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テレビ東京制作陣が仕掛けるオンラインフェス「試すテレ東祭」制作発表会レポート

編集部 2020/6/24 09:30

テレビ東京は2020年6月26日(金)より、同局初となる大規模オンラインイベント『試すテレ東祭』を開催すると発表。開催に先立つ20日(土)、テレビ東京宣伝部の公式Twitter上にて本イベントの「制作発表会」が配信された。

初日となる26日(金)は、ロンドンブーツ1号2号の田村淳氏がMCを務める番組イベント『⽥村淳のバーチャル池袋作戦会議!ミラーワールドとは何者か!』を無料配信。翌27日(土)からは、テレビ東京が運営に携わる東京・東池袋のライブスペース「Mixalive TOKYO(ミクサライブ・トーキョー)」を拠点とした連続9日間のオンラインイベント『テレ東無観客フェス 2020』を開催。人気番組を手掛ける制作陣が、テレビの枠組みを超えた斬新な切り口のオンラインイベントを届ける。

本記事では20日に行われた制作発表会の模様をレポート。テレビ東京初の試みとなるイベント開催に向けて語られた、企画陣の意気込みを伝える。

■アフターコロナで「もっと試せる時代」になった

発表会冒頭、司会を務める相内優香アナウンサーが本イベントのコンセプトを説明。

「(コロナ禍を経て、オンラインイベントと)リアル(との統合)を意識する時代に突入した」と述べ、「テレビ東京と視聴者の新たなつながりを思考する第一歩が『試すテレ東祭』」とした。

初日公演のMCを務め、自身も企画に携わる田村氏は、緊急事態宣言解除にともなう「アフターコロナ」の現在に触れ、次のように語った。

田村氏:いろいろとリモート会議をして夢物語みたいに語ってきたことが動きだすということで、ワクワクしている。これまでいろんなことをテレビ界は試してきたが、失敗が許されない状況だったので、思い切った実験ができない世の中だった。コロナで背中を押され、もっと試せる時代になったことが、コロナでは唯一プラスにとれることだと思う。

「テレビ東京は失敗しに行っている。でも(テレビ東京には)失敗から(知見を)得るのが上手な人達がいっぱいいる」と田村氏。「失敗をコンテンツにするのがはじまったな、と。それを最初にテレビ東京がやっているということがチャレンジングだと思う」と、同局の姿勢を評価した。

■仮想空間上に「バーチャル池袋」を構築

26日(金)19時より開催の『田村淳のバーチャル作戦会議!ミラーワールドとは何者か!』では、「Mixalive TOKYO」が所在する東京都豊島区を舞台に、リアルとバーチャルが相互に関わり合う世界「ミラーワールド」を構築。仮想空間上にリアルな街と連動する都市「バーチャル池袋」を作り上げる。

「バーチャル池袋」構築への意気込みを語る田村淳(写真下)

「コロナで飲食業界やエンタメ業界が苦しんでいる状況を受け、なにかできないかと始めた」と田村氏。「(高野之夫)豊島区長にも許可が得られたので『バーチャル豊島区長』を務めようと思う。『リアル区長』と『バーチャル区長』で盛り上げて行けたら」と述べた。

同イベントには高野区長をはじめ、地元有名企業やプロフェッショナルも出演予定。実際に豊島区を拠点とする人々が関わることで、リアルな世界にも波及する新たなまちづくりの形を模索する。

「(仮想空間には)ただ平坦な土地が用意されているので、ここになにをおくか(というところから取り組む)。まちづくりと街を救うことが両立できるかという実験になっている」と田村。「(自身にとっての)ライバルが登場してくれたら盛り上がる。われこそは、という人がいれば立ち上がってほしい」と呼びかけた。

■テレ東社員の「発想術」を生トーク

27日(土)からは、9日連続のオンラインイベント『テレ東無観客フェス 2020』が開催。同局の人気番組を手掛けるプロデューサー陣による、普段のテレビの枠組みを超えた斬新な切り口のイベントを有料配信する。

まずは、27日(土)20時より開催の『テレ東社員だらけのワインコイン裏サロン』。

『モヤモヤさまぁ〜ず2』プロデューサーの伊藤隆行氏、『ゴッドタン』プロデューサーの佐久間宣行氏をはじめ、現役のテレビ東京局員10名が生配信で赤裸々なトークを繰り広げる。

当日の内容については「『何も知らなくていい、とりあえず聞かれたことに対して答えてくれればよい』とだけ言われている」と伊藤氏。本企画を通じて「テレビ東京の社員しか発想しないようなこと、発想術などを見られると思う」と期待をのぞかせた。

テレビ東京 伊藤隆行プロデューサー(写真上から2段目中央、黄色くハイライト)

伊藤氏:新しく企画を考える時間もないなかで有料イベントをやる、というプレッシャーはテレビで初めて。もともと蓄積しているものを出し合うしかない。本音というか、自分のなかにあるものを出すことになるので、面白い企画になると思っている。

■Mr.都市伝説 関暁夫と「テレビでは話せない都市伝説」を語る

28日(日)20時からは『生でやりすぎ都市伝説ナイト』。

世界のさまざまな“都市伝説”を扱う人気番組『やりすぎ都市伝説』同番組メインMCのMr.都市伝説 関暁夫氏が、同番組プロデューサーの岩下裕一郎氏とともに「テレビでは話せない都市伝説」を語る。

岩下氏:これまで「テレビで流せない」などの理由で(話題を)カットしてきた場面もあったが、今回はそれをナシにして、この配信でしか話せないことを話したい。「関さまさま」(と忖度するの)ではなく、関さんとケンカをするくらいの勢いで腹を割って話したい。

テレビ東京 岩下裕一郎プロデューサー(画面上から2段目中央、黄色くハイライト)

「(演出だと思われがちだが)番組で取り上げる都市伝説は、我々も本当だと思っている」と岩下氏。「本当の都市伝説を見に来てほしい」と呼びかけた。

■熱狂的ファンを持つアイドルグループのライブを生配信

29日(月)20時からは『池袋発!テレ東Mixaliveフェス #1』。

26時のマスカレイド、EUPHORIA、甘党男子など熱狂的なファンを抱えるアーティストグループが東池袋「Mixalive TOKYO」から生配信でライブパフォーマンスを届ける。

進行役は、欅坂46「サイレントマジョリティー」の完コピダンス動画などで注目を集める森香澄アナウンサー。当日は「特別な『何か』を披露予定」という。

『テレ東音楽祭』プロデューサーで本イベントを手掛ける星俊一氏は、今回の制作発表を欠席。内容のみの紹介となった。

■「性認識のバージョンアップ」がテーマの討論会

30日(火)21時からは『withコロナ時代に必要な「新・性教育」セクシャルマインドをバージョンアップせよ!!』。

家庭や会社、社会においてコロナ中に「性認識のズレ」から巻き起こった数々のトラブルをテーマに、性にまつわる認識を更新するべく「性と向き合ってきたプロ」たちと生配信で議論を繰り広げる。

当日はタレントのSHELLY氏、作家・社会学者の鈴木涼美氏、産婦人科医・性科学者の宋美玄氏、漫画家の峰なゆか氏、モデル・タレントのゆきぽよ氏が登壇予定だ。

本イベントを手掛けるのは『シナぷしゅ』『アラサーちゃん』プロデューサーの工藤里紗氏。

テレビ東京 工藤里紗プロデューサー(写真上から3段目右、黄色くハイライト)

工藤氏:子供の性教育はホットな話題だが、「性的同意を取るにはどうすればいいのか」といったことを大人がわかっていなかったりする。大人たちの性のバイアスなどを「いまってこうだよね」と話し合おうと思っている。

登壇メンバーはSHELLY氏、峰氏、鈴木氏など「忖度しない」面々なので、最近あったセクハラ事件についても聞いていきたい。

「性に対するマインドセットがバージョンアップされていない企業は潰れる」と工藤氏。本イベントは「特に男性に見てほしい」と呼びかけた。

■人気ゲーム番組 地上波ではボツの企画を生配信

7月1日(水)20時からは『生勇者ああああ 〜無観客生配信って聞いたんで面白いけど地上波でボツにしてた企画、ちょっと試してもいいですかライブ〜』。

本イベントを手掛けるのは、同局のゲームバラエティ番組『勇者ああああ』プロデューサーの板川侑右氏。アルコ&ピースらレギュラー陣が集まり、お酒を片手にゲームを楽しむ様子を生配信する。

テレビ東京 板川侑右プロデューサー(写真最下段左)

板川氏:(『勇者ああああ』は)お笑い番組でもある。たまに会議の流れで出たが「面白いけどあんまゲーム関係ないね」という企画や、身内(ネタ)すぎるボケ企画をやってみたい。

「(このイベントを)見に来るのは相当なファンだと思うので、お酒を飲みながら見てもらうくらいがいい」と板川氏。「チケットを買った人を死ぬほど笑わせる自信がある」と胸を張った。

■「見る」より「作る」のが面白い!芸能人と番組制作を体験

7月2日(木)19時からは『いきなり「冠(かんむり)」ツクル! 〜一緒に“番組”作ってみませんか?〜』。

本イベントを手掛けるのは『家、ついて行ってイイですか?』プロデューサーの高橋弘樹氏。「テレビ番組は『見る』より『作る』のが一番面白い!」というコンセプトのもと、キー局でまだ冠番組の経験がない4組のタレントをブッキング。ファンらとオンライン上での「制作会議」などを通じて本番さながらの「番組風動画」を作り上げる。

テレビ東京 高橋弘樹プロデューサー(写真最下段中央)

高橋氏:(テレビ番組は)見るのも楽しいけれど、作る過程がいちばん面白いなと思っていた。こちらでタレントさんをブッキングするので、好きなタレントさんと好きな番組をやる企画をやったらいいんじゃないかと考えた。

スタッフには芸人大好きな若手ディレクターや、アイドル大好きなプロデューサーに加え、田村氏も「特別参加」。「アイドルとファンを巻き込んで、自分のコンプレックスをひたすらなぐさめてもらおうという企画」(高橋氏)など、参加者たちの夢を具現化するような番組作りが行われることとなる。

番組作りそのものをイベント化することについて「(これまでの裏側は)全部バレるということ。制作会議と収録(の工程)も全部(表舞台に)出る」と高橋氏。

 

高橋氏:会議で盛り上がっていたけど本番ではスベったり、その逆もある。カンペで面白いことを言わそうとしているのを(出演者が)無視して面白いことが出たり。テレビの番組が出来ていく過程が明らかになるので、楽しんでもらえたら。

■「怒羅権」創設メンバーと“闇鍋”しながら生対談

7月3日(金)19時30分からは『池袋 生 闇鍋』。

本イベントを手掛けるのは、世界各地の危険な地域や危険な仕事をする人々の食事風景を伝える人気ドキュメンタリー番組『ハイパーハードボイルドグルメリポート』ディレクターの上出遼平氏。同氏が「いまいちばん話を聞きたい人」として、「怒羅権(ドラゴン)」創設メンバーの汪楠(ワン・ナン)氏を招き、『闇鍋』を囲みながら生配信で対談する。

テレビ東京 上出遼平ディレクター(写真上から3段目中央)

上出氏:怒羅権は1988年に中国残留孤児2世・3世らで結成された暴走族。汪氏は刑期を終えて出所後、受刑者に本を送ることで再生を支援するNPO「ほんにかえるプロジェクト」などの活動に取り組んでいる。

怒羅権の源流にはマイノリティへの差別があった。彼らはどういう流れで徒党を組んで暴力に頼っていったのか。どうして東京を脅かすくらいの集団になったのか。そういうことを闇鍋を介して話し合いたい。

イベントでは「本当にテレビでは聞けないことが話されると思う」と上出氏。「僕がどうやって彼ら(取材者)と飯を食って話を聞いているのか、生で配信される。そういう見方でも楽しんでもらえると思う」と語った。

■コロナ下のAV撮影現場を題材にした会話劇

7月4日(土)20時からは『女のみち特別編 〜アンダーコロナの女たち〜』。

本イベントを手掛けるのは、ドラマ『来世ではちゃんとします』プロデューサーの祖父江里奈氏。劇作家・ペヤンヌマキ氏ひきいる演劇ユニット「ブス会*」の代表作「女のみち」特別編として、コロナ厳戒体制下のAV撮影現場を舞台とした会話劇と座談会を生配信する。

テレビ東京 祖父江里奈プロデューサー(写真上から2段目左、黄色くハイライト)

祖父江氏:(作・演出の)ペヤンヌマキさんは、劇作家でありながらAV監督。「女のみち」シリーズは(彼女)自身の経験をもとにしている。昨今(コロナ感染防止のため)いろんな制限が設けられているが、濃厚接触不可避なAV業界の現場はどうなっているのかという疑問があった。

制作にあたっては有名AV女優に取材を行い、脚本には実際のAV撮影現場の実情を盛り込んでいるという。

「私自身が見たい演劇を企画した」と祖父江氏。「この演劇を見ると、この(コロナ厳戒下の)数ヶ月に撮影されたであろうAVが2倍楽しめると思う」と語った。

■「ゴッドタン」佐久間Pが脳内に抱えた企画を実験

最終日となる7月5日(日)は「佐久間宣行スペシャル企画『クズか、宝か? 〜見えない企画を試してみる会〜』」。20日の制作発表会見時点で開演時刻は未定。

本イベントを手掛けるのは『ゴッドタン』『青春高校3年C組』プロデューサーの佐久間宣行氏。ラジオ番組「オールナイトニッポン0(ゼロ)」(ニッポン放送)パーソナリティも務める同氏が脳内に抱えている企画を実験的に試し、成立するかをトライアウトする。

テレビ東京 佐久間宣行プロデューサー(写真上から3段目左)

佐久間氏:制作人生も20年くらいになると「これは怖くてやれないな」という企画がたくさんある。たとえばダメなディレクターに言われた発言でトーナメントを決めるとか。「ガンガン行きましょうよ」みたいに打ち合わせで言うやつはダメです、みたいなものを決めよう、というような。(生配信の)アーカイブが24時間しか残らないと聞いたので、ネットニュースの記者にも見つからずに逃げ切れるだろうと思う。

今回の『試すテレ東祭』について「緊張感があって、失敗が許される場所。ここまで(失敗しても)怒られないと聞いている場所はない」と佐久間氏。

本イベントにはアンガールズの田中卓志、ハライチの岩井勇気のほか「売れっ子のバイプレーヤーも参加予定」という。佐久間氏は「腕のある芸人さんの、本当のさぐりさぐりの顔を見てほしい」と語った。

■たくさん「前向きな失敗」が生まれればいい

最後に『試すテレ東祭』への意気込みについて田村氏がコメント。

田村氏:頭のなかで考えるよりも生で起こったことに制作陣が生で応えていく(ほうが)手探り感が味わえるし、大いに失敗してやろうという意気込みで取り組める場所が(今後も)出来ていけばいい。今回がそのきっかけとなり、たくさん「前向きな失敗」が生まれればいいと思う。

「『またテレ東が面白いことをやっている』と広めてほしい」と田村氏。「『テレ東がいろんなことを試し始めた』と拡散してほしい。頑張って試しに行きたい」と語り、およそ90分にわたる制作発表会を締めくくった。

 

『試すテレ東祭』詳細はテレビ東京イベント公式ホームページにて公開中。有料イベント『テレ東無観客フェス』の参加チケットはチケットぴあのサイトから購入できる。

テレビ東京イベント公式ホームページ

『テレ東無観客フェス』チケットぴあ購入ページ