27 SEP

読売テレビ、加古川市と協力 地上デジタル放送波を使って防災情報を配信する体制を整備

編集部 2021/9/27 16:00

読売テレビは、兵庫県加古川市と協力し、地上デジタル放送波を使って防災情報を配信する体制を整備。実運用に向けた設備の作業が完了したことを発表した。今後、加古川市側の準備が整い次第、実際に防災情報の配信がスタートする。

今回の取り組みは、加古川市が発信する避難指示などの防災情報を、読売テレビの地上デジタルテレビジョン放送波を使って、加古川市内の屋外拡声器や専用の戸別受信機などに配信するというサービス。今年4月に読売テレビと加古川市が契約を締結し、実現に向けた準備を進めてきた。読売テレビでは、9月27日(月)未明の放送休止中に実際に放送波を用いた試験配信を行い、正常にデータの配信ができたことを確認。自治体の防災情報を、地上デジタル放送波を使って配信する試みは、全国で初めての事例となる。

加古川市では、今後、町内会など災害時の支援組織に戸別受信機を配布し、屋外拡声器や遠隔解錠装置などとあわせて、今年度中の運用開始を目指す。今後、読売テレビは、加古川市が参加する総務省消防庁の「地上デジタル放送波を活用した情報伝達手段に係る実証事業」にも協力していくという。

■防災情報配信のイメージ

①加古川市が防災情報(避難情報や災害発生情報)データを発信(※1)
②防災情報データを、読売テレビが放送波にのせて配信(※2)
③加古川市内各所の屋外拡声器や専用戸別受信機などで住民へ防災情報を伝達
④公共施設(避難所等)の遠隔解錠

※1)災害情報、武力攻撃事態など、住民の生命・財産に重大な被害を招く事象及び住民の生活に不安・不信を与える事象にかかる情報を発信。
※2)放送帯域(読売テレビの放送帯域で送信できるデータ量の約1%の200Kbps)を使って、加古川市の防災情報配信を行う。放送そのものには影響はない。

■テレビ放送波を使った情報配信について

情報配信の仕組みは、放送波の隙間を利用して情報を送信する技術「IPDC(IP Datacast)」によるもので、インターネットで利用されている IP(Internet Protocol)を放送波に活用し、広く一斉にデータを配信するものだ。自治体が防災情報を一斉に発信する方法としては、「防災行政無線」が一般的だが、台風などの場合、屋内にいると風雨の音で屋外拡声器の音声が聞こえないとの指摘があるほか、無線設備の維持・ 更新に多額の費用がかかるなどの課題が指摘されていた。「地上デジタルテレビジョン放送波」は、日本全国ほとんどの家庭で屋内アンテナ配線まで完備されており、専用の戸別受信機を利用することで音声が聞こえにくいという問題が解消できる見込み。加古川市では、V-Low 帯域(※3)を利用した防災情報配信を行ってきたが、当該事業会社の業務撤退により、その業務を読売テレビの放送帯域を利用した形で読売テレビが引き継ぐことになった。

※3)デジタル化(地デジ化)前のアナログテレビ放送で使用されていた電波の周波数帯域のうち、90MHz~108MHz の 帯域を指す通称 社内に設置された IPDC 防災装置

社内に設置されたIPDC 防災装置

リリース