25 MAR

2023年のテレビおよびコネクテッドTVデータに見る視聴トレンド VOL1 テレビ視聴のトレンドデータ

編集部 2024/3/25 08:00

*本記事は2024年2月の情報です。

1.REVISIOデータについて

<図1:REVISIOのご紹介>

協力世帯のご家庭に人体認識技術搭載センサーを設置をさせていただいております。これによって誰がテレビの前にいて、誰がテレビを見ているのかというデータを自動で計測することができます。

図1の右側画像は、24時間365日どの番組やCMを見ているのかというテレビのリアルな視聴実態を取得しているイメージです。メディアプランニングから出稿の振り返り、クリエイティブの制作に至るまで広告主様、広告会社様、放送局様の皆様にお使いいただいているデータです。

2.テレビデータの変遷について

<図2:テレビデータも「出稿した量」から「視られた量」へ>

図2の一番左の図は、宣伝部の経験や勘で「これはこの番組はきっと多くの人が見ているだろう」と予測していた時代です。その後、ビデオリサーチの視聴率データによって、テレビ番組がどれだけの家庭で流されていたかという事が分かってきました。

さらに、REVISIOのデータを使えば、どのターゲット層に視聴されているのか、テレビがついているだけではなく、きちんと見られているのかという詳細まで分かるようになっています。では、実際にREVISIOのデータを使うと、どのようなインパクト・効果があるのか検証していきます。

<図3:「視られた量」によるCM認知率の伸びに7%の差が生じたことがわかる>

図3から分かるように、同じ量を出稿しても、見られた量によってCM認知率の伸びに7%もの差が生じます。

従来のデータで出稿した時、仮にCMの認知率が10%上がったとします。一方、同じ予算でREVISIOの注視のデータを使ってターゲットがちゃんと見ている時間にCMを出稿した場合、CMの認知率が17%上がるという結果になりました。同じ予算にも関わらずCMの認知率のリフトに差が出てきます。

<図4:取得データについてのサマリ>

図4は、具体的な調査パネルの数を表しています。関東エリアで2000世帯、個人数にすると約5000人、関西エリアでは600世帯、個人数にすると約1500人のデータを取得しています。これは、統計学の理論に基づいており、代表性のある調査パネルが構築されています。

つまり、関東や関西の人口動態の縮図がREVISIOのパネルの中でしっかりと描かれるようなパネル構成を構築しています。

チャンネルに関しては地上波のみならず、BSやMXにも対応しています。2022年7月以降は、YouTubeやTVerをテレビで見るというコネクテッドTV(以下、CTV)にも対応しています。

また詳細の属性にも対応しており、例えば家は賃貸なのか持ち家なのか。車の保有の有無、車種、年収など、性、年代以外の属性についても取得することができます。

3.テレビ視聴トレンドデータ

REVISIOの視聴データがどういうデータかについて、お分かりいただけたと思うので、ここからは、テレビの視聴トレンドについて解説していきます。ここ3年間で視聴率と視聴質はどのように推移したのでしょうか?

視聴質とは、REVISIOで計測したテレビの画面をみている指標のことを指します。

<図5:ここ3年間の世帯視聴率はどう推移したのか?>

この3年間で世帯視聴率はどのように推移したのでしょうか?図5のグラフは、横軸が時間軸です。1番左の2020年の10月からはじまり、2023年の11月までを3ヶ月ごとに表示してます。

縦軸は、2020年の10月を100とした時の世帯視聴率を表しています。ここから読み取れることは、この3年間で世帯視聴率は100から80ぐらいに約20%ほど落ちているという事です。様々な要因が考えられますが、まず視聴者の生活環境の変化が上げられるでしょう。

例えばメディアの多様化、スマートフォンやCTVの台頭によってテレビ離れしている可能性が1つです。もう一方で、業界の環境変化もあるかもしれません。2019年頃に視聴率の通貨が世帯から個人に変わり、各局の番組作りが世帯視聴率を取るところから個人視聴率を取る、特にコア層といわれる13歳から49歳の個人視聴率を取ろうという番組が多くなってきました。それにより世帯視聴率が下がっていると考えられます。

では、ここ3年間の視聴の推移を視聴質で見た場合は、どのような傾向になるのでしょうか。

<図6:年代別の個人注視率はどう推移したのか?>

図6では、3つの属性に分けて見ていきます。青線が20歳から34歳男女のMF1、赤線が35歳から49歳男女のMF2、黄色が50歳以上男女のMF3です。青線のMF1つまり1番若い人たちの層の下降が著しく40%ほど下がっています。

MF2、MF3もMF1ほどではないものの、約30%ほど下がっています。世帯視聴率低下の要因と同様に、視聴者の生活環境の変化、メディアの多様化、スマートフォンの台頭がここに作用してると考えられます。

4.MF1層の視聴者がよく見ていた番組は?

先ほど年代別の視聴質の推移を見て、特にMF1層の下がり幅がとても大きいことがわかりました。特にテレビ離れが進んでいるMF1層は、テレビを見ない中でもどんな番組に注目してるのかを分析しました。

<図7:MF1個人注視率ランキングトップ20(約9万番組中)>

図7はMF1層の視聴者がよく見ていた2023年1月から11月の上位20番組をラインナップしたランキングです。期間中は、のべ約9万番組が放送されていました。

黄色で色付けした番組は、スポーツ関連の番組です。なんとトップ20番組のうち16番組がスポーツ関連という結果になりました。1位は2023年3月に開催されたWBC、野球の世界一決定戦です。WBC準々決勝のイタリア戦がトップにランクインしました。

2位は、このイタリア戦が行われた直後のテレビ朝日の番組、『報道ステーション』でした。試合で注目を集めていたせいか、その直後のニュースでも多くのMF1層が改めて試合の振り返りを含めて『報道ステーション』を見ていたことが分かります。

これ以外にも試合ではない、WBCの関連番組が多くランクインしてました。試合直後のニュースで試合内容をチェックしたり、振り返ったり、余韻に浸ったりする人が多かったのかもしれません。WBC以外でランクインしたのは、バスケやラグビーといったスポーツコンテンツでした。キャッチアップサービスであるTVerなどが台頭する中で、MF1層にとってスポーツはテレビでライブ視聴することに価値があるのかもしれません。逆風を受けるテレビ市場の中で、ポジティブな材料のひとつかと思います。

5.CTVデータ

続いて、市場が拡大しているCTVについてのデータをみていきます。国内のCTV広告市場は目まぐるしく成長しており、今後のテレビ市場を牽引すと思われます。

図8のグラフは、CTV広告市場の2020年から2025年への推移をを表しています。2020年の100億円程度の市場が2025年には約5年で約17倍の1700億円までと急成長していくだろうと言われています。

<図8:国内コネクテッドTV広告市場規模は急速に拡大中> (出典:SMN/AJA/デジタルインファクト)

では、実際にREVISIOのデータを使って、CTVの市場が、伸びていることを確認していきます。

<図9:CTV、特にYouTubeの視聴時間は地上波に匹敵>

図9は各チャンネルの視聴時間を比較したものです。トップは1番左の日本テレビで約57分ですが、2番目に台頭してきたのが、YouTube ON TV (テレビデバイスを使ってYouTubeを見る)で、1日あたり48分も視聴されました。地上波の日本テレビに次ぐ2番目です。その次にフジテレビで41分でした。CTVの視聴時間が地上波に匹敵してきてるということが分かります。

詳細記事はこちら

これまでのまとめ

●世帯視聴率はここ3年間で約20%下降。

●属性別の個人注視率をみると、MF1の下降が顕著でここ3年間で約40%減

●MF1層の視聴者が2023年良く視ていた番組は圧倒的にスポーツが多い。WBCやバスケ、ラグビーなど。

●コネクテッドTV市場が大きく成長しており、YouTubeの視聴時間は地上波放送局同等、それ以上になりつつある。

2023年のテレビおよびコネクテッドTVデータに見る視聴トレンド ~VOL2~に続く

REVISIO株式会社

2023年のテレビおよびコネクテッドTVデータに見る視聴トレンド ~VOL2~