメッセージを効果的に伝えることができるため、マーケティング戦略としての価値が高まっている。

②SNSアルゴリズムがショートドラマと圧倒的に相性が良い
TikTok / Instagram / YouTube Shorts などの主要プラットフォームは、以下の評価指標を重視している。
・視聴時間(Watch Time)
・フル視聴率(最後まで観られたか)
・コメント率 / いいね率(エンゲージメント)
・複数動画の連続視聴
特に多話ショートドラマについては、「続きが気になる構造」「最後まで観やすい」「コメントで語りたくなる」ことが本質的に組み込まれており、SNSアルゴリズムが最も伸ばしやすい動画形式 と言える。

③”TVの約17倍のコスト効率が高い” メディア消費行動の変化による圧倒的なリーチ力
近年、若年層を中心にテレビ離れが加速し、「ドラマを見る媒体」が地上波からスマホへ大きくシフトしている。実際に、地上波ドラマ1話(GP帯)の平均到達人数が110.6万人であるのに対し、ごっこ倶楽部が制作した1作品当たりの平均若年層リーチ人数は185.0万人にも上る。にも拘わらず、製作費はテレビCMのおよそ10分の1という結果も出ており、テレビと比較し約17倍のコスト効率でリーチが獲得できたと言える。(※) テレビよりも 短時間で大量の視聴者に届く構造 が整ったことが、ショートドラマ需要の急速拡大につながっている。
※MarkeZine:平均200万再生・Z世代に圧倒的な認知度を誇る『ドコモ×青春』に学ぶ、縦型ショートドラマ成功の秘訣
https://markezine.jp/article/detail/48768

■企業のショートドラマ制作における課題

① 目的に応じたショートドラマ手法の理解不足
ショートドラマは 世界観・IP形成を目的としたVSD型 と、短期成果を目的としたPR型 に二極化しているものの、企業側でこの違いがまだ十分に整理されていない。
そのため、VSD型を選んだのに短期成果を求めてしまう。もしくは、PR型を選んだのにブランド世界観形成を期待してしまうなど、期待値のズレが多発している。
目的に応じた手法を選定することを推奨している。

②ショートドラマの“供給過多”リスク
参入障壁が低いため「量産で勝負」になりやすい特性がある。制作会社が量産体制へ移行し、プラットフォームも作品数を求めるようになり、結果として、 「大量生産 → 質の低下 → 視聴離脱 → 成果が出ない」という悪循環が起こりやすい状況である。

③企画設計(脚本・構成)の難易度が高い
ショートドラマは冒頭3秒で引きつけ、30〜60秒で世界観を提示し、最後に次の話への引きを作るという 高度に体系化された脚本設計 が求められる。
ユーザーの広告への抵抗感も増加しているため、ターゲットに対して共感できるコンテンツの配信・ストーリーに連続性を持たせ、複数接点を重ね、作品・登場キャラクターへファンをつけることが重要である。

■2026年以降のショートドラマトレンド予測

①量産 × アルゴリズム対応ができる“制作運用型企業”が主流に
2026年以降、ショートドラマ市場では「制作だけを行う企業」よりも、制作・運用・データ分析を一体化した“制作運用型企業”が主流になると考えられる。
ショートドラマは参入障壁が低いため、国内外で供給量が急増し、市場は“量産フェーズ”へと移行している。この環境下では、単に1本の作品を制作するだけでは伸びにくく、アルゴリズム適応(視聴維持率・連続視聴・コメント促進など)を前提とした設計力が成果を左右する。
そのため、制作後に視聴データを分析し、脚本を改稿し、再制作・再投稿を繰り返す 高速PDCA型の制作体制 が不可欠になる。今後は「制作 × 運用 × 分析」を統合的に行える企業が優位に立ち、市場全体も データドリブンな制作運用モデル にシフトすると見込まれる。

②ショートドラマのIP化・長期資産化が本格化
2026年以降、ショートドラマは単なる短尺動画ではなく、キャラクターや世界観を軸としたIP(知的財産)として活用されるフェーズに入ると予測される。
多話型ショートドラマ(VSD)は、視聴者が“物語を追う行動”を自然にとるため、キャラクターへの愛着や、コメント欄でのコミュニティ形成が起きやすく、短尺ながらファンベースが構築される仕組みを備えている。
この視聴行動の特性は、従来のテレビドラマや漫画IPとほぼ同じ構造を持つため、ゆくゆくは書籍化・グッズ化・イベント化・ブランドコラボなど、ショートドラマ起点の2次展開が広がると考えられる。
特に国内では、VSD型の制作会社が増加していることから、企業も短期施策だけでなく“自社IPを育てる”という新しいマーケティング領域へ移行すると見込まれる。

株式会社CREAVE ショートドラマプラン資料:
https://creave.co.jp/service/short-drama/

■株式会社CREAVE 会社概要

CREAVE(クリーブ)は、『温度ある繋がりを感じられる世界へ』をミッションに掲げるSNSマーケティング・クリエイティブ支援のプロフェッショナル集団です。35万人*のクリエイターと共創した”本質的なSNSマーケティング支援”を行います。累計支援企業社数300社超。コスメ・食品・インテリア・家電等のtoC商材を持つ企業様を中心に幅広く支援実績がございます。

※Snapmart累計登録クリエイター数(2024年10月時点)
URL:https://creave.co.jp/service/

社名:株式会社CREAVE
所在地:東京都千代田区平河町2-5-3 MIDORI.so NAGATACHO
代表者:代表取締役社長 中村真奈
設立:2016年8月23日
事業内容:SNSコンサルティング事業、クリエイターマーケティング事業、ストックフォト事業
ウェブサイト:https://creave.co.jp/