21 AUG

経済産業省、「エンタメ・クリエイティブ産業戦略2026」を取りまとめ〜海外売上高20兆円に向けた「ものがたり大国5か年計画」〜

編集部 2026/8/21 19:30

経済産業省は、2033年までに日本発コンテンツの海外売上高を20兆円に拡大するという政府目標の実現に向けて、2025年度に「エンタメ・クリエイティブ産業政策研究会」を開催した。
同研究会での議論を踏まえ、この度「エンタメ・クリエイティブ産業戦略2026」が取りまとめられた。

■背景

経済産業省は、2025年度に「エンタメ・クリエイティブ産業政策研究会」を開催し、90者以上の各界トップ層、100者以上のスタートアップやクリエイター等と議論を重ねた。
同研究会での議論を踏まえ、政策立案・実施に向けた目標や戦略等を具体化するものとして、「エンタメ・クリエイティブ産業戦略2026」が取りまとめられた。その際には、50名を超える研究会委員や関係省庁からメッセージ・写真が寄せられた。
官民で目標・戦略等を共有し、海外売上20兆円に向けて取組が加速される。
なお、本戦略は、今年7月に日本成長戦略本部にて決定された戦略17分野の「官民投資ロードマップ」のうち、コンテンツ分野を具体的に推進するための柱となる戦略である。

■エンタメ・コンテンツ分野の主なポイント

エンタメ・コンテンツ分野(ゲーム、アニメ、マンガ、音楽、実写)は、2033年の海外売上高20兆円の実現に向け、日本で創り、世界に届け、IP360度展開※で利益を最大化し、クリエイターへの還元を図る。
※IPをマンガからアニメ、ゲーム、実写、音楽、グッズまで多角的に展開して利益を最大化する仕組み。

分野別・バリューチェーン別の戦略として、以下の点に注力し展開される。

アニメ戦略・実写戦略・新興分野戦略:
アニメ戦略では「ブロックバスター増産と成果報酬率向上」に注力し、海外売上を2033年で6兆円へ拡大することが目指される。
実写戦略では、映画・配信に加えて放送事業(テレビ等)も含めた世界配信を前提としたブロックバスターに注力し、海外売上を0.5兆円へ拡大する。また、映像事業におけるVFX等に対応した高性能な撮影スタジオの活用も推進される。
さらにコンテンツ産業の新興分野戦略(eスポーツ、ゲーム実況、ショートアニメ、Vtuber、縦型ショートドラマなど)として、成長性の高い分野へ戦略的な資源配分が行われ、イノベーションが促進される。

アニメ分野の目標・戦略(「エンタメ・クリエイティブ産業戦略2026」より引用)
実写分野の目標・戦略(「エンタメ・クリエイティブ産業戦略2026」より引用)

バリューチェーン戦略:
「日本で創り、世界に届ける」方針の下、世界的な大ヒット作品の量産、開発・流通プラットフォームの強化、海賊版抑制、IP・人材・デジタルへの投資拡大による好循環が創出される。

日本で創り、世界に届ける好循環の構造(「エンタメ・クリエイティブ産業戦略2026」より引用)

クリエイター育成戦略:
「賃上げとスタートアップ振興」を通じ、平均年収を1,000万円へと拡大し、クリエイターが継続的に参入するエコシステムが構築される。

「市場の失敗」の解決に向けた3本柱:
政策を通じて「創る、流す、叩く」の3本柱で市場の失敗の是正に取り組む。

「創る」:高い不確実性による過小投資(実写・アニメ等の映像分野で米国の1割程度の水準)に対し、価値評価や債務保証の仕組みの整備、補助金による投資負担の軽減を通じて民間投資を促進する。また、関連産業への外部経済効果の内部化や補正を行い、市場シグナルを活用しながら産業全体の観点から補完的な資源配分を実施する。

「流す」:海外巨大プラットフォームへの依存に伴う低い回収率(映像・出版分野で1~2割程度)の課題に対し、日本の国際的な流通プラットフォームの拡大を支援し、クリエイターや権利者が適切な対価を得て世界展開できる環境を整備する。

「叩く」:年間10兆円に達する海賊版被害による投資インセンティブの低下を防ぐため、海賊版対策を強化し、正規流通市場の拡大を図ることで逸失収益率を低減する。

「IP価値最大化と対価還元」を促す5大構造改革:
(1)クリエイターの育成・確保
(2)融資活用による資金確保
(3)AI活用・権利保護の両立
(4)成果に応じた適正な報酬獲得
(5)戦略的なIP活用
といった構造改革に取り組む。
こうした構造改革と一体となって、大規模・長期・戦略的に人材育成・製作・流通網拡大・海外展開・海賊版対策といった成長投資が後押しされ、民間の「売上3倍・投資3倍」が促される。

また、中間・最終評価の結果を踏まえて、効果が希薄な施策は縮小・廃止して施策を不断に見直しながら、効果の大きい施策は維持・拡大し、必要に応じて効果が高いと期待できる新施策を検討していく。

■省庁間連携(総務省等との連携)

長期的なコンテンツ産業の発展には、経済産業省が担う産業振興の観点に加えて、総務省が担う放送分野の産業振興や、文化庁が担う文化振興、外務省が担う外交の観点の取組も重要となる。各省庁が各々の観点で政策を強化することに加えて、相互連携による政策の相乗効果の発揮に取り組む。実写の映画および放送は共通点が多いことから、政策の方向性の平仄を取ることで、効率的かつ効果的に産業振興することが可能となる。

総務省との連携においては、2033年までに放送分野の実写の海外輸出額2,500億円以上、海外売上比率20%の実現を目指し、北米、欧州および東南アジアの重点地域への海外展開が強化される。また、海外展開を前提とした高品質な実写の放送コンテンツの製作を促進するため、日本の放送事業者や番組製作会社等に対して先進的設備等の活用経費の支援、製作に携わる人材の育成、日本の実写の放送コンテンツを集約した配信プラットフォームの整備等を通じて、実写の放送コンテンツの海外展開が推進される。

■今後

経済産業省は、本戦略に基づき、関係省庁や産業界等と連携しながら、政策の立案・実施を進める。また、不断に政策の効果検証を継続し、随時、政策の改善に反映する「学び続ける政府」となることが目指されている。

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