17 APR

東京で13万人を動員した展覧会「恐怖心展」大阪で開催 イベント IP のローカライズで見えた地域性

編集部 2026/4/17 12:00

株式会社闇、株式会社テレビ東京、株式会社ローソンエンタテインメントによって昨年夏に東京・渋谷で開催された展示会「恐怖心展」の巡回展がスタート。3月27日から5月10日までグランフロント大阪にて開催されている。

最近話題の「感覚」を軸にしたイベントIP、その「ローカライズ」からはどのような景色が見えるのか。制作を務める株式会社闇 プロデューサー・高田将志氏(毎日放送から出向)にお話を伺った。(※「高」は正しくは、はしごだか)

■4つのカテゴリで「恐怖」の姿を展示 東京開催では約13万人を動員

「恐怖心展」は、「先端」「閉所」「視線」といった、様々なものに対して抱く「恐怖心」をテーマにした展示会。ホラー作家・梨、株式会社闇、テレビ東京プロデューサー・大森時生が企画制作を務め、映像監督の近藤亮太、Franz K Endo、作家の「ダ・ヴィンチ・恐山」こと品田遊、イラストレーターの雪下まゆ、デザイナーの大島依提亜らがクリエイター陣として参加している。

取り扱う「恐怖心」は、「存在に対する恐怖心──『そこにあるもの』がこわい」「社会に対する恐怖心──『それをすること』がこわい」「空間に対する恐怖心──『そこにいること』がこわい」「概念に対する恐怖心──『こと』がこわい」の4カテゴリ。参加者は順路に沿って進みながら、「もの」「こと」両面における「恐怖」の形に触れる。

展示物の形態は、写真や実物によるものから、映像、音声、機器を操作して体験するインスタレーション型の展示など様々。

来場者は恐怖の対象物そのものへの対峙だけでなく、恐怖の概念を想起することによって、「何を怖いと思うか」という問いから自分自身の輪郭を感じ取っていく構成となっている。

「恐怖心展」は昨年夏、株式会社闇、株式会社テレビ東京、株式会社ローソンエンタテインメントの主催によって東京・渋谷の「BEAMギャラリー」で開催され、約13万人を動員した。

今回は大阪での巡回展として、株式会社毎日放送、テレビ大阪株式会社、株式会社キョードー関西が新たに参加。JR大阪駅に隣接する商業施設「グランフロント大阪」北館地下1階のイベントスペース「イベントラボ」を会場に、3月27日から5月10日まで開催されている。

■会場環境の違いに合わせて展示レイアウトを最適化 大阪限定の展示も新たに制作

一昨年開催の「行方不明展」に続き、巡回展形式での開催が二度目となる「恐怖心展」。来場者のリアクションも含め、展示としての世界観を体験できるイベントは開催地域によってどのような化学反応をもたらすのか。高田氏にお話を伺った。

株式会社闇 プロデューサー・高田将志氏

──今回は「行方不明展」に続く巡回展の第2弾ですね。昨年の東京での開催時点から、将来的に巡回展でやることは想定されていたのでしょうか?

高田氏:巡回展をどこかで開催したいという思いは実行委員会としてありました。最初は場所まで決まっていませんでしたが、前作の「行方不明展」を大阪で開催した際、合計6万人のお客さまにご来場いただいたことから、今回も大阪での開催が決まりました。

──前回の東京会場(BEAMギャラリー)に比べて、今回の大阪会場(グランフロント大阪 イベントラボ)は天井が高く、雰囲気の感じを違います。会場の構造に応じた世界観の調整などは行われたのでしょうか。

高田氏:正面入口のキービジュアルや展示のゾーニングは統一していますが、会場の明るさや天井高はどうしても違ってくるので、そこは会場の特性に応じて調整しています。今回は入場した直後からその世界観に浸れるよう、エントランスエリアはフォトスポットとして機能する構成としています。

──今回の大阪開催、運営面はどのような形で行われていますか。クリエイター陣は、大阪会場向けの調整に関わっているのでしょうか。

高田氏:今回も実行委員会形式で、会場の選定から施工までを行っています。クオリティ担保の意味でも、展示物の細かな場所や明かりなど、クリエイター陣のみなさんにしっかり監修していただいています。

──大阪開催に際して新しい要素や、会場に合わせた最適化などはありますか?

高田氏:今回は大阪限定の展示物として、新作を1点、1から制作しました。すでに東京での展示をご覧になった方も、新たな発見をお楽しみいただけるかと思います。

また、映像作品については、会場の隅にセッティングしています。もともとは混雑対策でしたが、これによって独特な閉鎖感も生まれることとなりました。

■大阪では「ファミリー向けスポット」に 地域性との化学反応で広がるファンダム

──感覚を軸にした展示ということで、地域性の違いも浮き彫りになるのではないかと思います。東京と大阪の来場者にリアクションの違いなどは感じますか?

高田氏:東京に比べると、大阪の方は展示物に対してツッコミを入れたり、「この展示はこういうことを示そうとしているのでは?」と会話しながら歩いたりと、全体的に“賑やか”です。やはり地域性なのでしょうか。恐怖はコミュニケーションの手段になるのだ、ということにも気付かされます。

会場には展示の一つとして汚れた畳が進路を塞ぐように置いてあり、それを踏んで歩かないと先に進めない仕掛けになっているのですが、大阪では畳を踏まず、律儀に横を通り抜けている方が多いのも印象的でした。日本人として、畳を足で歩くことを自然と避けられているのかな、と思ったりして、面白いですね。

──来場者の層や、人気が集まる展示など、東西で違いはありますか。

高田氏:東京では若い来場者の方が多かったのですが、大阪では週末に家族でお越しになる方が割と多く、この展示がお出かけスポットにもなり得るのを感じました。また、上から水が落ちてくる「水に対する恐怖心」の展示を大阪の方はより面白がってフォトスポットにしているというところも、受け入れられ方の違いとして興味深いところです。

■「ご当地恐怖」も生まれる? 「考察型ホラー」が拓く全国展開への道筋

──今回は、会場に隣接するカフェでのコラボメニューもありますね。

高田氏:会場に隣接する、グランフロント大阪 北館1階のカフェ「The Lab.(Cafe Lab.)」では、展示のキービジュアルをあしらったカプチーノなどの「恐怖心展」とコラボメニューを提供しています。展示をご覧いただいた後、カフェを楽しみながら感想戦も楽しんでいただけたらと思います。

──今後、他の地域への巡回展は予定されていますか?

高田氏:おかげさまで多くの地域からお問い合わせをいただいておりまして、「行方不明展」も4月から青森での開催が決定しました。「恐怖心展」ともども、これから全国展開していければと思っています。

──さまざまな地域や企業とのコラボで「ご当地恐怖」の発見も期待できそうですね。

高田氏:ホラーを軸に、考察が生まれるような展覧会をこれからもやっていきたいですね。弊社はイベントだけでなく番組制作など、ホラーに関わることであれば何でも手掛けていますので、何かご一緒できそうなことがあれば、ぜひお気軽にご相談いただければと思います。

「恐怖心展」大阪巡回展
2026年3月27日(金)〜5月10日(日)
グランフロント大阪 北館地下1階 イベントラボ(大阪府大阪市北区大深町3-1 グランフロント大阪 北館内)
開催時間:11時〜19時30分 ※最終入場は閉館30分前
https://kyoufushin.com/