虎谷温子アナと大阪市立大学名誉教授 朴一氏

23 MAY

読売テレビ、オンライン全社人権研修会を開催 「在日コリアンをめぐる諸問題」について意識を高める

編集部 2022/5/23 14:50

読売テレビは、4月18日(月)より4週間にわたり、読売テレビおよびグループ会社の社員、協力会社スタッフなどを対象とした、オンライン全社人権研修会を開催した。本研修会は、人権に関する幅広い知識を得ること、理解を深めることを目的に2019年より実施しており、これまで「西成問題」「同和問題」「LGBTQ」「人種問題」「ジェンダー」をテーマに開催。第6回となる今回は「在日コリアン」をテーマに、大阪市立大学名誉教授の朴一(パクイル)を講師に招き、「在日コリアンをめぐる諸問題」と題した講演が行われた。

研修会は、事前にビデオで収録し、オンラインにて開催。また今回は研修の理解度を深めるため、講演後、虎谷温子アナウンサーを聞き手に、テレビ・メディアが番組制作をする上で特に留意すべき点への解説や疑問に答える対談パートを別途設け、朴教授の講演と併せて2部構成で実施された。

朴教授は、兵庫県生まれの在日コリアン3世で、大阪市立大学で長年「在日コリアンに関する人権問題」について研究され、番組『かんさい情報ネット ten.』や『そこまで言って委員会NP』のコメンテーターとしても出演。講演で朴教授は、普段はあまり話されることのない、幼少の頃からの生い立ちと自身が実際に経験してきた差別や辛かった思いなどを、時に声を詰まらせながら語り、次のように指摘した。

「歴史的な経緯から、関西、特に大阪には多くの在日コリアンが生活している。その昔に何らかの差別を受け、苦労をして現在に至っている人も沢山いる。自分自身も入居差別や就職差別を経験してきた。今の若者達は、BTS は知っているが在日コリアンの問題は知らないという人も多い。しかしながら、今もなおヘイトスピーチが存在し、差別が行われているのも事実である。差別があるのは、誤解と偏見が原因。こんな人と関わりたくないから関わらないで済まそうとする心の距離があるからで、話せば分かり合えることが多い」

また、メディアが特に留意すべき点として、「誤った発信をしないために正しい知識を得ることはもちろん大切だが、人間は差別をしてしまうもので、重要なのは差別に向き合う姿勢。すなわち差別をしてしまった時に、簡単にごまかして済ますのではなく、どこが不適切だったのか? どうすれば良かったのか? を掘り下げて考え、実際にどう対応するのかということではないか。また、番組作りについては、日々の番組の中に在日コリアンのようなマイノリティーが普通に存在していることが大切。ジェンダーバランスが言われる時代だが、マイノリティーバランスも重要であり、マイノリティーの意見を尊重する番組作りをしていって欲しい」とメッセージを送った。

読売テレビでは、時代とともに変容する人権問題への意識を高めるため、今後も同研修会を適時開催していくという。