MIPTVカンヌ2023は、4月17日~19日の日程開催予定。

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開催迫る60周年イヤーMIPTVカンヌ参加数20%増

編集部 2023/4/10 08:00

60周年を迎えるTVコンテンツ国際取引マーケット「MIPTVカンヌ2023」(4月17日~19日)の開催が迫る。主催するRXフランス(本社・パリ)の発表によると、参加者数は昨年比で20%増を見込み、春の時期に行われる世界最大規模のマーケットとして完全復活させる勢いだ。日本から各社の出展を予定し、TBS提供の新作バラエティ発表会も企画される。また初開催されるFASTグローバルサミットをはじめドラマ、フォーマット、ドキュメンタリーら各専門イベントで企画されるセッションの内容が明らかになってきた。注目のMIPTVカンヌ2023事前情報をまとめた。

MIPTVカンヌ2023は、4月17日~19日の日程開催予定。

■80カ国以上から530社以上の出展社見込む

TVコンテンツ国際取引マーケットの中で最も歴史のあるMITV(ミップティービー)カンヌが今年、60周年の節目の年を迎える。期間はフランス現地時間4月17日(月)から19日(水)までの3日間を予定し、このほか開催前日の16日(日)にはプレマーケット「スーパーサンデー」としてドキュメンタリーとドラマ専門イベントや、14日(金)から19日(水)の日程で併催イベントのカンヌ国際ドラマ祭「Canneseries(カンヌシリーズ)も企画され、春のTVカンヌウィークが新たな装いで復活する。開催場所はこれまで同様にフランス・カンヌ市内中心部にある海岸沿いの会場「パレ・デ・フェスティバル・エ・デ・コングレ」で行われる。

主催するRXフランス(本社・パリ)の発表によると、2022年比で20%増となる6000人以上の参加者数、80カ国以上から530社以上の出展社と1,600人のバイヤー参加を見込む。昨年はコロナ禍の影響もあり、ブースを設けなかった企業も多かったが、今年の春はアメリカからFOX、パラウント、ワーナー・ブラザース・ディスカバリー、A+Eネットワークスら大手グローバルメディアの出展が戻る。

日本からは昨年春の出展に続いて日本テレビ、東映アニメーションが出展し、さらにNHK、TBS、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京、読売テレビ、関西テレビ、ABCフロンティアが出展を復活させる。日本の出展社数は計10社となる。

また2019年以来初の中国パビリオンも戻ってくる。「MIPTVは今年、中国をはじめアジア太平洋地域のコンテンツコミュニティが復活する」とRXフランスのエンターテイメント部門ディレクター兼MIPTVディレクターのルーシー・スミス氏が強調する。

「2020年以降、渡航制限によりアジア各国からの参加は限られていましたが、この4月にカンヌで開催されるMIPTVは、中国、韓国、日本、香港、オーストラリア、インド、フィリピン、その他アジア太平洋地域に関わるコンテンツビジネスを行う人にとって、必須のマーケットになります」(ルーシー・スミス氏)

アジア太平洋地域からのバイヤー数も増加傾向にあり、ヨーロッパ以外の地域では最も多く、アジア系バイヤーが10人に1人を占めるとも予想されている。

アジアの勢いを押し上げる韓国については、政府支援のパビリオン出展を例年通り予定し、15社、80人以上が韓国パビリオンに参加する。近年注目されているFASTチャンネル運営企業も含まれる。韓国はカンヌ国際ドラマ祭「Canneseries」コンペティション部門でノミネートも果たした。期間中、スタジオドラゴン製作ドラマ「Island」の上映およびピンクカーペットイベントが行われる。

■TBS新作フォーマット3本を発表するショーケース

期間中、ドラマ、フォーマット、ドキュメンタリー、キッズの各分野にフォーカスしたキーノートやマーケティングトレンド、ショーケースなどのセッションが多数用意されている。TBSは初日17日にショーケース「THE TALK OF TOKYO」を企画する。これまで新春スペシャル放送など過去8回の放送実績があり、4月からゴールデン帯に昇格したバラエティ番組『神技チャレンジ/Kamiwaza:The Superhuman Skill Show』と、バラエティ番組『バナナサンド』の看板コーナーとして人気のある「ハモリ我慢ゲーム」のコーナーから開発した『OUTSING the CHOIR!』のバラエティ2本、そしてディズニー・プラスで全世界配信中の日曜劇場ドラマ「マイファミリー」の計3本を新作フォーマットとして紹介する機会を設ける。

Copyright© TBS
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リリース

なお、TBS提供のMIPTV/MIPCOMにおける新作バラエティ発表会はこれで3回連続の開催となる。『SASUKE』をはじめ成功事例を持つTBSだが、新たな世界ヒット企画を目指し、プロモーション強化を進めている。また今回、TBSはフォーマット専門イベント「MIPFORMATS」プログラムでも登壇を予定する。18日(火)の「MIPFORMATS: WHO'S CREATING THE NEXT BIG HIT?」でセールスを担当する瀬川郷守メディアビジネス局グローバルビジネス部担当部長がイスラエル最大手フォーマット企業Armoza FormatsのCEO Avi Armoza氏らと並び、2023年のヒットトレンド傾向について言及していく。

ソニーのカンヌ特別セッションもMIPCOM2022(2022年10月開催)に続き、企画された。18日午後に「SONY CONTENT PRODUCTION SEMINAR」と題し、バーチャルプロダクションと次世代CineAltaカメラ「VENICE」にフォーカスしたパネルトークが行われる。

このほか、トレンドにある無料ストリーミングテレビ「FASTチャンネル」の国際的な成長に焦点を当てた「FAST & GLOBAL SUMMIT」の開催は目玉の1つにある。パラウントグループのPluto TV、楽天ヨーロッパ、サムスTV+ヨーロッパなどFASTチャンネル最前線のプレイヤーが登壇し、市場の現状や今後について語るカンファレンスとネットワーキングの場が作られる。

キーノートはITVスタジオのグローバル・ディストリビューションおよびグローバル・エンターテインメント担当マネージング・ディレクターのルース・ベリー氏や、現在See It Now Studiosの社長で、元CBSニュースの社長兼シニアプロデューサーのスーザン・ジリンスキー氏が登壇するなど、旬な顔ぶれが揃う。

こうした世界のコンテンツビジネス最前線が詰まった内容で企画される今年のMIPTVカンヌ2023は、アジア参加復活を見込み、業界コミュニティと商談の場に活気が戻ってくるようである。現地の模様については追って報告する。