22 AUG

SHIBUYA109 lab.「Z世代の映像コンテンツの楽しみ方」に関する意識調査を発表

編集部 2022/8/22 17:45

株式会社SHIBUYA109エンタテイメントが運営する新しい世代に特化した若者調査機関SHIBUYA109lab.が、2022年7月一都三県の男女「around20(15~24歳)」を対象に映像コンテンツの楽しみ方を調査し、SHIBUYA109独自の視点から分析した。

全ての映像コンテンツをできるだけ効率化して見たいというわけではなく「タイパ」(タイムパフォーマンス)を重視する理由として「自分が価値を感じるコトに、時間を割きたいから」という回答が49.3%で最も多く、“自分の好きなものにできるだけ時間をかけたい” と考えている傾向が明らかになった。

映像コンテンツのサブスクリプションにおいては「どちらかというとお金の節約というよりエンタメを楽しむための出費として考えている」という声が聞かれ、サブスクはコストパフォーマンスの良さではなく、サービスの魅力に惹かれて利用されているようだ。

また、映画館に行く理由としては、約5割が「友達と一緒に楽しめるから」と回答し、映画館で映画鑑賞をすることは、 “体験”として楽しまれていることが分かった。

Z世代はタイムパフォーマンス・コストパフォーマンスを重視する傾向にあるが、あらゆる場面で合理的に無駄なく過ごしたいからではなく、自分が価値を感じることに時間やお金を充て、それ以外は節約していきたいという観点からメリハリをつけ、限られたリソースを上手に配分しているのが実態だった。

「倍速視聴」するのは約半数。Z世代が気にする本当の “タイパ” とは

Z世代の約7割が何かしらのサブスクリプションサービス(以降サブスク)を利用し、サブスク登録者のうち74.1%が動画配信系サブスクに登録している昨今※図1、「テレビ離れ」「倍速視聴」など、彼らの映像コンテンツの視聴態度が度々話題になっている。

今回のSHIBUYA109 lab.の調査では、Z世代の映像コンテンツの視聴態度について、徹底調査した。

 

図1 Q.あなたはサブスクに登録していますか。(単一回答) n=945(男性:459/女性:486)/
Q.あなたが利用しているサブスクについて教えてください。(複数回答)n=619(男性:307/女性:312)
※サブスク登録者

動画配信系サブスク等、低価格で大量に映像コンテンツを見られる環境が整うにしたがって “タイパ(タイムパフォーマンス)” が重要視されるようになり、85.0%のZ世代が「タイムパフォーマンスを重視する」と回答した。※図2

 

図2 Q.あなたはタイムパフォーマンスを重視しますか。(単一回答)
n=400(男性:200/女性:200)※回答者=動画配信系サブスク登録者

しかし、視聴態度の詳細※図3を見てみると、「ながら見(別の作業をしながら映像を見る)」するZ世代が81.3%であるのに対し、「倍速視聴」は48.6%、「スキップ再生(映像を飛ばしながら見る)」は51.5%、「ネタバレ視聴(作品を楽しむ前にある程度の内容を把握しておく)」は44.3%と約半数程度にとどまった。

図3 Q.サブスクでの映像コンテンツの楽しみ方に関して、あなたにあてはまる頻度を教えてください。(単一回答) n=400(男性:200/女性:200) ※回答者=動画配信系サブスク登録者

さらに、時間に対する価値観について質問すると、タイパを重視する理由※図4として「自分が価値を感じるコトに、時間を割きたいから」という回答が49.3%で最も多く、「世の中のあらゆることを効率化したい」という回答(30.8%)よりも高い数値がとれた。

図4 Q.あなたがタイムパフォーマンスを重視する理由を教えてください。(複数回答)
n=400(男性:200/女性:200) ※回答者=動画配信系サブスク登録者

グループインタビューでも、「何回も見たい作品があるが、家庭用録画機器だと記録容量を食ってしまうので、サブスクに入っている」「一回見れば満足な作品と、何回も見たい作品がある」など意見が聞かれ、全ての映像コンテンツをできるだけ効率化して見たいというわけではなく “自分の好きなものにできるだけ時間をかけたい” と考えており、時間の使い方に関してもZ世代の『メリハリ消費』の価値観が表れていることが分かる。

常にコンテンツ過多の状態であるZ世代が、取捨選択して効率的にコンテンツを視聴する方法については「動画は1.25倍速で見る。他にやりたいこともあるし、長い話は省略したい」「特にタイパを良くする方法を調べたことはないが、『別の作業をしながら動画も見れる』と気づき、実践している。トリートメントしながら動画を見るなど、日常的にタイパを意識している」という声があった。
ここから、コンテンツ消化のための工夫は生活の中で、ごく自然に行われていることが分かる。

一方で、「ドラマやアニメなど何話まで見ていたか分からなくなることがある」と回答したのは65.8%、「観たことはあるが内容を覚えていないような映画やドラマがある」は72.6% ※図5 、「常に見たいコンテンツがあり追いつかない」が70.8%※図6となっており、大量の映像コンテンツを消費し続ける弊害もいくつか見受けられた。

図5 Q.サブスクでの映像コンテンツの楽しみ方に関して、あなたにあてはまる頻度を教えてください。(単一回答)
n=400(男性:200/女性:200) ※回答者=動画配信系サブスク登録者

図6 Q.サブスクでの映像コンテンツの楽しみ方に関して、あなたによりあてはまるものを教えてください。(単一回答)
n=400(男性:200/女性:200) ※回答者=動画配信系サブスク登録者

【2】「視聴したコンテンツをシェアする」が約7割!Z世代がサブスクを使う“コスパ”」以外の理由

Z世代の消費傾向として、タイパと同じく「コスパ重視」の姿勢も注目されている。実際に「コストパフォーマンスについて考える」Z世代の割合は92.0%になった。※図7
「コスパ」という言葉についても、「コスパが良いと感じるのはどんな時ですか」という質問に対し、「料金が安い」(69.3%)に次いで、「1度買えば長く使える・長い時間楽しめる」(41.3%)、「浮いたお金で自分の趣味に充てられる」(33.5%)が多くなり、コスパを時間で捉えているほか、より好きなものにお金をかけるための節約と考えていることが分かる。

図7 Q.あなたが日々の生活の中でコストパフォーマンスが良いと感じるのはどんな時ですか?(複数回答) 
n=400(男性:200/女性:200) ※回答者=動画配信系サブスク登録者

一方で、動画配信系のサブスクを選ぶ基準※図8に関しては「コスパが良い(25.8%)」「価格が安い(23.3%)」よりも、「サービスに魅力を感じる(38.8%)」「好きなジャンルのコンテンツが充実している(35.3%)」が上位に上がった。

図8 Q.動画配信系のサブスクにおいて、あなたがサービスを選ぶ際に決め手になったものを全て教えてください。(複数回答)
n=400(男性:200/女性:200)※回答者=動画配信系サブスク登録者

「動画配信系サブスクの魅力はなんですか」※図9という質問の回答も、「自分の好きな時間に視聴できる(50.3%)」、「CMがない(39.0%)」「暇つぶしになる(34.3%)」が上位となり、やはりコスパは関係なく、動画配信系のサブスクだからこそ享受できる視聴スタイルに魅力を感じていることが分かる。

図9 Q.あなたが思う動画配信系サブスクの魅力はなんですか。あてはまるものを全て教えてください。(複数回答)
n=400(男性:200/女性:200)※回答者=動画配信系サブスク登録者

グループインタビューでも、「どちらかというとサブスク登録は、お金の節約というよりもエンタメを楽しむための出費として考えている」「サブスクは、これまでなら知らなかった作品にレコメンドで出会えるので価値がある」「普段は見ない古い作品も簡単に見られるのがサブスクのいいところ」という意見が聞かれ、サブスクはコスパの良さではなく、サービスの魅力に惹かれて利用されていることがわかった。


サブスクを解約しない理由を聞いた質問※図10では、「今のサービスに満足している」が71.3%となり、次点の「金額が高くない」(17.8%)という理由を大きく超えて最も高い数値となった。グループインタビューでも、「レコメンドされる作品がこれまでの閲覧履歴に紐付いて決められ、アカウントが自分好みに育っており、リセットされたくないので退会しない」「見たいドラマを見つけた時にサブスクに入っていなくて見られない状態になるのが面倒なのでずっと入っている」などの意見が聞かれた。

図10 Q.あなたがサブスクを解約しない理由を教えてください。(複数回答)
n=400(男性:200/女性:200)
※回答者=動画配信系サブスク登録者

また、「動画配信系サブスクについて周囲と共有することはあるか」という質問に対し、周囲と共有するという回答を選んだのは7割以上。※図11「話題作は友達とのコミュニケーションのきっかけになっている」と回答したのは73.3%にものぼり※図12、動画配信系サブスクは、一人で映像を楽しむのはもちろん、コミュニケーションのきっかけとしても役割を果たしていることが分かる。

図11 Q.動画配信サービス系のサブスクについて、周囲と共有することはありますか。
あなたがしたことがあるものを教えてください。(複数回答)  
n=400(男性:200/女性:200)※回答者=動画配信系サブスク登録者

図12 Q.サブスクでの映像コンテンツの楽しみ方に関して、あなたによりあてはまるものを教えてください。(単一回答) n=400(男性:200/女性:200) ※回答者=動画配信系サブスク登録者

また、グループインタビューでも、「サブスクの作品だと(後から見られるので)友達に紹介しやすい」「見ている番組をInstagramのストーリーズにアップして、そこから時々『私もそれ見たよ』という話題になるのが楽しい」「会話のネタとして話題の作品を見ている。初対面の人とでも、コンテンツの話なら盛り上がれる」といった声が聞かれ、動画コンテンツは、サブスクに登録するモチベーションになるのはもちろん、コミュニケーションのきっかけに活用されていることが分かる。
「友達などが観ているコンテンツを視聴する」という回答も68.8%となり※図13、友達とのコミュニケーションがきっかけで、動画コンテンツの視聴を開始することもあるようだ。

 

図13 Q.サブスクでの映像コンテンツの楽しみ方に関して、あなたにあてはまる頻度を教えてください。(単一回答) n=400(男性:200/女性:200) ※回答者=動画配信系サブスク登録者

【3】約3割は2~3ヶ月に一度は映画館に行く。Z世代のテレビ・映画の楽しみ方

最後に、動画配信系サブスクに限らず、映像コンテンツ全般に関してZ世代がどのように楽しんでいるかについても調査した。「普段視聴しているもの」として多かったのが「動画配信サービス(無料)」(84.0%)、「動画配信系サブスク」(62.3%)、「テレビ番組」(59.8%)となり※図14、動画配信サービスやサブスクがテレビ番組を上回った。一方、「周囲で話題になるもの」では、「動画配信サービス(無料)」(47.0%)が最も高いものの、テレビ番組が動画配信系サブスク(有料)をわずかに上回った。

図14 Q.映像コンテンツに関して、あなたが【普段視聴するもの】と、【周囲と話題になることが多いもの】をそれぞれ教えてください。(複数回答)  n=400(男性:200/女性:200) ※回答者=動画配信系サブスク登録者

グループインタビューでは「ドラマの最後に見逃し配信のお知らせをしていて、動画配信系サブスクに入会した」「CMが放送されているような大手動画配信系サブスクを使いたいと思っている」という声が聞かれるなど、Z世代の中では、ネット上で動画を見ることが当たり前になっている一方で、「クラスの友達が視聴している放送中のドラマは、翌日にすぐに話題になるため、リアルタイムで視聴するようにしている。」といった声もあった。視聴タイミングが様々なサブスクとは異なり、テレビ番組は皆が同じタイミングで視聴するため、より話題にしやすいようだ。周囲と話題にする番組ジャンルとして上位を占めたのは、アニメや日本の映画・ドラマとなった。※図15

 

図15 Q.あなたがサブスクで視聴するジャンルに関して、【友達と話題にすることの多いジャンル】と【1人で楽しむためのジャンル】をそれぞれ教えてください。(複数回答)
n=400(男性:200/女性:200)※回答者=動画配信系サブスク登録者

さらに約9割のZ世代が日常の中で映画館に足を運び、映画館に足を運ぶ頻度※図16としては「2~3ヶ月に一度」が28.8%で最も多くなった。

図16 Q11.あなたが映画館で映画を観る頻度を教えてください。(単一回答)
n=400(男性:200/女性:200)※回答者=動画配信系サブスク登録者

映画館に行く理由としては、「友達と一緒に楽しめるから」(45.9%)、「世界観に没入できるから」(42.2%)、「友達とのお出かけの一環として楽しめるから」(36.1%)などが挙げられている。※図17
グループインタビューでも「映画館に行くことは思い出になる。雰囲気の違う映画館が沢山あるから、行くこと自体が楽しい」などの声が聞かれ、映画館で映画鑑賞をすることは “体験”として楽しまれていることが分かった。

図17 Q.あなたが映画館で映画を観る理由を教えてください。(複数回答)
n=244(男性:116/女性:128)※サブスクで映画視聴をし、何らかの頻度で映画館に行くと回答した人

【4】SHIBUYA109 lab.所長が分析!お金・時間・コンテンツへの向き合い方…限られたリソースを上手に配分しメリハリをつけるZ世代

Z世代はタイムパフォーマンス・コストパフォーマンスを重視する傾向にあるが、あらゆる場面で合理的に無駄なく過ごしたいからではなく、自分が価値を感じることに時間やお金を充て、それ以外は節約していきたいという観点からメリハリをつけ、限られたリソースを上手に配分しているのが実態だった。
映像コンテンツに対する向き合い方にも同様の傾向がみられ、サブスクリプションサービスやSNSで日々膨大な量の情報やコンテンツを受け取る彼らは、コンテンツの内容が自分にとってどのくらい重要かを判断し、視聴態度においてもメリハリをつけている。例えば、周囲とのコミュニケーションのきっかけの作りやすさ、映像コンテンツの世界観にどのくらい没入したいかなどの判断軸に合わせて視聴方法や場所を決定しているようだ。

SHIBUYA109 lab.のHPより、WEB調査の無料グラフレポートを配布中

■アンケート調査概要

①WEB調査
調査期間:2022年7月
調査パネル:外部調査会社のアンケートパネルを使用(SHIBUYA109 lab.調べ GMOリサーチ プラットフォーム利用の調査)
居住地:一都三県
性別:男女
年齢:15~24歳
対象:高校生・大学生・短大・専門学校生
回答者数:400名(男性200名/女性200名 ※ 動画配信系サブスク登録者)

②SHIBUYA109 lab.による定性調査
・グループインタビュー
対象者条件: 大学生 男子4名、女子4名 2G 合計8名
※その他過去定性調査をもとに考察

SHIBUYA109 lab.

株式会社SHIBUYA109エンタテイメント