MIPCOMカンヌ会場

08 AUG

MIPCOMカンヌが「国際共同制作&ビジネスマーケット」にリブランディング~新設「栄誉賞」にBBCスタジオが受賞

編集部 2022/8/8 08:00

今年10月にフランス現地で開催される「MIPCOMカンヌ」の公式タイトルが「MIPCOMカンヌ~第38回エンターテイメント国際共同制作&ビジネスマーケット」にリブランディングされる。3年ぶりに大規模開催の見通しが立ち、新たなイベント企画が計画されるなか、主催のRXフランス(本社・フランス、パリ)が発表した。新たなネーミングの狙いは何か。同社エンターテイメント部門ディレクターのルーシー・スミス氏に話を聞いた。

■超拡大版マーケットを象徴する「国際共同制作」ビジネス

国際エンターテイメント流通マーケットとしてMIPCOMカンヌは世界最大の規模を誇る。主催のRXフランスは既報の通り、「今年は完全復活の年になる」と宣言し、日本からの参加を含めて世界中から1万人の参加者数を見込む。カンヌ市内中心部にあるパレ・デ・フェスティバルを主な会場に2022年10月15日~20日の約1週間にわたりMIPCOMウィークが展開される予定だ。

2019年以来3年ぶりに大規模開催が計画されるなか、ブランディング戦略においても「MIPCOMカンヌ~第38回エンターテイメント国際共同制作&ビジネスマーケット」という新たなネーミングが打ち出された。これまでもマーケット会場では「国際共同制作」は話題の中心にあったが、イベント全体のタイトルに反映し、強調した印象を持たせる。

MIPTV/MIPCOMを統括するルーシー・スミス ディレクターは「超拡大版のMIPCOMカンヌを象徴するもの」と説明し、続けてこのように述べた。

MIPTV/MIPCOMを主催するRXフランスエンターテイメント部門ディレクターのルーシー・スミス氏

「今年のMIPCOMカンヌはマーケットの進化をかたちにしていきます。番組売買は国際マーケットにおいて根強いビジネス手法であることに変わりはありませんが、世界有数のスタジオやデジタルプラットフォーマーが再びカンヌに戻ってくるこのタイミングに、国際共同制作ビジネスを前面に打ち出すことにしました。コロナパンデミックが起こって以降、エンターテインメント業界は想像もしなかったような変貌を遂げました。それはマーケットイベントを提供する立場の我々にとっても、同じことが言えます。だからこそ、国際共同制作ビジネスを促進する新たな専門イベント「シービュー・プロデューサーズハブ」を会場内に開設します。世界中のクリエイター、プロデューサー、コミッショナー、開発担当者のための契約交渉のハブとして機能することを期待しています」。

国際共同制作イベント「シービュー・プロデューサーズハブ」の計画が発表されて以降、参加者からの反応も良好という。「非常に良い反応を頂いています。共同制作のビジネス関係者の多くは、新しいスペースを参加する主な理由に挙げていることからもそれを裏付けることができます」と、スミス氏が話す。また、各国で海外渡航の規制が緩和されたこともあり、好反応は「想定内」だったことも明かした。

■第1回スタジオ栄誉賞にBBCスタジオが受賞

MIPCOMカンヌの期間中、2022年10月15日・16日の2日間はキッズ専門マーケット「MIPJUNIOR」が3年ぶりに復活されることも既に発表されている。これについても「バイヤーと国際共同制作を手掛けるクリエイターやプロデューサーから手応えを感じている」とスミス氏が話し、「MIPJUNIOR会場のJWマリオット・カンヌは新装されたばかりです。バイヤーから好評を得ているスクリーニング・ライブラリーを復活させる計画もあります。キッズ系コンテンツのコミュニティが再びカンヌで盛り上がることを期待しています」と続けた。

開催2か月半前の時点で予想を上回る出展者予約や新規参加の申込が続いていることもわかった。スミス氏は「国際的なコンテンツ市場の活況を背景に、直接会ってミーティングを望む声が反響の多さに反映されています」と説明する。

スミス氏は日本の参加についても触れ、「活気のある日本のエンターテインメント企業が再びカンヌに戻ってくることを心待ちにしています」と、コメントする。数々の日本発イベントが計画され、後日その内容が明らかになるという。

さらに超拡大版計画の一環として、RXフランスはスタジオ栄誉賞を意味する「Studio of Distinction Award」を新設することも発表したところである。第1回スタジオ栄誉賞にMIPCOMカンヌ2022に出展参加予定のイギリスBBCスタジオが受賞することも決定した。イギリスの公共放送100周年と国際放送90周年の節目に、グローバルなスタジオとしての功績を称え、授与される。MIPJUNIORとMIPCOMカンヌのイベント期間中、基調講演も計画されている。

第1回「Studio of Distinction Award」受賞のBBCスタジオ登壇者

BBCスタジオの基調講演では今、テレビ業界内で最も注目される人物の登壇も予定している。グローバルヒットコンテンツを有するBBCスタジオのCEOトム・ファッセル氏と共に、ファッセル氏の前任者であり、現在、BBC会長のティム・デイビー氏が登壇することが明らかになった。デイビー会長は今年5月にデジタル最優先のBBC新経営計画を打ち出したところである。基調講演ではこのデジタル戦略の狙いについても語るという。

またBBC スタジオのキッズ&ファミリー部門マネージング・ディレクターであるセシリア・パーション氏もMIPJUNIORの基調講演に登壇する。スタジオ栄誉賞「Studio of Distinction Award」の授賞式は、MIPCOMカンヌ初日の基調講演内で行われる。

RXフランスのスミス氏は「クリエイターやプロデューサー、放送局、配給会社、スタジオの国際的で継続的な影響力を考える上で、BBCスタジオはアワード初回の受賞者として、これ以上にないタイミングで相応しいものです。BBCスタジオの素晴らしい功績を称えるとともに、将来の計画をカンヌで共有する場を作り出していきたいと思います」とコメントする。

今年のMIPCOMカンヌは超拡大版を謳い、ネーミングを「MIPCOMカンヌ~第38回エンターテイメント国際共同制作&ビジネスマーケット」にリブランディングし、マーケットの再価値化を目指しているように見える。

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