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放送批評懇談会、2022年6月度ギャラクシー賞月間賞を発表

編集部 2022/7/25 09:00

放送批評懇談会が、2022年6月度ギャラクシー賞月間賞を発表した。ギャラクシー賞は、日本の放送文化の質的な向上を願い、テレビ、ラジオの番組、関係者を顕彰。今年で59年の歴史を誇る。

ギャラクシー賞テレビ部門では、「ギャラクシー賞」活動の一環として、毎月、自主的に番組を推奨する「月間賞」を選定。受賞作品は下記の通り。また、ギャラクシー賞テレビ部門は、この日常視聴に基づく「月間賞」と、各社からの応募作品を併せて審査を重ね、毎年の受賞作が決定する。2023 年6月初旬開催予定の贈賞式にて、大賞をはじめとする各賞が決定、表彰される。

放送批評懇談会は、1963 年の発足以来、評論家、ジャーナリスト、マスコミ研究者などを会員に、各種の活動を展開。「GALAC(ぎゃらく)」の編集・発行、優れた番組・CM を顕彰する「ギャラクシー賞」の選考・運営、メディア界の動きを解説するセミナーやシンポジウムの開催などを行なっている。

■2022年 6月度ギャラクシー賞月間賞

・テレメンタリー2022『おいだば、時給 125 円』/秋田朝日放送(5月28日放送 4:50~5:20)

スーパーもなく車で買い物に行くことも困難な老人たちが、お互いさまだとはじめたスーパーと移動販売車の姿に、現代の日本の地域高齢化の実情が見事に映し出された。明日は我が街かもしれない切ないその状況を丁寧に寄り添いながら、しかし客観的にとらえ、多くの人に考える機会を与えてくれる番組となった。

・土曜ドラマ『17 才の帝国』/日本放送協会(5月7日~6月4日放送 22:00~22:50 )

新しい分野に挑戦しようという作り手の「志」を感じる良作。近未来 SF を基本に、政治ドラマ、青春恋愛ドラマといった要素が絡み合いながら進行していく。17 歳の総理大臣役を演じる神尾楓珠が持ち前のミステリアスな魅力を生かし、適役。山田杏奈らも好演。しがらみのない若者たちが純粋な理想のもとにどんな政策を打ち出していくのか、続編を期待したい。

・NHKスペシャル『追跡・謎の中国船~“海底覇権”をめぐる攻防~』/日本放送協会(6月26日放送 21:00~21:50)

海底の資源を巡る覇権争いが激しさを増すなか、中国の調査船や浚渫船(しゅんせつせん)の動きを AIS・船舶自動識別装置のデータ 10 年分を分析し可視化した。中国の調査船の航跡は世界中に広がり、浚渫船は海底の砂をパイプで大量に吸い上げて巨額の利益を上げている。中国にどう対処すべきか、日本が直面している厳しい現実を突きつける番組。

・関ジャム完全燃SHOW『山下達郎特集』/テレビ朝日(6月19日、26日放送 23:00~23:55)

2週にわたって、山下達郎へのインタビューをたっぷり聞かせる構成が、シンプルながら確実に成功している。山下自らが体験をもとに語る日本のポップミュージックへの分析も興味深く、どれも説得力十分。また、最後に語られた同世代への熱い連帯感も、「音楽の職人」という一般的イメージからは意外で、それゆえに感動的でもあった。