テレビからどんどん飛び出せ! フジテレビのもの作りへの挑戦
編集部
バラエティやドラマなどテレビ番組のセットを作り出す役目を担う美術デザイン。今回は、フジテレビの美術制作局美術制作センター所属の安部彩氏に、テレビの枠を超えた「もの作り」について伺いました。若い力が躍動しています!
――昔、木村拓哉さんが「HERO」で着ていたダウンジャケットがすごく話題になって流行りましたけど、予期せずバズったものとか、流行ったものはありますか?

それを生み出したくて、各スタッフ地味に狙ってやっているところはありますね。「恋仲」で本田翼さんが背負っていたリュックは完売続きで手に入らなくなって、とても人気だったと伺いました。
また、「好きな人がいること」の舞台になった湘南のレストランは大繁盛だったそうです。目の前に江ノ電が走っている最高のロケーションでしたね。ロケの聖地巡りスポットになって、ロケセットで組んだ一部をそのまま残している所もあります。
――テレビから飛び出した企画を立てることもあるのですか?
セットに関係したことだと、サンケイビルさんとコラボレーションして、新築マンションの販売を企画したことがあります。
――新築マンションってすごいですね! どんな企画ですか?

「SUMMER NUDE」「失恋ショコラティエ」「すぽると!」「僕らの音楽」「めざましテレビ」など、色々なバージョンの美術の面白さを生活に落とし込んで、ファンの方の心に響くマンションを作ろう、という企画でした。
実際にモデルルームを作ったのは「めざましテレビ」で、本当に売り出したんです。テレビの美術制作が、本物のワンルームマンションをデザインしたらどうなるのか、という企画でもありました。現実的に売れるような部屋をテレビデザイナーが作るって本当になかったことで、実際にやってみて、これまでなかった理由も分かりましたね。
――どうしてなかったのでしょう?
販売するための家というのは、素材の一つ一つに色々な一つ審査があるんです。規格外の施工技術は求められるし、耐久年数も気にしないといけないし、すごく大変でした。でも、カフェや商業施設は現実味があると思いますので、これからも何か面白いことができないかを考えているところです。
――テレビの画面から飛び出していくと、世界がもっと広がりますね!
そうですね、美術制作は実際にものを作るところなので、CGとかバーチャルリアリティーとは違う分野です。これからも一緒にどんどん面白いことに発展させていければと思っています。
――生番組、レギュラー番組をたくさん抱えて、深夜にも建て付けとかあったりして忙しい中で、それでも外に飛び出す企画を立てるのは大変じゃないですか?
みんなワクワクすることが好きで、触手が動いてしまうと、やりたい! やってみたい! となってしまうんですよね。番組だけやるのは当たり前、面白いビジネスに近いところもどんどんやりなさい、という感じです。
他局の美術の方と交流することもあるんですが、違いはありますね。他局の場合は、企画と番組とセットのきっちりした打ち合わせをして進んでいるイメージがあるんですけれど、フジテレビだと企画書が通ってから、後はワイワイ話して面白い案を出し合ってみんなで作っています。きっとテレビの映像からもそれが感じられて、フジテレビっぽい!という感じになっているんでしょうね。
――安部さんは入社11年目ですよね。「月9」を担当されているのは、もっとベテランの方というイメージがあったのですが、すごいですよね?
それがフジテレビだと思います。若いエネルギーを大事にしてくれています。チャレンジ枠のようなものがあるわけではないんですが、「人生のパイセンTV」は3年下のディレクターが一緒にやりたいと声をかけてくれたものです。若いスタッフが一生懸命自分たちらしい番組を作ろうとしているので、一緒にやっていてすごく面白いです。
フジテレビの若いエネルギーを買ってくれている感じがして、こっちも頑張らなきゃ! って思わされて気合いが入りますね。
――フジテレビの番組の特徴や魅力って、意外なところから作り出されているのかもしれませんね。制作現場を想像するだけで、こちらもワクワクしてきます!
[vol.1]テレビ制作の裏側探報! 美術制作が作り出す映像の世界観とは?

――安部彩氏プロフィール
フジテレビ美術制作センター所属デザイナー。
2005年入社。主な担当番組は、「めざましアクア」「めざましテレビ」「直撃LIVE グッディ!」「人生のパイセンTV」「さまぁ~ずの神ギ問」「キスマイBUSAIKU!?」「さしこく」「久保みねヒャダこじらせナイト」ドラマ「未来日記」「水球ヤンキース」「ナオミとカナコ」「好きな人がいること」。また、一昨年サンケイビルとのコラボレーションで分譲マンションのデザインも手がけた。