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1万人参加の見込み「完全復活」MIPCOMカンヌ2022新計画~民放各局が出展ブース予約、追加スポンサーにNetflix

編集部 2022/7/21 08:00

今年10月フランス現地で開催される世界最大級TVコンテンツ国際取引マーケット「MIPCOMカンヌ2022」の出展ブース予約一覧に日本の放送局も名を連ねる。主催するRXフランス(本社・パリ)によると、各国の参加状況はコロナ禍以前の水準にほぼ戻る見込みだ。注目度が高まる国際共同制作ビジネスを促進する新たな専門イベントも計画され、今年はNetflixがアワードスポンサー企業に加わることが決定した。リアルイベント完全復活に向けた動きを主催者に聞いた。

■今年は「完全復活の年」、民放各社の出展ブース予約も復活

昨年、TVコンテンツ国際取引マーケットの現地開催をいち早く復活させたRXフランスが今年は「完全復活の年」になると明言した。同社エンターテイメント部門ディレクターのルーシー・スミス氏は「コロナ禍以前の2019年開催で記録した1万3000人の参加人数に対して、今年は1万人を想定しています。久しぶりに大規模開催となることを期待しています。需要が高まる現地参加の声を受けて、超大型版として新たな企画も予定しています」と話す。

ルーシー・スミス氏

第38回を迎える「MIPCOMカンヌ2022」は2022年10月17日~20日の4日間開催に戻し、場所は例年通り、カンヌ市内中心部にある海岸沿いのパレ・デ・フェスティバルを会場に開催される。さらにキッズ専門マーケット「MIPJUNIOR」を3年ぶりに復活させ、10月15日~16日にJWマリオット・カンヌで開催予定もある。これによって、週末イベントを合わせた約1週間にわたるMIPウィークが再び戻ってくることになる。

またコロナ禍以前に出展数4000を数えた出展ブース数の状況も戻りつつあることがわかった。スミス氏は「これまでコロナ禍で海外出張を見合わせていた多くの国々から参加が戻ると予想しています。ディズニーも戻ってくる予定です。一方、依然として出張制限がある中国及びいくつかのアジア諸国は参加を見合わせることになると思います」と説明する。なお、ロシアについてはウクライナ戦争を受けて、主催者側が出展参加を受け入れない方針を継続させている。

直接顔を合わせる国際商談を回帰する傾向が高まり、日本からも既に出展予約が入っていることが発表された。主催者に詳細を確認すると、日本テレビ、テレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジテレビ、読売テレビ、関西テレビなど主要各社がブーススペースを再び確保する予定だ。コロナ禍以降の日本のテレビ局の現地出展状況は、今年4月のMIPTVカンヌ2022において日本テレビがテレビ局で唯一出展を復活させたところである。現地商談に戻す意向が強まる各国の主要各社の動きに合わせて、日本の出展ブース数は今回、着実に増える見込みだが、参加方針の変化も起こっている。

■世界からプロデューサー2000人参加の見込み

「MIPCOMカンヌ2022」超拡大計画には国際共同制作ビジネスを促進する新たな専門イベント「シービュー・プロデューサーズハブ」の立ち上げも含まれる。昨今のマーケットトレンドを反映して、導入されたものである。従来の番組売買だけでなく、取引手法は多様化している。初期段階から国際間で番組開発する重要性が高まっていることから、制作過程に注目した場が改めて作られる。

カンヌを象徴するコート・ダ・ジュールの景色を眺めることができる会場内1000平方メートルの敷地にネットワーキングラウンジとカンファレンススペースを設置し、番組開発および共同制作パートナーとの関係構築の場を提供するという。期間中、ピッチイベントなど企画され、現地時間10月18日夕方17時からは公式ネットワーキング会「シービュー・プロデューサーズハブ・パーティー」が行われることが決定している。

クリエイターやプロデューサー、コミッショナーなどが参加対象となる。既に世界中から対象者2000人がMIPCOMカンヌ2022に参加表明し、新たな共同制作イベント企画を受けて従来の数より大幅に増える見込みだ。

また、6回目の開催を数える「MIPCOMカンヌ・ダイバーシティ・テレビアワード」も企画予定する。テレビシリーズやエンターテインメント番組におけるダイバーシティ性を称え、それを支持し、促進する業界唯一のこのグローバルアワードも「MIPCOMカンヌ2022」超拡大計画の1つにある。

アワード創設パートナーのDiversifyTVと共同で主催するもので、創設プレゼンティングパートナーのA+E Networksをはじめ、ほかアワードパートナーのTelefilm CanadaやAll3Media International、D.I.M.E.Sなど、加えてサポートパートナー企業や組織と共同で開催される。今年は Netflix がプレゼンテーショ ン・パートナーとしてアワードに参加することも話題にある。グローバルプラットフォームの中でトップシェアを誇るNetflixの参加によって、アワードそのものの認知度向上が期待される。

授賞式は現地時間10月19日に開催される予定。個人またはチームの功績を称える新しい部門や、地域専門マーケットの「MIPカンクン」と提携したラテンアメリカ発コンテンツにフォーカスする部門を含め、合計11の受賞者が選ばれる。

恒例の講演企画については後日詳細が発表される予定だが、メタ(旧Facebook)のキーノートが決定し、注目のFASTチャンネル関連もフォーカスされる計画もある。また「コンテンツビジネスの変化」もセッションテーマの1つにある。

これら各種イベント、セッションを象徴するMIPCOMカンヌ2022全体のキャッチフレーズは「エンターテインメント・コンテンツ・マーケット・マザー」と名付けられている。国際コンテンツ見本市をリードする立場から、マーケットトレンドを生み出し、促進していく役割を完全復活が見込まれる年に改めて強調した意図が伝わってくる。

MIPCOM 2022公式サイト