左からインテージ深田航志氏、KFC小室武史氏

18 NOV

国内最大の動画視聴パネルによる広告DXツール「TVAL」とは? 『INTAGE FORUM 2022』セッションレポート

編集部 2022/11/18 09:30

株式会社インテージは、2022年10月18日から20日の3日間、同社主催によるオンラインカンファレンス『INTAGE FORUM 2022 CONSUMER CENTRIC TRANSFORMATION』を開催。「CCX (Consumer - Centric Transformation) 〜ビジネスをドライブする‘X’〜」をテーマに、生活者起点による体験価値のデザイン、データやデジタル技術を活用したマーケティングの最新事例を紹介した。

本記事では2日目に開催されたセッション『KFCの動画メディア活用と投資対効果について 国内最大の動画視聴パネルによる広告DXツール TVALとは』をレポート。国内最大のテレビパネルデータを活用し、テレビCM出稿におけるリーチ効果やCVR(リーチ単価)をデジタルと同指標で計測できるインテージの新サービス「TVAL」を取り上げ、広告主のメディア戦略に向けた貢献の形を語る。

スピーカーは、株式会社インテージ 事業開発本部 メディアと生活 研究センター長 深田 航志氏。ゲストに日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社(KFC) 上席執行役員 マーケティング本部 副本部長 CMO 小室武史氏を迎えた。

左からインテージ深田氏、KFC小室氏

■テレビ×購買、テレビ×意識調査のクロス分析を実現「シン・テレビ動画視聴パネル」

「テレビは国民の半数へ1日でリーチできるパワーを保持し続ける強力なメディアだが、広告主視点で見るとCM出稿やPDCAの面でブラックボックスの部分が多い」と深田氏。「単価が高いテレビCMをいかに効率的に多くの見込み顧客に対して届けられるかが大きな課題」といい、これらを後押しするソリューションとして、大規模パネル「シン・テレビ動画視聴パネル」とテレビCMキャンペーン分析サービス「TVAL」を紹介。

「シン・テレビ動画視聴パネル」は、国内最大となる2万4000件の規模を持つテレビ視聴パネルデータ。2013年より同社が展開するシングルソースパネル「i-SSP」をベースに、アンケートパネル「キューモニター」、購買パネル「SCI(全国消費者パネル調査)」、さらにスマートフォン・PCなどデジタルのログデータを組み合わせ、テレビ視聴×購買、テレビ×スマートフォン操作、テレビ×意識調査といったクロス集計分析が可能という。

■プランニングから効果分析までが一気通貫で可能。行動×視聴データ分析ツール「TVAL」

「TVAL」では、「i-SSP」のスマートフォン・PC・購買ログのパネルサイズを拡大し、さらに株式会社スイッチメディアが開発した高精度テレビ視聴測定データを搭載。テレビCMキャンペーンのプランニングから効果測定の分析まで、一気通貫で把握することが可能という。

「TVALでは広告セッションから態度変容までの行動と購買を1人単位からシングルソースで連携できるため、どれくらいのCM接触で購買意識が高まるかといった数値目標や、購入してくれた方や購入しそうな方がどんな時間帯の番組を視聴しているかを把握できる」と深田氏。

行動データとの連携によって、ターゲットセグメントにおける広告効果が高い精度で可視化されるほか、テレビCMのリーチを視聴回数・視聴人数ベースで計測でき、「これまで説明しにくかったテレビCMの効果をデジタルと同水準で比較できる」とアピールした。

■「マーケットシェア以上にSOVを重視」KFCが取り組むメディア戦略

続いて小室氏が、KFCにおけるテレビ・動画メディア展開の方針についてプレゼン。生活者にとって日常的に親しまれる「エブリデイブランド」に向けた取り組みとして、同社では広告やロゴの認知を通じてブランドの存在感を大きくする「メンタルアベイラビリティ」、店舗やアプリなどを通じてサービスへの接触面を増やす「フィジカルアベイラビリティ」の両面からセールス向上を図っているという。

「広告の認知効果は複数のメディアを使うことでより高まっていく」と小室氏。「マーケットシェア以上にSOV(Share Of Voice:出稿・露出シェア)を出すよう取り組んでいる」とし、テレビやデジタル、自社メディアなどを組み合わせた展開で広告の認知効果とROI(投資利益率)を高めているとコメント。

「リーチによるセールス貢献はクリエイティブに次いで大きい」といい、「ターゲットを絞りすぎてリーチを狭めるよりは、比較的大きなリーチを取ることを心がけている」という。

「まずはテレビを中心としてリーチを最大化し、そこにデジタルを加えることによってリーチを獲得する。両者のバランスを取りながら、フリークエンシーが極端に大きくならないよう意識して取り組んでいる」(小室氏)

各キャンペーンにおけるメディアの選択については、「キャンペーンごとにメディアターゲットを変えている」と小室氏。プロモーションする商品ごとにターゲットを設定し、柔軟なメディアミックスを展開していると述べた。

「若い層へリーチさせたい商品のキャンペーンについてはややデジタルの割合がやや多くなる一方、F2をメインターゲットとするファミリー向け商品についてはテレビの割合が多くなる。とくにテレビ展開においては、広告枠における素材の割り付けを調整するなど工夫している」(小室氏)

■“行動別”ターゲット抽出に対応する「TVAL」 効果の高い未出稿枠もサジェスト

後半は深田氏が「TVAL」のデモンストレーションを行い、その特色をプレゼンした。

ホーム画面では、週ごとの出稿量が確認可能。現在は各地域単位の表示だが、今後全国単位での表示にも対応予定。ダッシュボード画面ではCPV(視聴単価)やCPE(エンゲージメント単価)、ターゲットの行動につながった度合いを示す「エフェクティブ(有効)リーチ」などの軸で広告の効果を測定可能という。

さらに「複数名で食事する率が高い」など、インテージ社が保有するアンケートデータ、購買データ、デジタルデータをもとに抽出した属性単位でリーチ人数やリーチ率、GRP(延べ視聴率)、SOVを確認することも可能。競合他社や自社の他キャンペーンとの比較をグラフベースで行えるという。

フリークエンシー計測に関しては、出稿枠や出稿先の放送局を横断する形でターゲットの視聴回数やGRPを確認可能。ターゲットの視聴が多く未出稿の枠をハイライト表示するほか、出稿先として効果の高い番組名のサジェストにも対応しているという。

デモンストレーションを受け、小室氏は「クリエイティブに注力するあまりメディアプランニングが代理店任せになってしまうことも多いが、このようなツールがあると実際の購入者の姿が可視化され、非常にターゲットしやすくなる」とコメント。「さらにここからターゲットを広げていく展開も想像しやすくなるので、出稿効率がより高くなっていく」と期待を述べた。

「今後、インテージではスイッチメディア社との共催セミナーやワークショップを定期開催していきたいと思います」と深田氏。「ご関心、ご興味のある方は、ぜひインテージのPRページからご連絡ください」と参加者に呼びかけ、セッションを締めくくった。