左から)株式会社TVer 中島和哉氏、龍宝正峰氏、古田和俊氏、矢部怜史氏

30 JUN

TVer、ユーザー増加が加速で月間再生数1億8305万回到達 サービス認知率は63.2%に〜TVer Biz Conference 2021レポート(前編)

編集部 2021/6/30 07:00

株式会社TVer(以下、TVer社)のオンラインカンファレンスイベント『TVer Biz Conference 2021』が、2021年6月9日に開催。現在の民放公式テレビポータル「TVer」(以下、TVer)サービス概況をはじめ、昨年11月より開始した「TVer広告」の最新トピックなどが発表された。

TVer社からは、同社代表取締役社長・龍宝正峰氏、サービス運営本部 TVer 事業室長 兼 マーケティング部 部長・中島和哉氏、広告営業部部長・古田和俊氏、広告営業部 広告開発グループリーダー・矢部怜史氏が登壇。司会進行役はフジテレビの内田嶺衣奈アナウンサーが務めた。トークセッションでは、コネクテッド(ネット結線)TVの広告活用がテーマに掲げられた。

司会進行:フジテレビ内田嶺衣奈アナウンサー

本イベントの模様は、前・中・後編にわたりお届けするが、前編となる本稿では、中島氏による「TVer」のサービス概況プレゼンテーションをレポートする。

■TVerサービス概況:月間再生数1億8305万回到達、サービス認知率は63.2%に

サービス運営本部 TVer 事業室長 兼 マーケティング部 部長・中島和哉氏

まずは中島氏が、TVerのサービス概況をプレゼンテーション。2021年5月〆時点で、アプリダウンロード数は3771万ダウンロードを突破し、月間再生回数(TVer単体)は1億8305万回、MUB(月間ユニークブラウザ数)1697万を記録。15歳から69歳の男女のサービス認知率は、63.2%に達している。

「500万ダウンロード(に達するまでの)スパンが短くなってきている」と、中島氏はユーザー増加が加速している現状を強調。「サービス初期は500万ダウンロードに達するまで14ヶ月かかっていたが、直近では5ヶ月という期間で達成している」といい、「ユーザー数の増加、配信コンテンツの増加に限らず、ライブ配信の強化やテレビデバイスへの対応などがこの数字に表れている」と説明した。

■F1層・F2層ユーザーが全体の34.2%を占有。T層比率も5%未満→6.2%へ伸長

続いて中島氏は、再生数とMUB(月間ユニークブラウザ数)を月ごとに分解したデータを紹介。月間再生数は2021年3月の時点において前年同月比で約2倍、さらにTVer歴代最高となる1億8305万回を記録。MUBに関しても2021年1月時点で1697万に到達し、引き続き順調な推移をたどっていると語る。

2021年1月クール時点でのユーザー属性比率については、日本の人口構成比に比べてF1(女性20歳〜34歳)層とF2(女性35歳〜49歳)層が非常に多く、合計で34.2%を占めているという。「どの層もUB(ユニークブラウザ数)は増加傾向にあり、特にM(男性)層の伸び率が高くなっている」と中島氏。T(男女13〜19歳)層についても、以前の5%未満から6.2%へと成長していると紹介した。

■TVデバイスのUB増加が顕著。巣ごもり需要で“大画面視聴”がトレンドに

続いて中島氏は、TVerにおける直近のメディアトピックスを紹介。2020年の取り組みで特にユーザー増加を牽引した施策として、「対応デバイス拡充」「コンテンツの大幅拡充」「オリジナル特集企画」を挙げる。

「対応デバイスの拡充」については、2020年にはパナソニック「VIERA」をはじめ、Google「Chromecast」やKDDIのセットトップボックスに対応。2021年に入ってからは、Android TV搭載の「FUNAI」(船井電機)、「REGZA」(東芝)など、TVデバイス・セットトップボックスへの対応が加速しているという。

「巣ごもりの需要が拡大するなか、『おうちで楽しめるエンターテインメント』として、テレビのような大画面で動画配信サービスを視聴する方が増えている」と中島氏。TVerにおけるUB(ユニークブラウザ数)についても、「TVデバイスにおける増加が非常に顕著になっている」とアピールした。

2021年6月現在のTVerテレビアプリ対応機種

■ローカルコンテンツの“全国配信”が加速。ライブ配信でM層の新規獲得も

「コンテンツの大幅拡充」については、TVerにおけるレギュラーコンテンツが300番組から350番組以上へとさらに増加。なかでも、「これまで特定エリアでしか視聴できなかったローカルコンテンツが、TVerを介して全国配信される流れが加速してきている」という。

TVerを介したレギュラー配信局数は全国66局にのぼり、単発配信実績を持つ放送局数も全国22局へと増加。中島氏は、「ローカルコンテンツについてはユーザーの方から配信リクエストをいただくこともあり、今後も各放送局様のご協力をいただきながら拡充に努めてまいりたい」と語る。

スポーツのライブ配信についても競技を問わず案件が増加しており、「全国高校サッカー選手権」では都道府県ごとの地区大会と全国大会、あわせて約70試合をライブ配信。ほかにも野球、駅伝、フィギュアスケートのほか、バラエティ番組の生配信スピンオフなど、多岐にわたるライブコンテンツを配信しており、「これらは特にM(男性)層の新規獲得に繋がっている」という。

■局横断特集で1200本超のアーカイブを配信。番組表彰の『TVerアワード』も創設

「オリジナル特集企画」としては、今年3月20日から4月11日にかけて『TVerフェス! SPRING2021』を開催。「春の恋ドラマ」「バラエティ神回」、さらにサントリーが協賛する「小栗旬ドラマ特集」など3つの特集を組み、合計150タイトル、1200本超のアーカイブ配信を実施した。

「複数の放送局を横断したコンテンツ企画ができるのは、まさにTVerならでは」と中島氏。同時に開催された『TVerアワード』では配信番組の「表彰」を実施し、出演者からのコメント動画をTVer上で配信したほか、地上波放送でもトロフィーを手にしたMCが同賞について言及するなど、「これまでにない形でTVerの名前が露出する良い事例になった」と語る。

『恋つづ』TVerアワード2020で「ドラマ大賞・ドラマエピソード賞」をW受賞

■今後の注力領域は「スポーツライブ配信拡充」「UI/UXフルリニューアル」など5領域

続いて中島氏は、TVerにおける今後の注力領域を説明。ミッションとして「テレビを開放して、もっとワクワクする未来を 〜TVerと新しい世界を、一緒に」を掲げた。

「これからのテレビは放送だけでなく、放送と配信のミックスによって提供されるサービスに変わっていく。TVerはその未来を作る存在でありたい」と中島氏。具体的な注力領域として、「五輪を中心としたスポーツライブ配信の拡充」「同時配信始動を見据えたUI/UXのフルリニューアル」「若年層へのアプローチ本格化」「データを活用した新サービスの展開」「企業との外部連携推進」の5つを挙げた。

「これらは当然、私たちだけでは実現ができない」と中島氏。「本日ご参加をいただいている皆様のお力添えをいただき、スピード感を持って推進してまいりたい。引き続き何卒ご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます」と、TVerサービス概況のプレゼンテーションを締めくくった。

続く中編では、トークセッション「『成長するコネクテッドテレビ市場』-広告活用の展望と課題-」の模様をレポートする。

急成長するコネクテッドTV市場 TVerの視聴比率も昨対比3倍超に〜TVer Biz Conference 2021レポート(中編)

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