左から足木勇介氏、山崎祐氏

21 DEC

データ革新により進化するラジオ・テレビの最新ソリューション~電通主催セミナー(#2)前編

編集部 2021/12/21 09:00

株式会社電通は、「RADIO AND TELEVISION IMPROVEMENT 2021」と題したセミナーを11月10~12日に実施。4編にわたって開催されたセミナーのうち、本稿では11月10日に行われた#2『データ革新により進化する ラジオ・テレビの最新ソリューション』の模様を、前後編に分けてレポートする。

【後編】コネクテッドTV利用実態調査からみるテレビ放送・テレビデバイスの価値~電通主催セミナー(#2)

本セミナーで紹介された最新ソリューションのうち、前編ではAIを活用した運用型テレビ広告でテレビバイイングを進化させる「RICH FLOW」、共通指標・KPIでテレビ×デジタルの統合評価を可能にする「MIERO Digi × TV(ミエロ・デジテレ)」を取り上げる。

登壇者は、株式会社電通 ラジオテレビビジネスプロデュース局 テレビ市場開発部 プロデューサーの足木勇介氏、動画ビジネス推進部 プロデューサーの山崎祐氏。

■「RICH FLOW」AIによって進化を続ける運用型テレビ広告

足木氏は「RICH FLOW」というソリューションについて、基本・現在・未来の3つのパートに分けて発表を行った。まず概要として、「RICH FLOW」はAIを活用して複数広告主間で広告枠の組み換えを可能にする新しいメニューであると示し、具体的な活用法を次のように説明した。

「暑い日にCMをオンエアしたい広告主A、F1層にリーチしたい広告主Bと、異なるKPIを持つ出稿に対して、広告枠をAIによって分析し最適化。組み換えを行い、それぞれの広告主のKPIのリフトアップを図ります」

このソリューションは昨年10月にベータ版がリリースされ、現在トライアルを重ねているという。そして、この「RICH FLOW」を通して、「3つのDXを実現したい」と続けた。

まず“評価のDX”。「これまで視聴率での評価が基本でしたが、多様なデータを有効活用することで、サイト来訪、天気連動、SNS連動などの評価を行うことができ、広告主それぞれのKPIが設定できるようになりました」と足木氏は言う。

そして“買付のDX”では、AIの助けを借りて広告枠の最適買付を実現できることが強みとなり、“運用のDX”では高度なテレビ広告運用を目指すのだと言う。

続いて「RICH FLOW」の現在として、搭載されているデータの一つ「SHAREST」が紹介された。これはディープラーニングAIの技術により、過去視聴率、ジャンル、タレント、天気予報、世の中のトレンドなどにより、AIが未来の視聴率を予測する同社独自の技術だ。

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2021年1-6月の関東地区における直近の精度検証では、「主要なターゲットにおける相関係数が、過去4週、8週の平均を上回る結果となりました」と足木氏は結果を示した。

そして未来として、「RICH FLOW powered by STADIA」を紹介。オンオフ統合ツールのSTADIAと連携したテレビ広告運用が可能となるシステム開発を行っているという。

足木氏は、「広告主のニーズに応える、新たな運用型テレビ広告メニューの開発を続けていきます。今後もテクノロジー運用型テレビ広告の進化にご期待ください」と発言を締めくくった。

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■テレビとデジタルを共通指標で横断評価MIERO Digi × TV(ミエロ・デジテレ)

山崎氏からは、「MIERO Digi × TV(ミエロ・デジテレ)」の案内が行われた。まず基本的な考えとして、「テレビは視聴率、GRP、TRP、デジタルはインプレッションや再生数という異なる指標やKPIによる個別最適化ではない」ことを示し、「テレビとデジタルを統合リーチという共通指標で横断評価することが目的です」と開発の理由を語った。

このダッシュボードの目的は、「テレビとデジタルの媒体横断の出稿状況を一元化し、デイリーで管理し可視化すること」だと言う。そして「タイムリーな意思決定の業務支援が行えます」と山崎氏は語った。

統合リーチの計測方法は、テレビにおいてはビデオリサーチ社の全国テレビCMデータ速報値を集計、デジタルにおいてはニールセン社のDARを基にデータ計測を行い、重複する部分は同社オリジナルのロジック“People driven duplication logic”を用いて、最終的に信頼度の高い統合リーチを導き出すのだと言う。

そしてこのダッシュボードには、ターゲットリーチ運用、クリエーティブアロケーション、媒体間アロケーション、地区別アロケーションといった活用方法があると説明し、デモ画面を表示して詳細まで説明を行った。

また、このダッシュボードは、機能の拡充が段階的に行われていくと言う。

「今後の展望としては、目的GRPに対してのアクチュアル達成率測定、テレビ局別評価の追加、SNS媒体対応などの機能を搭載していく予定となっています。またクライアントごとのカスタマイズにも対応していくことを検討しています」と語って発表を終えた。

コネクテッドTV利用実態調査からみるテレビ放送・テレビデバイスの価値~電通主催セミナー(#2)後編