リードミデム社マーケット開発ディレクター テッド・バラコス氏

24 JUN

日本の放送局から過去最多の参加!第5回中国MIP China2021開幕【海外レポート】

編集部 2021/6/24 07:00

世界最大級の国際映像コンテンツ見本市MIPTV/MIPCOMを主催するフランスのリードミデム社が企画する国際ミーティングイベント「MIP China(ミップチャイナ)」が6月28日(月)に開幕する。中国浙江省杭州市内を拠点とした中国地域専門イベントとして5回目の開催を迎える。今年は日本から過去最多の参加社を集め、計24社が参加することがわかった。事前レポートとして主催社に独自取材した内容をお伝えする。

ハイブリッドで開催される今年の「MIP China」は6月28日(月)に開幕する。

■新企画コンテストに日本の3CGアニメスタジオがファイナリスト選出

昨年はコロナ禍に伴い完全オンラインで開催されたMIP Chinaだったが、今年は杭州市現地とオンラインとのハイブリット型で行われる。昨年の参加人数を上回る526人のコンテンツビジネス関係者が参加する見込みだ。

ハイブリッドで開催されるカンファレンスセッションは6月22日から始まり、中国の参加を中心に200人が参加。今年は「ローカルなストーリーでグローバルなヒットアニメを制作する方法」にスポットを当て、セッションが組まれている。ドリームワークス・アニメーションの代表作『カンフー・パンダ』の監督ジョン・スティーブンソン氏による基調講演などが行われた。

また新企画の「Pan-Asian Kids TV Talent Quest」が打ち出された。アジアに焦点を当てたキッズ番組企画の提案コンテストを実施するもので、事前に応募したプロジェクト数は47に上った。その中から5つのプロジェクトがファイナリストに選ばれ、ファイナリストは中国最大手の映像プラットフォームであるiQIYIやTencent Videoのほか、アメリカのバイアコムCBSやワーナー・メディアAPACに対してピッチ(プレゼンテーション)を行う機会が設けられた。

ファイナリストに選ばれた国はオランダ、インド、シンガポール、中国とそして日本。映画『えんとつ町のプペル』などを手掛ける3CGアニメスタジオのFlying Ship Studioが企画提案するアニメーションプロジェクト『Chiruta』が選出された。MIP China参加者向けにオンライン上でその内容について公開されている。

■民放連とJETROがとりまとめ、日本から合計24社が参加

MIP Chinaのメインイベントである1on1(ワンオーワン)ミーティングは6月28日~30日の3日間にわたり開催される。約150人のバイヤーが参加する予定だ。バイヤーの地域構成はTencent Video、Youku、Bilibili、Bytedanceなど大手も参加する中国からのバイヤーは全体の32%を占め、残りの68%はアジア、欧米から参加予定である。ジャンル別ではドラマのバイヤーが最も多いが、キッズや映画、バラエティ番組フォーマット、ドキュメンタリーなど幅広いジャンルからバイヤーが登録している。

そんななか、日本から今年は過去最多の参加社が見込まれる。民放連が組織する国際ドラマフェスティバルがとりまとめた参加社は計13社に上る。これまでキー局からは日本テレビ、テレビ朝日、テレビ東京、フジテレビ/フジクリエイティブコーポレーションが参加し、準キー局からは讀賣テレビ/読売テレビエンタープライズ、ABCフロンティア、毎日放送、関西テレビが参加、ローカル局からはCBCテレビ、北海道放送、テレビ岩手、山口放送が参加する。ほかADKエモーションズも含まれる。

またJETROがとりまとめたアニメ制作会社などからの参加社数は計10社に上り、単独参加社を含めて日本からは合計24社が参加する。参加社はリードミデム独自開発のマッチングシステムによって事前に組まれた商談相手とオンライン上で行われる1on1ミーティングに出席し、海外展開を探ることになる。

カンファレンスセッションで挨拶するリードミデム社マーケット開発ディレクターのテッド・バラコス氏。

主催するリードミデム社マーケット開発ディレクターのテッド・バラコス氏は増加した日本の参加社数について「オンライン開催は気軽に参加できることがメリットのひとつにあります。アジアのコンテンツを探している国際バイヤーは年々増加傾向にあり、需要が高まるなか、日本から多くの社に参加いただけることは嬉しく思っています」とコメントした。

また昨今のマーケット状況について「新型コロナウィルス感染拡大の映像業界に与えた影響は大きく、世界中で新作の開発から人材発掘に至るまでコンテンツ需要が高まっています。またコロナ禍を背景に配信プラットフォームが大きく躍進したことによって、ゲームチェンジャーが出現し、再編を図って各社の統合も進んでいます。結果、グローバル規模の競争がますます激しくなってもいます」と言及した上で、「マーケットを開催するグローバルリーダーとして、オンラインにおいてもフィジカルにおいても商談を進めやすい環境を作ることが役割にあります。セレンディピティやコミュニケーションの重要性に改めて目を向けて、映像産業が活性化していく機会を提供していきます」と抱負を述べた。

リードミデムのマッチングシステムを利用した商談会に今回初めて参加する放送局やアニメスタジオも多い。商談の感触を含めて、中国をはじめ、アジア、欧米地域を対象とした海外展開の実態については、MIP China開催後にレポートする。

MIP China 公式サイト