11 DEC

日本テレビ、メタバース空間で活躍する次世代のアーティストを発掘へ 開局70周年を記念しメタバース空間「日テレイマジナリウム」を立ち上げ

編集部 2023/12/11 16:00

日本テレビ放送網株式会社がメタバース空間上に拡がる、優れたメディアテクノロジーによる作品やプロジェクトを表彰する「日テレイマジナリウムアワード2023」の表彰式が8日、東京都江東区の東京都現代美術館都内で開催された。

日本テレビの開局70年を記念して、さまざまなアートやエンターテインメントが集まる新しいメタバース空間「日テレイマジナリウム」が12月9日から2024年3月3日までの期間限定で開設される(入場券は税込2,000円にて販売)。「イマジナリウム」とは、メディアテクノロジーによって実現する想像/創造力のミュージアムを表した言葉で、東京都現代美術館のMOTアニュアルextra内には本プロジェクトを体感できるリアル会場も設置されている。

この日はそのリアル会場にて、「イノベーション」 「サステナビリティ」「イマジネーション」 をテーマにしたメタバース空間上のメディアテクノロジー作品やプロジェクトの公募作品の表彰が行われ、メタバース部門、XR部門、フリースタイルコンピューティング部門の3つの部門の優秀作品とグランプリが発表された。

冒頭、八木元日本テレビ放送網(株)コンテンツ戦略本部事業局局長は、本プロジェクトについて「私の部門は普段は展覧会やイベントとかコンサートなど、放送とは違う芸術活動やエンターテインメントをやっておりまが、そこでいつも思っているのはなんとか次の世代や新しいものを育てたいということ。次の世代の新しい才能を発掘することは放送局の取り組みとしてもとても大事なことだと考えています」と述べ、「今回XRやメタバースの世界の新しいアーティストを応援したいという話が出たのと、日本テレビの開局70周年で新しいことにチャレンジしようということでこのプロジェクトを立ち上げました。これは“きっかけ”だと思っています。今後もいろんなきっかけを通じてアーティストやエンターテインメントを応援していくことを続けていきたい」と話す。

グランプリはTomo Kihara+Playfoolによるゲーム作品「How(not)to get hit by a self-driving car」

グランプリ作品に選出されたのはフリースタイルコンピューティング部門に出品されたTomo Kihara+Playfoolによるゲーム作品「How(not)to get hit by a self-driving car」。同作品は自動運転に使われるAIを騙すことを目的としたユニークなゲーム作品で、事故を起こさないために歩行者の行動を予測する近未来の自動運転車に、プレイヤーが挑み、わざと轢かれに行くという大胆なゲームアイデアが評価された。

表彰式に出席したTomo Kihara+Playfoolの木原共氏は「最初にこのアワードに出そうってなった時は、このアイデアでは通らないのではないかと思いました。だからこそ受賞が嬉しいです」と受賞の喜びを述べ、「新しいアイデアが生まれるたびに新しい事故が生まれるという言葉があるんですが、ゲームを通して生成AIからどんな事故が生まれるのかを考えられるような作品になっています」と本作品のコンセプトも説明した。

審査員を務めた土佐信道氏(アーティスト、明和電機代表取締役社長)は「ゲーム性というか、僕の知っている遊びでいうと『かごめかごめ』のようなゲーム。誰に対して隠れるかというとAIに対して隠れる。面白いなって思いました」と選出理由を紹介。

土佐信道氏(アーティスト、明和電機代表取締役社長)

同じく審査員の八谷和彦氏(東京藝術大学美術学部先端芸術表現科准教授)も「これが一番グランプリにふさわしいと思い決めました。我々が我々の社会をよりよくしていくためにはこういうものも必要だなと思いました」と同作品の斬新なアイデアに理解を示した。

八谷和彦氏(東京藝術大学美術学部先端芸術表現科准教授)

メタバース部門はノガミカツキ氏の「バーチャルドミネーション」(1位)、蜂須瞬氏の「Conversation Echo」(2位)、WOWOW×CinemaLeapの「Typeman」(3位)が選出された。XR部門は小松尚平氏の「戦災VR」(1位)、今谷真太郎氏の「ARコミック『壁』」(2位)、竹澤風太氏の「Informalized Void」(3位)が選ばれた。また、フリースタイルコンピューティング部門では森田茉莉+橋田朋子の「ぬけがらメトリ」(1位)、橘卓見・沈有方・李暁彤の「まなざしをまなざす」(2位)、石井飛鳥、永田一樹の「※写真はイメージです」(3位)がそれぞれ選出された。

メタバース部門
XR部門
フリースタイルコンピューティング部門

東京都現代美術館のMOTアニュアルextra内ではメタバース会場「日テレイマジナリウム」のプロジェクトの紹介やメタバースを形づくる“材料”を入場無料でを見ることができるほか、紹介されるフェス参加者がデザインしたドット絵やアワード受賞作品を、ゴーグルを通してメタバース空間で没入体験することができる。今回の入賞作品の展示や本アワード受賞作品の観賞も行うことが可能だ。開館時間は10:00から18:00まで(展示室入場は閉館の30分前まで)で、休館日は月曜日(1月8日、2月12日は開館)、12月28日~1月1日、1月9日、2月13日。

FRUITS ZIPPERも登壇
樋口真嗣氏(映画監督)
山口祐美氏(アートプロデューサー/プロジェクトアドバイザー)

会場には審査員を務める樋口真嗣氏(映画監督)、山口祐美氏(アートプロデューサー/プロジェクトアドバイザー)ほか、ゲストとして日テレイマジナリウムに参加するアイドルグループのFRUITS ZIPPERも登壇してイベントに華を添えた。