映像クリエイター 仮面マン君 氏、中京テレビ放送株式会社 総合編成部 宮木千佳 氏

21 SEP

TikTok動画で認知度アップ!中京テレビ『オモウマい店』SNSの積極活用で新規ファン獲得

編集部 2021/9/21 08:00

中京テレビ放送株式会社(以下、中京テレビ)は、『ヒューマングルメンタリー オモウマい店』(毎週火曜19:00~、以下、『オモウマ』)の番宣の一環としてSNSを積極的に活用しており、中でもTikTok用に作られているオリジナル動画が人気を集めている。

同番組はMCをヒロミ、進行は小峠英二(バイきんぐ)が務めるグルメバラエティ。「オモてなしすぎでオモしろいウマい店、大集合!」と銘打ち、全国の面白い飲食店の料理はもちろんのこと、個性的な店主を紹介している。

『ヒューマングルメンタリー オモウマい店』 Copyright© 中京テレビ

中京テレビの総合編成部で、ビジネス戦略班の一員としてコンテンツビジネスを進める宮木千佳氏と、TikTokの動画を編集しているTikTokクリエイターの仮面マン君氏(以下、仮面マン君)に、同番組のTikTokを始めることになったきっかけや、動画制作の方法、狙いについて話を伺った。

■地域密着型番組が、特番を機に全国区へと拡大

――まず『オモウマ』の番組概要を教えてください。

宮木氏 中京テレビには25年以上続く、高田純次さんが出演されている『PS純金』(毎週金曜19:00~)というローカルのバラエティ番組があります。地域密着型で、とにかく地元の人同士で地元を面白がるものです。

ある放送回で地域では有名なモーニング(コーヒー一杯でたくさんのサービスがついてくる)の特集をした時に高い視聴率を獲得しました。それから番組では、知る人ぞ知る地域の情報を発信するようになり、同時に店主の人柄やお客様との交流を描いてきたところが、『オモウマ』のスタートになっています。

――『オモウマ』がスタートしたのは今年の4月ですね?

宮木氏『PS純金』の特番として全国に飲食店の取材範囲を広げた『ウマい!安い!おもしろい!全日本びっくり仰店グランプリ』を2回全国ネット番組として放送して、この春に新たなタイトルとともにレギュラー化することになりました。現在は、民放公式テレビポータル「TVer(ティーバー)」でも配信しています。

TVerで『ヒューマングルメンタリー オモウマい店』無料配信中!

行き過ぎた独特のサービスやデカ盛りのメニューのお店を紹介するのですが、そこはあくまでも入り口で、その向こうにある店主の思いや人柄、生き様が描かれている番組です。

宮木千佳 氏

■SNSのそれぞれの特性を重視した情報発信が大切

――『オモウマ』の番組情報発信にSNSを積極的に活用したのはなぜですか?

宮木氏中京テレビには『太田上田』(中京テレビ 毎週火曜24:59~)、『オードリーさん、ぜひ会ってほしい人がいるんです。』 (中京テレビ 毎週月曜24:59~)など、コアなファンの方々が多い番組があり、もともとWebとの親和性が高いと考えていました。実際に、SNSの反応を見ていると、地上波の視聴率とは別に、SNSでは視聴者の方々の率直な声が聞こえてきますし、コメントも直で返ってきていました。なので、これは絶対にSNSを活用すべきだと考えました。

――Twitter・Instagram・TikTokでは使い分けをしているように見られますが。

宮木氏全体としては、『オモウマ』の認知拡大が狙いで、地上波以外でのタッチポイントを増やすことが目的です。SNSそれぞれの特性を考慮して、Twitterではスタッフの思いや取材の裏側を、Instagramではお店情報や店主の生き様を、TikTokでは動画ならではの未公開映像やインパクトがある映像を流すことで、発信する情報のすみわけを決めました。

■TikTokクリエイターの仮面マン君が動画の制作を担当し注目が集まる

――SNSの中でもTikTokの使い方が印象的でした。

宮木氏もともと局ではTikTokアカウントを使ったことがあって報道のニュースを出したり、年末特番でTikTok LIVEを行ったりしていましたので、コメントの反応でリーチの良さについては、番組と絡めて使っていくのが良いという考えは持っていました。テレビを見てもらうのに新しいPR施策が必要だと考えている年代(若年層)がそこにいる、というのも狙いでした。

――現在大学院生で普段からTikTokやYouTubeに動画投稿をしている仮面マン君ですが、『オモウマ』のTikTok編集に携わるようになったきっかけは?

仮面マン君局でTikTokを使う機会があった時に、スタッフの方と知り合って、そして『PS純金』のYouTubeの編集をやるという話がありました。しかし、4月から全国放送の新番組ではTikTokで動画を投稿したいということだったので、得意なTikTokの動画の制作を行うことになり、『オモウマ』につながる『PS純金』の特番の分から編集を行いました。

――テレビ局から声がかかると思っていましたか?

仮面マン君SNSとテレビは近いようで遠い存在だと感じていたので、それが一緒になって何かを作るというのはそこまで想像していませんでした。でも自分はテレビっ子で、東海地方で有名な『PS純金』が元になった全国放送版ということだったので、話をいただいた時は嬉しかったですね。

仮面マン君 氏

■TikTokならではの動画制作の手法が人気の秘訣

――『オモウマ』のTikTok動画には、興味をひく仕掛けが沢山ありますね。編集上で工夫している点を教えていただけますか?

仮面マン君TikTokの動画では完全に見えている部分が実は少なくて、縦画面の下や横にはいいねマークや説明欄があるので、そこに被らないように文字を配列することは基本です。

そしてTikTokでは最初の1秒〜3秒が大事だと言われているので、できるだけ最初にインパクトのある、どんな映像なのか見てすぐにわかる、なおかつ動画視聴中に次の動画に行きたいと飽きさせないようにするため、商品の値段のルーレットを組み込むなどをし、最後まで見てもらうことを目標に動画を制作しています。

――実際に動画を見てみると、冒頭からすごくて引き込まれますね。

仮面マン君でもインパクトだけではなくて、店主の考え方やこだわりを的確に視聴者に伝えることも大切にしています。テレビ放送とは違って短い時間にまとめるため、違った受け取られ方をしないように、素材をしっかり確認して動画を作っています。

宮木氏動画向きのインパクトの強いお店が多いことはTikTokとの相性が良い点だと思っていますし、文字だとなかなか店主の人柄が伝わらないこともありますけれども、仮面マン君が本当に上手に動画に思いを込めてくれているのも人気になった理由だと思います。

■『オモウマ』は確かな手応えを得て、次の展開へと向かって行く

――SNS展開の現状を、具体的な数字で説明していただけますか?

宮木氏『オモウマ』TikTok公式アカウントは134,000フォロワー(9/17現在)に達しました。フォロワーの性別は女性(53.1%)男性(46.9%)とほぼ半々で、番組未公開動画をアップした際には「テレビで知ってTikTokを見に来た」というコメントが番組オンエア中に多数寄せられ、いままで漠然としたリアルタイムでのテレビとTikTokのシンクロが初めて目に見える形で実感出来ました。

――その他のSNSではどうですか?

宮木氏Instagram公式アカウントは7,835フォロワー、Twitterは13,185フォロワー(共に9/17現在)となっています。

――これからの展開を教えてください。

宮木氏SNSは視聴者の気持ちや感想が広くダイレクトに分かるツールで、いつもお店で接客をする際のカウンターのようなイメージを持っています。これからも情報発信と共に、情報源としても大切にしていきたいと思っています。局が制作した番組をいかにして多くの人に届けるのかというのが使命ですから、地上波の放送圏が狭くてもTVerやHuluに乗せればこの番組を見てもらえるチャンスが増える、SNSではまた別の切り口で全国の人に届けられるなど、ひとつのコンテンツの価値最大化を目指してやっていきたいと思います。

TikTokに関しては、『PS純金』でお馴染みの大食いスター・大盛のり子さんが登場したり、約120,000フォロワーを持つ三和交通さん(タクシー会社)が実際に番組で紹介された飲食店を訪れて食べていただくという企画の動画を投稿したりするなど、TikTok内での展開も続けていきたいと考えています。

――仮面マン君は、クリエイターとしてテレビとどう関わっていきたいですか?

仮面マン君TikTokの良さは、誰でも気軽に動画を投稿できることです。オリジナルのエフェクトなどを作って、視聴者参加型の企画、例えばハッシュタグチャレンジなどができれば面白いと思っています。

また、僕たちが活動しているのはSNSなので、今後、TikTokの先生としてテレビ番組に出演したり、企画やコーナーを持ったりするなど、もっと活躍の幅を広げられればいいなと思っています。

『ヒューマングルメンタリー オモウマい店』公式サイト

番組公式 TikTok

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