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テレビ東京、地方自治体とタッグ「我々が制作する番組でソリューションを提供できれば」〜『畑そのまんまレストランにする。in高崎』取材会レポート

編集部 2020/9/24 12:00

テレビ東京では、群馬県高崎市を舞台とする新感覚のバラエティ番組 『畑そのまんまレストランにする。in高崎』を、2020年9月26日(土)16時から放送する。

同番組は、関東屈指の農業が盛んな高崎市を舞台に、畑で収穫した採れたての野菜や果物を一流シェフがその場でフルコースを仕立て、地元の人に提供するという“即興グルメバラエティ”である。

出演はパンサー、シソンヌ、丸山桂里奈、久保史緒里(乃木坂46)と、当地出身のテレビ東京・相内優香アナウンサー。食材調達チームと調理チームに分かれ、高崎産の野菜の美味しさ、農業を営む農家の姿、農業の魅力を発信する番組となる。

本記事では9月18日に行われたオンライン取材会の模様をレポートする。番組紹介に加えて、テレビ東京の原点とも言える地方との取り組みが語られた。

『畑そのまんまレストランにする。』番宣動画

■地上波と地方自治体が組み、視聴者に可能性や楽しみを提供

テレビ東京の伊藤隆行プロデューサーと工藤里紗プロデューサー、博報堂ケトルの畑中翔太プロデューサーが出席、テレビ東京の相内優香アナウンサーが司会を務めた。取材会はそれぞれの自己紹介からスタート。

伊藤氏:地上波のテレビ東京が地方と組むという非常に面白い取り組みです。直接、地方自治体と組んで番組をつくり、視聴者にいろんな可能性や楽しみを提供します。

工藤氏:私は朝の乳幼児向け番組『シナぷしゅ』、昼の『昼めし旅~あなたのご飯見せてください~』をレギュラーで担当しています。実際に特定の地方と組んで一緒に制作するのは初めてで、新しいパターンの発見になっています。

畑中氏:博報堂ケトルから、今回の企画のプロデューサーとして入っています。僕自身は町興し系のプロモーションをたくさん担当し、テレビ東京では深夜ドラマ『絶メシロード』を企画しました。町興しとメディアをつなげることをしてみたいと思っていましたが、今回この番組で実現できた思っています。

■放送局が地方創生に対して何ができるのか?

この番組の企画は、「日本全国を旅しているような局」であるテレビ東京が、地方創生とメディアをつないでいる博報堂ケトルをパートナーとして生まれたものであるという。そして、コロナ禍にある現在の状況も関係していると伊藤氏は続ける。

伊藤氏:地方創生という言葉がありますが、具体的に民放として何ができるのか。我々が制作する番組でソリューションを提供して解決できればと思っています。コロナ禍で日本人の価値観や旅の仕方も変わっていくと思いますが、改めて日本の良さを伝えられればいいと感じました。畑中さんの提案を聞いた時に、テレビ東京的だし、他局に先んじてやってみたい、全国に展開したいと思いました。

畑中氏:僕は数年前から高崎市のプロモーションをお手伝いしています。農業や水産業の第一次産業にたくさん課題があって、そこで何か新しいことができないかなと、この企画を考えました。番組名は、伊藤さんの『池の水ぜんぶ抜く』ではないですけれど、チャレンジを番組のタイトルにすることを真似ました。

工藤氏:テレビ東京は全国で映らないのに、なぜかすごい勢いで全国に行ってる局で、かなり地方の力を借りていますね。その中でアイデアはたくさん出てきますけれど、ビジネスとクリエイティブの部分をかけ合わせて放送にまでこぎ着ける畑中さんは注目の人で、面白いと思いました。

続けて工藤氏は、「テレビ東京の文化ではないお洒落なフルコースにした点も番組の魅力で、テレビ東京らしさと新しいものが融合した番組」であると語った。そして出演者を選ぶ際に、「そういえば相内さん群馬県出身だったよね?」とオファーしたことを明かす。

相内アナウンサー:ピンポイントで高崎市出身です。ただ今回、この番組に参加して、知らないことが結構多いことに気づきました。幻のキノコとか、樹齢百数十年の梨とか……。そこから作られたフルコースがびっくりするくらい美味しくて、地元が本当に誇りに思えました。

そして、伊藤氏が『田舎に泊まろう!』の例を挙げ、非常に親和性が高いコラボレーションが実現したと語り、次のように番組紹介をまとめた。

伊藤氏:やってみたかったことを、そのままやってくれている感じになっています。大人になって農業を本格的にやるということよりも収穫体験を、採れたものを素材そのまま食べるというよりも、きちんと人の手を入れて調理したものを、その畑でいただく。高級リゾートがプランニングして提供しそうな体験を、そのまま番組に再現できていることが非常に素晴らしく感じられます。

相内優香アナウンサー

■地元民も驚く地方の可能性。レギュラー化も視野に

取材会は質疑応答へと移り、主演者のチーム分けの意図や、テレビ東京とクラブツーリズムの取り組みが紹介された後、「高崎市はどこまで関与していて、どのようなメリットを期待されて協力してくれたのか」という両者の関係性についての質問があった。

畑中氏:高崎市は、基本的にはスポンサーのひとつです。今回は地産地消という意味合いもあり、フルコースの95%ほどは高崎市のもので作られています。野菜や魚、豚、それに合わせる日本酒も、使ったものがほぼ高崎産で、地元の農家さんもびっくりしていました。

そして畑中氏は、「この番組は、ある意味で高崎市のアンテナショップの意味合いもあり、市のアピールにつながっていくのではないか」と続ける。

相内アナウンサー:市長さんもいらっしゃって、市の農林課の方も活躍してくださいました。

伊藤氏:そこは『池の水ぜんぶ抜く』に似ていますね。市長さんも鯉を運んでいたり、全面的に協力していただいている感じです。地方と組むというのは、そういうことですね。

そして番組のレギュラー化についての質問に対し、登壇者は全国のいろんな自治体と一緒になって取り組みを続けたいと声を揃え、最後に次の伊藤氏の印象的な一言で取材会は終了した。

伊藤氏:地方と組むということで思い出しましたが、テレビ東京は開局してすぐに町と町が対決するスタジオショーを放送しています。町のいい所をアピールして勝ち負けを決めるという番組でしたけれど、55年経っても開局以来の地方の市町村を大切にしている姿勢は変わらないのだなと思いました。今後も各地と組んでいければと思いを新たにしました。

相内優香アナウンサー

『畑そのまんまレストランにする。』番組公式HP