MIPTV2022で開催されたTBSの海外セールス新作『天才vs大群』プロモーション朝食会

16 MAY

TBS、海外セールス新作『天才vs大群』カンヌPRの全貌【MIPTV2022レポート】(前編)

編集部 2022/5/16 09:00

世界最大規模のTVコンテンツ国際取引マーケットMIPTVが3年ぶりにフランス・カンヌ現地で開催された。4月4日~6日の3日間の期間中、約80か国から5,000人以上が参加し、日本勢は日本テレビ、フジテレビ、カンテレ、吉本興業、東映アニメーションが現地で世界市場のパートナーと取引を進めていた。新たな試みも行われ、TBSはリモートでプロモーション活動を行った。現地の模様をレポートする。

フランス・カンヌMIPTV2022会場

■参加国トップ20ランキングに日本と韓国がランクイン

天候に恵まれたフランス・カンヌの4月の時期。カンヌ市内中心地にある地中海沿いの会場「パレ・デ・フェスティバル」に世界各国からTVコンテンツビジネス業界関係者が集まった。パリに本社を置く主催のRXフランス社の発表によると、約80か国、5000人以上の参加者の内、バイヤー数は1200人以上に上った。出展社・団体数は150以上と、コロナ禍以来、初めてフランス・カンヌ現地で開催された2021年10月開催のMIPCOM2021と比べて、その数は増加した。

毎年春の時期に企画されるMIPTVはこれまでドキュメンタリーとフォーマットビジネスの専門マーケットが別日に併設されていたが、今回はMIPTV期間中にまとめられ、開催日程は通常より1日短縮、会場も縮小化。海外渡航に難を要する地域がまだあることから、合理化したマーケット形式となった。

ウクライナのブース

アジアからの参加者は前回のMIPCOM2021よりも増えた。参加国トップ10ランキングに日本と韓国がランクインし、その割合は日本と韓国がそれぞれ全体の2%を占めた。ほか、フランス20%、イギリス12%、アメリカ10%、ドイツ8%、スペイン5%、カナダ4%、ウクライナ4%、イタリア4%、その他29%で構成された。ウクライナからの参加が増えたのは、主催のRXフランスが参加費およびブース出展料を無料とする措置を講じたため。結果、ウクライナからの参加者数は80人以上に上り、ウクライナ参加者数としては過去最大規模になった。

MIPTV統括ディレクターのルーシー・スミス氏

MIPTVを統括するルーシー・スミス氏はアジアの参加状況について「日本からも参加者が戻ってきたことを大変喜ばしく思っています。TBSのブレック・ファースト・セッション(朝食会)は多くの参加者を集めました。一方、引き続きオンラインで参加するアジアの参加者は多く、特に中国は海外渡航が厳しい状況です。今年10月に開催するMIPCOMではアジアの参加者がさらに増えることを期待しています」とコメントする。

■TBS海外セールス新作PR朝食会に80人が参加

TBSプロモーション朝食会の会場外観

スミス氏が言及した通り、TBSの海外セールス新作『天才vs大群』(英語タイトル:『TOTALLY OUTNUMBERED』)のプロモーション活動の一環で企画された朝食会「MIPTV SHOWCASE & BREAKFAST SESSION - INTRODUCING NEW WILD GAME SHOW!」は約80人の参加者を集め、盛況だった。現地時間4月5日朝8時から約1時間半にわたって開催され、MIPTV会場正面にあるマジェスティック・ホテルの一室を貸切り、朝食を用意したテーブル席は満席。招待を受けた欧米、中東、アジアの地域から参加したバイヤーをはじめとする業界関係者を前に、新作のプレゼンテーションが行われた。

TBSプロモーション朝食会の様子

『天才vs大群』は各ジャンルの「天才」と大人数の「大群」が対決する内容で、「天才」が大人数をなぎ倒すシーンに爽快感が味わえるのが見どころ。日本国内では2021年4月と8月の放送を経て、2022年2月にはゴールデンタイムで放送実績がある。TBSの世界ヒット事例にある『SASUKE』に続く最新フィジカルゲームショーとして、MIPTVを皮切りに海外セールスが開始された。

TBSの海外セールスチームは日本からリモート中継で説明を行い、「世代も文化も越えて理解しやすい」「映画『キル・ビル』やマーベル作品のような世界観をリアルワールドで実現させた面白さがある」などといったセールス文句を並べた。

また会場ではMIPTV元マーケット開発ディレクターのテッド・バラコス氏が番組について「独自性と創造性を兼ね備えたもの。カメラの設置にも工夫があり、安全性を確保した作り」と補足した。さらに、番組イメージを伝えるため「プロボクシング選手」対「アマチュア大群」によるショート・パフォーマンスも用意された。

MIPTV2022で開催されたTBSの海外セールス新作『天才vs大群』プロモーション朝食会

■ハイブリッド型のプロモーション活動の事例に

会場の参加者からは「シンプルかつ躍動的な番組」「ゲームと現実世界、笑いがうまく融合されている」「若年層受けしそう」などといった感想が聞かれた。

TBSの海外セールス新作『天才vs大群』トレーラー公開中。TBS公式オンラインプログラムカタログ

後日TBSに確認したところ、実際にプロモーション朝食会直後にドイツやモンゴルのバイヤーから引き合いの問い合わせが入り、おおよそ20件のバイヤーが新作に興味を示していることがわかった。リモート対応という制限があるなかで、まずまずの反応を得ている。

ハイブリッド型のプロモーションは日本の国際ドラマフェスティバルin TOKYOが開催した「MIPCOM Buyers‘ Award for Japanese Drama」授賞式イベントなどMIPCOM2021から既に始められている。ネットワーキングを目的とした場合は今のところ、リアルの活動に勝るものはないが、プロモーションから取引手法まで新しい取り組みが求められているなか、柔軟性のある試みを続ける価値はある。後編は会場に足を運んだ参加者の活動を中心にレポートする。

【後編】日テレ唯一の出展/フジ国際ピッチファイナリスト、TV局海外展開の今【MIPTV2022レポート】