左から 加藤 諒、福留 光帆/ 上段左から 芋洗坂係長、関口メンディー、塩﨑太智
Copyright© TVQ九州放送
テレQ開局35周年記念ドラマ『非正規雇用 リズム&サバイブ』が2025年度「TXN番組大賞」を受賞
編集部 2026/8/13 12:00
株式会社TVQ九州放送(以下「テレQ」)の開局35周年記念ドラマ『非正規雇用 リズム&サバイブ』(2026年3月21日・テレ東系全国ネット放送)が、2025年度「TXN番組大賞」を受賞した。
「TXN番組大賞」は、TXN系列(テレビ東京系列)が一体となって良質な番組製作に取り組む一環としてスタートし、今回で22回目を迎える。テレビ東京を除く系列5局がエントリーした作品の中から、「2025年度の放送にふさわしいテーマや話題を鋭く掘り下げた作品」「高視聴率を獲得した作品」「地元をテーマにしたローカル局ならではの作品」といった基準を重視して選出・表彰するものだ。テレQが「TXN番組大賞」を受賞するのは、今回で5回目となる。
■番組イントロダクション
誰かに決められたリズムで踊らされるのは、もう嫌だー。
町工場の非正規社員・林健斗(34)[加藤諒]は、極端に声が小さく、社会の隅っこでなんとなく日々を
やり過ごしていた。職場に愛着があるわけでもない。ただ周囲の顔色を伺い、波風を立てないように自分を抑える。
それが彼の守ってきた、平穏で無機質な日常だった。しかし、AIによる効率化を掲げる企業の買収劇が、その静かな日々を一変させる。容赦なく突きつけられる理不尽な論理。逃げ場のない怒りが限界を超えたとき、健斗の感情は
「ダンス」となって爆発する。 言葉で届かないなら、ダンスで語り尽くす。 感情を乗せたそのリズムは、冷え切っていた
仲間の心を揺さぶり、静かな工場を熱狂のステージへと変えていくー。
理不尽なハラスメントや格差社会の歪みを、圧倒的な熱量のダンスで突き破る!
最高にエモーショナルなダンス・エンターテインメントが今、幕を開ける!
■関係者コメント
企画 沢木祐介氏
日々生み出されるコンテンツの質も量も、加速度的に増えている時代。大きな配信プラットフォームや局が大資本を投入した作品ですら、時には見向きもされない昨今、「ローカル局が手がける特番ドラマ」に興味を持ってもらうにはどうすればよいのか。何かしら“極端”なものでなければ、振り向いてもらえないだろう。そして、その極端さは、SNS上で切り取られ、アルゴリズムに乗って広がっていく形をしていなければ、届かない気がする。さらに、ドラマのようなストーリーコンテンツは、放送前にその魅力を伝えることが非常に難しい。であれば、事前の番宣そのものがコンテンツとして成立する仕掛けを、企画の中にあらかじめ組み込む必要がある。このあたりが企画の出発点でした。
そうした条件を満たしながら、番宣としても自走する表現は何か。そこで可能性を感じたのが、個人的にも以前から好きだったダンス動画でした。結果、ダンスをメインに据えた番宣ショート動画は、いずれも数十万回再生され、ある程度この目論見は成功したのではないかと思います。
ダンスをメインに据えるのであれば、なるべくダンスと遠い題材と掛け合わせなければ、“極端”なものは生まれない。ただ、視聴者の方との接点もつくらなければならない。そんな思考の中で思いついたのが、“踊らされている”という言葉です。物価は上がり、生活者の一人として、暮らしが日々厳しくなっていることを実感しています。
同時に、メディアで働く人間としてさまざまな予算を見ていると、この業界を取り巻く経済状況の悪化も肌でわかる。みんな毎日一生懸命働いているのに、明るい未来は描けない。何が悪いのかを考える余裕すらないまま、“何か”に追い詰められている日々は、虚しいダンスを誰かに踊らされているかのよう。「非正規雇用」はもはや常態化し、少なくとも自分の実感としては、メディアで扱われる機会も減ってきました。流行りの言葉ではない気がします。
だからこそカウンターとして、脚本家の谷口さんからも助言をいただき、あえてこの言葉を入れました。制作費が限られていく流れは、もはや多くの局で避けられないのだと思います。その中で実現が難しくなるのは、「失敗するかもしれない企画」、つまり、お金になるかどうかわからない企画です。裏を返せば、そこにこそ差別化の可能性が残っている。潤沢な予算を持ち、マーケティングに時間をかけ、豊富な制作スタッフやキャストと共に練り上げられたコンテンツに、同じやり方で挑んでも、勝てるはずがない。失敗するかもしれない挑戦をし、そのコンテンツで「稼ぐ」こと。それが、ローカル局だからこそ選べる戦い方の一つだと思っています。
「TXN番組大賞」の受賞は、こうした逡巡を作品の端々から読み取っていただけた結果だと受け止めています。限られた条件の中での初めての挑戦。「ダンスドラマ」は、通常のドラマに加えて、ダンス用の楽曲制作と振付が必要になります。しかも、その二つは脚本と切り離すことができず、どちらかが動くたびに全体を組み直すことになる。限られた予算と時間の中で、チーム全員で何度も試行錯誤を重ねました。
この企画をなんとか実現してくださったTVQの皆様、監督の綿部さん、脚本の谷口さん、振付の水村里奈さん、楽曲制作を担当してくださったチームagehaspringsの皆様、そして出演者の皆様には、改めて本当に感謝しています。
脚本 谷口マサヒト氏
企画の沢木さんから「変な話に巻き込みますね」とお話をいただき、ボウリング場の中にあるカフェで、ピンが倒れる音を聞きながら見せられた企画書にあった「ボクは資本主義と戦う、ダンスで」という一文を見て、心が踊りはじめたのを覚えています。
突然ダンスバトルが始まるという構造のドラマですが、「非正規雇用」というテーマを扱う以上、「生活感あふれるダンスバトルドラマ」であることを意識しました。登場人物の普段の食費、生活費、お財布の中身、貯金残高を感じられるようなドラマでありながら、ダンスでその思いが爆発するような内容にできればと思ったのが出発点です。
登場人物たちが月いくらで暮らしているのか?コンビニで何を買うのか?日々の生活の中で何に不安を感じるのか?といったところからキャラクターを立て、部屋干しの服のにおい、残業で飲むエナジードリンクの味。仕事終わりに行く床がベタベタな家系ラーメン、キュウリの漬物を乗せてうっすら緑色に染まる白米の味。安くおしゃれをしたいからフリマサイトでひたすら画面をスクロールして値下げ交渉をする日々――そうした生活を土台とした生活で起こる労働ダンスバトルドラマとして書いていきました。
このバトルは、自分たちの生活の延長線上にある世界で起こる「不安」が労働の原動力になってしまった人たちのダンスバトルなのだと。その上で大事にしたのはダンスの持つエンタメ性を失わずに、とにかく突き抜けること。このドラマでしかできない「労働者という立場だからこそ踊れるダンス」を模索した結果、「踊りから言葉が飛び出してくる」というダンスバトルの形となりました。「ダンスは口ほどにモノを言う」「自分の暮らしを守るための弾幕」的なイメージです。
監督の綿部さん・企画の沢木さんとギリギリまで話し合った時間や、振り付けの水村さん、ダンスチーム、音楽チーム、スタッフ、出演者の皆様のパワーがあってこそ実現できたものだと思います。この作品の中にも確かな「労働」がありました。
このドラマの主人公は「普通の人間」です。この時代に「普通」を貫くことがどれだけ難しいか?その「普通」の中で一歩踏み出すことがどれだけ誇れることなのか?「普通」がいかにスペシャルで、クールで、ファニーで、パンクで、クレイジーであるかを伝えるドラマだと思っています。この受け取り方は人それぞれです。「誰かのシフトを自分が埋めた」とか、「カツカツな納期を守った」とか、「誰かのためにコスパの良い料理を作った」とか、今日も“誰かの普通”が“世界の普通”を守っていることへのリスペクトを込めたりもしています。「人間讃歌」なんてかっこいいものではなく、このドラマが誰かにとってのごくごく身近な「生活讃歌」となれば嬉しいです。
最後に、まだ見たことのない「なにか」に振り切って、スタッフ・ダンサー・出演者のプロフェッショナルな方々が全力でそれを具現化して、チームで新しいエンタメに仕上げていく。そのパワーとその喜びを改めて教えてもらった作品です。地域の方々の生活に根付く放送を届けるTVQだからこそできる「くらしをエンタメする生活讃歌ドラマ」だったと思います。
こういった企画を通すどころか、“開局35周年ドラマ”として放送してしまうTVQの懐の深さと粋な社風、そしてそれを面白がって全力で具現化する演者・スタッフの方々がいることが個人的にとても嬉しく、作家冥利に尽きました。(九州を舞台にした骨太な歴史ドラマとかでなくてよかったのか?と未だに思います。)「この企画でみんなでとことん踊りましょう。踊らにゃそんそんです」と言ってもらえるよう、なんとも言えないユーモアあふれる心強さを感じました。目をキラキラさせながらドラマを一緒に構築していくTVQの方々の顔が今も焼きついています。
そんな素敵で実直なチームで作ったのがこのドラマです。この作品が、TVQから、そして全国各地のテレビ局・制作会社・作り手から新たなエンタメを生むリズムの一節になれば幸いです。TXN大賞、ありがとうございます。そして、受賞おめでとうございます。開局35周年おめでとうございます。
演出(監督) 綿部裕基氏(株式会社あお)
①挑戦した部分
本作の核であるダンスでキャラクターの個性を表現するため、振付師と徹底的に話し合いました。さらに「バズる映像」を目指し、カメラマンとカメラ割りやライティングを熟考。最初の工場の社長とのバトルはこだわりのワンカット、続くエース社員戦はスタイリッシュな撮影と編集、最後のCEO戦は躍動感あふれるカメラワークと、各ダンスシーンで異なる味わいを楽しめるよう演出しました。予算面を考慮し、スタジオを使用したCEO戦以外はすべて実際のオフィスや工場、居酒屋などを借りて撮影しましたが、それが逆にリアリティを生む結果となりました。照明やスモークの制約で断念した演出もありましたが、キャスト陣やスタッフから忌憚のない意見を出してもらい、「どうすればより尖った作品になるか」を最優先に現場でブラッシュアップを重ねました。
②限られた時間の中での工夫
ダンスが光っていないとドラマとして尖っていかないため、お芝居パートを4日間で撮り切るという非常にタイトなスケジュールの中、ダンスの撮影時間を多めに確保しました。事前準備としてキャスト陣の振り合わせの時間を設け、現場では1秒も無駄にできない緊張感の中で修正を繰り返しました。象徴的だったのは、主人公に仲間が合流してCEOに立ち向かう最終シーンです。当初は社員2人が後ろで踊るだけの予定でしたが、現場で「秘書もCEOのやり方に疑問を抱いていたのでは?」という解釈が浮上。急遽、秘書役であり振付師でもある水村さんにもダンスに加わってもらう全員での群舞へと変更しました。これがダンスパート最初の撮影でしたが、「凄いものが撮れた」という確かな手応えを感じました。
③伝えたいこと
本作は、企画者・沢木氏の「ダンス×資本主義」という奇抜なアイデアを原点に、脚本家・谷口氏がクスッと笑えるセリフ回しや時代性を捉えた言葉選びで物語へと昇華させてくれました。お二人は「下手なものは世に出したくない」と強い責任感を持っており、「誰かのリズムで踊らされて生きている」というテーマの通り、「自分たちのリズムでの作品にしたい」という熱意が毎回の打ち合わせから伝わってきました。脚本の推敲から音楽の打ち合わせ、初号試写、最後の編集まで常に伴走してくれたからこそ、ダンスバトル中の感情テロップといった大胆な演出にも振り切ることができました。年末年始の多忙な時期にダンスを自分のものにしてくれたキャスト陣、アイデアを出し合って支えてくれた撮影・演出・制作の全スタッフの作品への想いがあったからこそ完成した作品です。改めてドラマ作りの醍醐味と楽しさを感じる、しびれる仕事になりました。
プロデューサー 豊福研人氏(TVQ九州放送)
「なぜ、ローカル局がドラマ作りに挑むのか」―。それは、放送エリア内でのみ電波を届け、広告収入を得るという従来のビジネスモデルが大きな転換期を迎えるなかで、私たちが未来を生き抜くための新たな戦略を手探りで模索しているからです。
現在、配信プラットフォームの普及により、ローカル局のコンテンツも一瞬で全国、ひいては世界へ届く環境が整っています。その配信の時代において、非常に相性が良いジャンルだと考えているのが「ドラマ」です。自社でドラマを企画・制作し、著作権(IP)を100%保有することは、配信権利収入や海外展開といった新たな収益源を生み出す上で不可欠な戦略となります。さらにドラマは、従来のCM枠の販売に留まらず、プロダクトプレイスメントやタイアップなど、ストーリーと連動した「新しい広告の価値」を生み出せるジャンルでもあります。これらを組み合わせることで、ローカルの枠を飛び越えたコンテンツビジネスの形を目指しています。
リソースが限られるローカル局にとって、ゼロからドラマを制作することは決して容易ではありません。しかし、この度私たちのドラマが「2025年度TXN番組大賞」という賞を頂けたことで、少なからずその挑戦が認められたのだと、今は安堵感に包まれています。私たちがドラマを作るのは、単なる記念碑的な取り組みではありません。
配信時代の荒波の中で、ローカル局が自立したコンテンツプロバイダーへと変わっていくための、『生存戦略』を探している過程にあります。今回の受賞で得た確かな手応えを胸に、今後も枠にとらわれない仕掛けを続けてまいります。
■番組概要
【タイトル】
【テレQ開局35周年記念ドラマ】「非正規雇用 リズム&サバイブ」
【放送日時】
2026年3⽉21⽇(土)午後4時〜午後5時15分
【放送局】
TVQ九州放送・テレ東系全国ネット
<テレビ東京・テレビ大阪・テレビ愛知・TVQ九州放送・テレビ北海道・テレビせとうち>
【配信】
放送終了後から動画配信サービス「U-NEXT」にて見放題独占配信中
※作品の視聴には会員登録が必要です。
【主演】加藤 諒
【出演】福留 光帆、関口メンディー、塩﨑太智、芋洗坂係長、オラキオ/森下 じんせい、大村 わたる、菊池 銀河
【振付】水村 里奈
【ダンス楽曲】agehasprings
【企画】 沢木 祐介
【脚本】 谷口 マサヒト
【監督】 綿部 裕基(あお)
【プロデューサー】 豊福 研人(TVQ九州放送)、大本 昌徳(あお)
【制作プロダクション】 あお
【製作著作】 TVQ九州放送
【公式HP】 https://www.tvq.co.jp/special/rhythm_and_survive
【公式X】 https://x.com/tvq_drama
【公式Instagram】 https://www.instagram.com/tvq_drama/
【ハッシュタグ】 #非正規雇用リズムサバイブ #リズサバ