左から)讀賣テレビ放送株式会社 営業局 営業企画部 専門部長 兼 東京営業センター 東京営業推進部の中村元信氏、同東京営業センター 東京営業部の佐藤航氏

20 NOV

読売テレビ×キリンビール「帰ってきた!どっちの料理ショー.web」担当者インタビュー(前編)

編集部 2020/11/20 08:00

1997年から2006年にかけて放送された読売テレビの人気料理バラエティ『どっちの料理ショー』が、キリンビールの人気酎ハイ「麒麟特製レモンサワー」とのタイアップ企画『帰ってきた!どっちの料理ショー.web』として、同社キャッチアップサービス「ytv MyDo!」と「TVer」「GYAO!」で11月19日より配信がスタート。

『どっちの料理ショー』は、2つの料理をめぐって「どっちの料理を食べたいか」を選ぶという番組。レギュラー放送時には、選んだ出演者が多い方だけが食べられ、少数派は食べられないという様子も“味”として親しまれてきた。そんな往年の番組を、このたびタイアップという形で復活させた経緯とは。さらに地上波での放送ではなく、WEB(キャッチアップ)配信を選んだ理由とは──。

讀賣テレビ放送株式会社 営業局 営業企画部 専門部長 兼 東京営業センター 東京営業推進部の中村元信氏、同東京営業センター 東京営業部の佐藤航氏にインタビューした。

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■「あのフレーズと仕事をしたい」担当者の熱烈な番組愛からスタートした企画

──今回のタイアップ企画はどんな経緯から生まれたのでしょうか?

佐藤航氏

佐藤氏そもそものはじまりは、コロナによる緊急事態宣言が出されていた今年の春先、博報堂グループの担当者の方から伺った「コロナによって飲食店が厳しい状況にあり、それを大手の飲料メーカーさんが強く心配している」というお話からでした。「飲料メーカーさんのお力添えを得て、飲食店や視聴者のみなさんがともにWIN-WINになれる企画を『どっちの料理ショー』のブランドを活かして実現できないか」と。

読売テレビとしても自社の配信メディア「ytv MyDo!」を活用したブランデッドコンテンツの制作に大きな可能性を感じていたところでしたので、どのようなコンテンツ作りが出来るだろうかと具体的な検討を始めるところから企画が始動しました。

──数ある番組のなかで、なぜ『どっちの料理ショー』にスポットが?

佐藤氏相談をいただいた担当者さんが、「『どっちの料理ショー』を子供の頃よく見ていて、好きでした」と、番組に対して非常に熱い思いを持っていらしたのです。

タイトルに含まれる「どっち」という象徴的なフレーズや、「2つの料理が出てきて、それぞれの魅力を全力でぶつけ合う」というコンセプトは、レギュラー放送終了から14年たったいまも色褪せない魅力を持っている。自分たちが小さい頃から慣れ親しんだ、あのフレーズとお仕事をしたい、と──。こうした、担当者さんの熱い思いに突き動かされた部分は非常に大きいものでした。

──番組ファンとしての強い思い入れから、企画が始まったのですね。

佐藤氏「『どっちの料理ショー』は、こんなにも世代をまたいで多くの人々の脳裏に残るコンテンツなのだな」と、ハッとさせられました。

後から知った話ですが、もともと社内でも往年の番組テイストを知る人々のあいだでは「『どっちの料理ショー』ブランドを広告活用できないか?」というアイディアを持っている方はいたのだそうです。ですが、なかなか実現には至らなかった。もちろん私も今回、挑戦するにあたりいろいろな課題が出てくるだろうと予想はしていましたが、とにかくまずは動き出してみよう、という勇気をもらえた気がします。

■高まる「家飲み」の機運とマッチした『どっちの料理ショー』のコンセプト

──スポンサー決定までには、どのような道のりがありましたか。

佐藤氏今回の場合、まず企画が最初に立ち上がり、キリンビールさんに賛同をいただいたという流れになります。

昨今、家飲みや、自宅で食事をとる「内食」の機運が高まっていることを受け、飲料メーカーさんのあいだでも「料理との相性がよい」ことを謳うPRが増えているように感じます。こうした流れにあって、「2つの料理を登場させ、どっちをより食べたいかを競う」という『どっちの料理ショー』のコンセプトは非常にマッチしたのではないかと考えています。

──広告におけるブランドセーフティへの担保が取りざたされていますが、制作にあたって、クライアント側からはどのような要望がありましたか?

佐藤氏「お酒は20歳になってから」というテロップをはじめ、アルコール飲料を取り扱う上で注意すべき法定表記の出し方について非常に細やかなアドバイスをいただいたり、商品紹介部分の基礎原稿をお借りしたりすることはありましたが、それ以外の番組構成やキャスティングなどの演出面については全面的にお任せをいただきました。

今回は過去のコンテンツを復刻させ、さらにレギュラー放送時にはなかったキャッチアップ媒体に織り込むという新しい取り組みであり、クライアント様にとっても非常にトライアルな意味合いの強いものであると認識しています。こうした未知数の案件において、キリンビールさんからコンテンツの制作過程に信頼を置いていただけたのは、非常に光栄なことでした。

──今回の『帰ってきた!どっちの料理ショー.web』は、レギュラー放送時の内容を踏襲したものでしょうか?

中村氏『帰ってきた!どっちの料理ショー.web』は、『どっちの料理ショー』のテイストは残しつつ、番組としては新しい軸を志向しています。

レギュラー放送時の『どっちの料理ショー』は、スタジオで実際に料理しながら食材や店舗に関するVTRを見ていくという内容でしたが、今回の『帰ってきた!どっちの料理ショー.web』は「『麒麟特製レモンサワー』に合う」名店のお取り寄せ2品が対決する、という内容になっています。

■かつてのプロデューサーは局の上層部…… 番組出身者だからこそできた“社内調整”

──今回チーフプロデューサーを担当された中村さんは、レギュラー放送時にも演出スタッフとして番組に携わられていました。今回webでの配信オリジナルコンテンツとしての『帰ってきた!どっちの料理ショー.web』ですが、制作にあたってどんな点に苦労しましたか?

中村元信氏

中村氏『どっちの料理ショー!』のテイストを活かしながら、どのようにしてwebコンテンツとして企画をシフトさせていくか、という部分には、時間をかけて思考を重ねました。

『どっちの料理ショー』という看板をかかげてコンテンツを作るにあたり、「レギュラー放送時のテイストは残す」という点は今回もっとも肝となる部分でしたので、レギュラー放送時から演出やクリエイティブの全般を担っていた(制作会社の)ハウフルスさんの協力は、なんとしても欠かすことができませんでした。企画をスタートさせるにあたり、まずこの座組に持ってくることが重要だったのです。

私が思っていた以上に『どっちの料理ショー』は社内では「すごい番組」と捉えられていたようで、当時のプロデューサーや担当者は、皆さん現在局の要職に就いています。現場が上層部を巻き込むことに対して、“慎重論”のようなものもありましたので、レギュラーの立ち上げから終了まで番組に携わった私が社内調整を担い、懸念を解消していきました。

──今回の企画は、丁寧な社内調整の賜物でもあったわけですね。

中村氏上層部もふくめ、番組に関わったすべての人々に気持ちよく今回の企画を受け取ってもらおう、ということで、私なりに筋を通すべきだと思った方々にしっかりと筋を通し、相談して進めていきました。こうして慎重にいろいろなことを整えてから、ハウフルスさんに(制作依頼の)話を持っていく、という流れを作っていったのです。

佐藤氏レギュラー放送に深く関わっていた中村の丁寧かつ迅速な社内調整なしには、今回の案件をスタートさせることはできなかったと思います。そして社内各部署からの協力や応援の声を通じて「こんなにもいろんな人が携わって作られていた番組だったんだ」と、私自身も会社の歴史に触れたような思いを抱きつつ、これからの時代はますます、営業だけでなくさまざまな部署・会社を「横断していく力」こそ大切だと、あらためて認識しました。

左から)佐藤航氏、中村元信氏

続く後編では、レギュラー放送時のスタッフが再集結して行われた制作の舞台裏、そしてキャッチアップという媒体の特性をフルに活かした番組設計の方法論について、深く掘り下げる。

『帰ってきた!どっちの料理ショー.web』公式HP

『帰ってきた!どっちの料理ショー.web』「ytv MyDo!」

『帰ってきた!どっちの料理ショー.web』「TVer」

『帰ってきた!どっちの料理ショー.web』「GYAO!」